ミニマリストゆみにゃん貯金ゼロから資産5,000万円に!物欲と支出を管理するコツとは?
お金に関する悩みは、誰もが持っているものです。とくに「貯金しているつもりなのに、ぜんぜんお金がたまらない」と感じている人は多いのではないでしょうか。なぜお金がたまらないのか。そこにはさまざまな原因があります。今回は、貯金ゼロから資産5,000万円を達成して会社を退職、現在は自由な生活を楽しんでいるミニマリストゆみにゃんさんにインタビュー。かつては「散財モンスター」だったと言うゆみにゃんさんが、どのようにして物欲をコントロールしていったのか。また、買い物のコツ、支出に対する考え方についてお聞きしました。
貯金ゼロから9年で資産5,000万円に
――現在は資産5,000万円を達成したそうですが、かつては貯金ゼロの状態だったそうですね。当時の状況を教えていただけますか。
ゆみにゃん:貯金がゼロだったのは27歳の頃です。もともと私は子どもの頃からゲームクリエイターになりたいという夢があって、情報系の大学で必死にプログラミングを勉強して念願のゲーム会社に就職しました。でも、激務で体調を崩してしまい、早く結婚して仕事を辞めたいと考えるようになったんです。
そんな思いから、25歳の頃には19歳から付き合っていた彼氏と婚約・結婚して、マイホームも購入しました。でも、そんな生活も長くは続かず、夫婦の不和により私は家を出ることになりました。このとき、結婚関係の費用やインテリアの購入などで貯金を使い果たしていたので、貯金ゼロという状態になってしまったんです。
――そんな時期があったんですね。その状況からどんな流れで今に至ったのでしょうか。
ゆみにゃん:27歳で貯金がゼロになってしまいましたが、少しずつ貯金してお金をためていきました。初年度は100万円、2年目は200万円と順調にお金がたまり、転職で年収が上がったこともあって、32歳の頃には資産1,000万円を達成しました。そのあたりから投資や副業が軌道に乗り、36歳で資産4,000万円を超えたところで会社員を辞めて、今は自由なライフスタイルを楽しんでいます。
――貯金ゼロから、まず5年で1,000万円を達成したんですね。そう聞くと、トントン拍子に思えますね。
ゆみにゃん:いえ、全然そんなことはなかったです。途中でせっかくためたお金を仮想通貨や不動産の投資詐欺で失いましたし、山あり谷ありでした。それに、20代の頃は仕事やプライベートのストレスを解消するために買い物依存の「散財モンスター」になっていた時期もありましたよ。
物欲を抑えるにはモノを減らすのが効果的
――散財モンスターですか。現在のミニマリストとしての生活とは真逆だったんですね。その状態から、どう物欲をコントロールしたのでしょうか。
ゆみにゃん:物欲を抑えるのに効果的だったのは「モノを減らす」ことでした。逆に言うと、モノが多いと物欲はどんどん増えてしまうんです。たとえば新しいコートを買うと、それに合う靴やバッグも欲しくなりますよね。あるいはiPhoneを買ったら、AirPodsやApple Watchが欲しくなると思います。
こんなふうに、新しくモノを買うとそれに合わせて周辺のモノも欲しくなったり、ラインナップをそろえたくなったりする心理を「ディドロ効果(※1)」と呼びます。
――モノがあるとさらにモノが欲しくなるのは、用語があるくらいよく知られた心の動きなんですね。
ゆみにゃん:はい。ですから支出を減らして節約するなら、まずはモノを処分するところから始めるのがいいですね。最初は捨てにくいと感じるかもしれませんが、捨てることで本当に自分が大切だと思うモノが見えてくるというメリットがあります。
――どのあたりから捨て始めるのがいいのでしょうか。
ゆみにゃん:誰もが持っていて、増えがちな服関連から始めるのがいいかもしれません。私も200着から20着まで厳選して減らしました。あとは、ガジェット系やコレクションしがちな高価なモノも見直しましょう。ポイントは、「第三者がいて初めて価値が出るモノ」を手放すことです。たとえば、ハイブランドの時計や靴、バッグは他の人と比較することで価値を感じることが多いですよね。
そういうモノを買い始めると、社会の中で終わりのないマウンティング競争に参加することになってしまって、どんどん疲弊するだけです。なぜなら、ビル・ゲイツよりお金持ちになれることなんてほぼないので、いつかは負ける勝負なんです。見栄を張るのはやめて、マウンティング競争から離脱しましょう。そうすれば気持ちもラクになるし、物欲からも解放されます。
(※1)新しいモノを手に入れたとき、調和や統一を図るためにそれに合うモノをさらに求める心理のこと。
小さな買い物と大きな買い物のコツ
――本当に必要なモノを見極める習慣が身に付けば、物欲もコントロールできるようになりそうですね。必要なモノと言えば日用品や消耗品がありますが、賢く購入するコツはありますか?
