収入を上げ投資でふやす。ミニマリストゆみにゃん流の資産形成とは?
節約して貯金をするだけでは、大きく資産をふやすのが難しいことは、想像にかたくないと思います。資産をふやすには、転職や副業、投資などに挑戦する必要があります。貯金ゼロから転職、副業、投資などで資産5,000万円を築き、現在はサイドFIRE(セミリタイア)をして自由な生活を楽しんでいる、ミニマリストゆみにゃんさん。後編では、具体的な支出管理の方法や資産運用について伺います。
支出はリアルタイムに記録して予算内に収めよう
――支出の無駄に気づくためには、家計簿で見える化することが大事だとおっしゃっていましたね。とはいえ、なかには「つけているだけで活用できていない人」もいると思います。家計簿をどう活用すればいいでしょうか。
ゆみにゃん:家計簿をつけているのにうまくいっていない人は、たぶん私としていることが根本的に違うのだと思います。もしかすると、1か月分の家計簿をつけ終わってから集計して、「今月は使いすぎたな」と思うだけで終わっていませんか?
それでは意味がありません。1か月経ったところで集計して見直すのではなく、リアルタイムに家計簿アプリなどで支出を管理して、行動を修正していくことが大事なんです。そうすれば月の途中で、「今月は飲み会で食費を使い過ぎているから月末まで自炊しよう」と調整ができますし、予算内に収められるはずです。
――そうやって予算内で帳尻を合わせていくことが大切なんですね。予算はどう設定するといいでしょうか。
ゆみにゃん:そこはやっぱり、人によって違いますよね。私の場合は、モノを買うよりも人と会って話したり、新しい体験をしたりすることを重視しているので、そうした予算は多めにとっています。反対に、1人での食事はなるべく安く済ませることが多いです。
また、私は犬を飼っているので飼育費がかかります。でも、ペットと触れ合うと愛情ホルモンのオキシトシンが出て幸福感を得られるので、ペットのためにお金を使うことは私にとって良い支出です。そういう費用は削らないようにしていますね。
転職や副業でまずは収入をふやそう
――ここまで支出についてお聞きしました。資産をふやすポイントについては、いかがでしょうか。
ゆみにゃん:資産をふやすには、まず収入をふやすことが大事です。会社員なら、転職で年収アップを目指すのがいいと思います。日本企業よりも外資系企業に転職するほうが年収は上がりやすいですが、その分多忙になるかもしれません。私のおすすめは、ホワイト企業に転職して、空いた時間で副業することですね。
――どんな副業がいいのでしょうか。
ゆみにゃん:大事なのは、なるべくフロー型ではなく「ストック型」の副業を目指すことです。フロー型とは、スポットでその都度報酬が発生する仕事のことで、ストック型とは継続的に報酬が得られる仕事のことです。ストック型であれば、別のことをしている間も利益を生み出してくれます。
たとえば、YouTubeチャンネルを作って広告収入を得る副業は成功すればストック型ですが、最初はまったく割に合いません。私も年間で何千時間もかけて編集作業をしたのに、収益は月に5万円程度の時期が続いて、いったい何をやっているんだろうと思ったことがありました。
ただ、それを継続していくとだんだん収益がふえてきて、指数関数的に伸びるようになったんです。その後は動画編集を外注する余裕も出てきて、会社員をしながらでも無理なく続けられるようになりました。なので、ストック型の副業は結果がなかなか出なくてもしばらく継続してみるといいと思います。
「インデックス投資」の長期運用で資産を形成
――ゆみにゃんさんは、資産をふやす方法として投資もされていますよね。
ゆみにゃん:はい。ある程度貯金がたまったところから、投資で資産をふやしてきました。ただ、注意してほしいのは「投資」と「投機」を間違えないことです。後者の投機はギャンブルのようなもので、初心者が挑戦しても多くの場合お金を失ってしまうだけです。
たとえば、FXや個別株のデイトレード(※1)などが代表的です。なぜリスクが高いのかというと、これらの投機は誰かが得をすれば誰かが損をする「ゼロサムゲーム(※2)」だからです。得をする側になれればいいのですが、プロと戦って勝てる初心者はまずいません。私も痛い目を見たことがあるので、やめておいたほうがいいですね。
――では、ゆみにゃんさんはどんな投資をしているのでしょうか?
ゆみにゃん:私がしているのは「インデックス投資」です。インデックス投資とは、市場の動きに連動した成果を目指す投資信託(ファンド)を購入して運用することを言います。インデックス投資はゼロサムゲームではなくプラスサムゲーム(※3)で、「市場の成長に皆で乗っかろう」という考え方です。
なかでも、VTI(※4)の運用に力を入れています。日本は経済成長が鈍化しているので、米国株の伸びに期待しているんです。
(※1)銘柄をその日のうちに売買し、取引を翌日に持ちこさない投資手法。売買のタイミングが難しく、短期間で大きな損失が出る可能性もある。
(※2)ゲーム理論の用語で、プレイヤーの利益と損失の合計がゼロになるゲーム。プレイヤーは必ずWin-Loseの関係になる。
(※3)ゲーム理論の用語で、プレイヤーの利益と損失の合計がプラスになるゲーム。プレイヤーはWin-Winの関係になることもあれば、Win-Loseの関係になることもある。
(※4)アメリカ株式市場の大型株から中小型株まで約4,000銘柄で構成されている上場投資信託
――インデックス投資で損をすることはないのでしょうか。
ゆみにゃん:インデックス投資も下がることはあります。だいたい10年に1回は大きな経済危機があると言われているからです。最近だとコロナショックやリーマンショックですね。ただ、長期的に見ると世界経済は着実に成長していますし、経済危機で一時的に下がっても、いずれは回復してさらに成長するものだと思っています。
なので、一度インデックス投資の積み立ての設定をしたら、そのこと自体を20年間くらいは忘れることにしています。というのも、インデックス投資で20年くらい経つと、プラスに転じると考えているからです。その後は投資でふえたお金にさらに運用益がつく「複利」の効果で、どんどん利益が伸びると思っています。
資産形成はあくまで手段。大事なのはどう生きたいか
――保険については、どうお考えでしょうか。
ゆみにゃん:お子さんがいる場合は、定期死亡保険(※4)に入っておくのがいいと思います。お子さんが生まれてから大学を卒業するまでの期間が、人生でもっともお金のかかる時期だからです。その時期に親に何かあると、お子さんが学校に通えなくなってしまうかもしれません。ですから、家族の大黒柱である人は定期死亡保険を活用しましょう。
(※4)保険期間は一定で、その期間に死亡した場合に保険金が受け取れる。
――ゆみにゃんさんのように、資産をふやしてサイドFIRE(セミリタイア)したいと憧れている人も多いと思います。アドバイスやメッセージがあれば、お願いします。
ゆみにゃん:サイドFIREをするとなると、かなりの資産が必要になります。先ほど言ったように、転職して年収1,000万円超を目指したり、副業を本気でがんばってストック型の仕事で収入を得たりする必要も出てくるでしょう。
1日でどうにかなることではないので、10年くらいのスパンでプランを立てる必要があります。それだけ長く継続して資産形成に取り組むのは大変ですし、1人だと挫折しそうになることもあると思います。なので、取り組みを共有できる仲間を見つけて一緒にがんばるのがおすすめです。私も一緒にがんばってきた副業仲間がいて、勉強会で話したり励まし合ったりしたからこそ今があります。
ただ、そもそもなぜサイドFIREをしたいのかを考える必要がありますね。もしお金ではなく本当は自由が欲しいのであれば、節約やミニマリストの実践で生活をダウンサイズすることで、ゆるく働きながら自由な生活を送ることもできます。大切なのは、自分がどういう生活をしたいのか、どう生きたいのかを明確にすることです。資産形成はあくまでも手段ですから。
――ゆみにゃんさんご自身は今後、どのようなライフプランを描いていらっしゃるのでしょうか。
ゆみにゃん:最近、フィリピンのセブ島に留学したことが楽しかったので、また留学したいと考えています。その後は世界中を周ったり、海外で生活したりしたいですね。世界中に友だちを作って、いろいろなことを経験するつもりです。
それが落ち着いたら、里親制度を利用して子育てもしようと思っています。その先については、そうした経験を通してさらにやりたいことが見えてくるのだと思っています。
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著者:ミニマリストゆみにゃん/発行:株式会社KADOKAWA
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取材・文:山田井ユウキ
撮影:井手勇貴
ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号