ゆみにゃん:「経済圏」を活用するといいですよ。経済圏とは、同じ提供会社のさまざまなサービスを活用して、ポイントなどをおトクにためることです。私は普段の生活で利用するサービスを「楽天」で統一しています。楽天市場では、毎月数回だけポイントが多く付く日があるので、買い物はそのタイミングでまとめてします。
このやり方には、ポイントが付くこと以外にもメリットがあるんです。欲しいモノはいったんカートに入れるのですが、ポイントが多く付く日にしか購入しないので、しばらくカートに放置することになります。そうすると冷静になって、衝動買いを抑えられる効果もあるんです。
――確かに。おトクにポイントがもらえて衝動買いも抑えられるなら、一石二鳥ですね。
ゆみにゃん:それでもどうしても買い物をしてしまうなら、1つ買ったら1つ手放す「ワンインワンアウト」を実践しましょう。モノの総量が増えないのはもちろん、自然とモノ同士を比較して冷静になれる効果もあります。
仮にコートを買うなら、今持っているコートは捨てないといけません。そうなると「やっぱり今持っているコートのほうが好きだな」などと気づけるので、無駄な買い物を減らすことにもつながるんです。
――日々の買い物は教えていただいた方法で賢くできそうです。マイホームなどの大きな買い物を考える場合は、どうすればいいでしょうか。
ゆみにゃん:家の購入に関しては注意が必要です。不動産会社は大きなローンを組ませたがるのですが、年収の5倍を超えると生活は厳しくなると思います。ですからどうしても家を購入したいのなら、まず子どもの学費や親の介護費用など、今後必要になるお金を洗い出して、ライフプランをしっかり見積もってから検討したほうがいいですね。
それと、コストの面で賃貸以上のメリットを得ようと思ったら、都心の駅近など資産価値が落ちにくい物件を選んで約40年程度住む必要があると思います。ただ、実際には一生モノと思ってマイホームを購入しても、20年ほどで手放す人が多いそうですよ。
――賃貸を選ぶという手もありますよね。
ゆみにゃん:そうですね。特に副業などで個人事業主になるなら、家賃の一部を経費にできます。長期的には住宅ローン控除よりも節税になるので、個人事業主なら賃貸のほうがいいと思います。
――ゆみにゃんさんご自身は、最近大きな買い物はしましたか?
ゆみにゃん:会社を辞めてから、フィリピンのセブ島に3か月間留学したときに、費用として90万円ほどかかりました。最近の大きな支出と言えばそれぐらいで、もう私は物質的なモノに価値を感じることはほとんどなくなりましたね。
1年で100万円の無駄な支出をしているかも?
――ゆみにゃんさんは、貯金ゼロから節約を始めて1年目に100万円、2年目に200万円と貯金をふやしていったとおっしゃっていましたよね。最初から資産としていくらためよう、と意識されていたのでしょうか。
ゆみにゃん:最初はあまり資産という形で意識していたわけではなく、貯金してお金がふえていくのがただ楽しい、という感覚でした。なので1年目の100万円も、可能な限り節約していったら結果としてたまったという感じでした。
ただ、この100万円という数字はけっこう再現性が高いと思っています。というのも、私のYouTubeチャンネルの視聴者さんや交流会でお会いする人で、「家計簿をつけて支出を減らしたら、1年で100万円たまりました」とおっしゃる方が多いんです。そう考えると、多くの人がしている無駄な支出は、だいたい1年で100万円くらいと言えるのかもしれません。
――それはすごい。もし100万円も無駄にしていることに気づけたら、生活に大きく影響しますね。
ゆみにゃん:そうなんですよ。そのためには、家計簿アプリなどで支出を見える化することが大切です。そしてまず最初に見るべきは、変動費よりも固定費。節約というと、「今日は300円のシュークリームじゃなくて100円のほうで我慢した」みたいな話になりがちですよね。でも、そういう安いモノへの置き換えによる節約は、苦労の割に効果が薄いんです。
それよりも、家賃や通信費などの固定費を見直すところから始めましょう。たとえば、スマホを大手キャリアから格安SIMに替えると、利便性はそんなに変わらないのに、毎月の支出は大きく減らすことができます。
――ゆみにゃんさんご自身は、固定費をどのように見直したのでしょうか。
ゆみにゃん:私の場合、一番効果が大きかったのは引っ越しでした。32歳の頃に転職したのですが、その少し後に当時住んでいたところよりも家賃が半額安い部屋に引っ越したんです。転職で年収が200万円も上がったにもかかわらず家賃を大幅に下げたので、それを知った当時の上司にはずいぶん心配されました(笑)。
でも、引っ越しただけで年間72万円も家賃による支出を下げられたんです。古いアパートですが、部屋はDIYできれいにしたので生活の質は落ちていません。引っ越しは貯蓄において大きなステップだったと思います。
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著者:ミニマリストゆみにゃん/発行:株式会社KADOKAWA
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- 取材・文:山田井ユウキ
- 撮影:井手勇貴
ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号