「日経平均株価」と「TOPIX」の違いは算出方法と構成銘柄にあった
「日経平均株価」と「TOPIX」という言葉はよく耳にするものの、それぞれの違いについてはよく分からないという人も多いのではないでしょうか。
日経平均株価とTOPIXの大きな違いは、指数の算出方法と構成銘柄にあります。そこでこの記事では、この2点に焦点を当てて解説していきます。
日本の株式市場の動向を表す主要な指数を理解し、今後の新NISAやiDeCoでの投資に役立ててください。
日経平均株価の基礎知識
日経平均株価とは、日本の株式市場を代表する株価指数の一つで、日本経済新聞社が東京証券取引所プライム市場上場銘柄から選定した、225銘柄から構成される平均株価のことです。単位は「円・銭」で表されます。
日本の株式市場の大きな動きを把握する為に幅広く活用されます。
日経平均株価の構成銘柄
東京証券取引所プライム市場には約1,700銘柄が上場していますが、そこから225銘柄が選定されます。この銘柄構成は年2回(原則として4月と10月の第1営業日)定期的に見直され、毎回3銘柄を上限に入れ替えが行われます。
定期見直しには、市場流動性とセクター(技術、金融、消費、素材、資本財・その他、運輸・公共の6つの分類)間のバランスが考慮されます。
この見直しによって、
- 長期間にわたる継続性の維持
- 産業構造変化の的確な反映
という、2つの側面を満たすことを目指した銘柄構成を目指しています。
日経平均株価の算出方法
日経平均株価は、1950年9月7日に算出が開始されました。東京証券取引所で株式が立会取引されている時間帯に、5秒間隔で配信されます。
日経平均株価は、指数を構成している225銘柄の株価平均型で算出されています。
株価平均型といっても、それぞれの株価の総和を銘柄数で割る単純平均ではありません。構成銘柄の株価に定数を掛けて合計し、固定の分母(除数)で割ることによって求める方式をとっています。
この定数のことを「株価換算係数」と呼んでおり、構成銘柄に大幅な株式分割や株式併合があっても、指数算出に用いられる株価が変わらないように調整しています。
また、「除数」は銘柄数を基準として、構成銘柄の入れ替えなどの際に値を修正することで、指数が連続性を保つ役割を果たしています。
日本の株価マーケットを代表する指数
日経平均株価は、日本の経済動向を映し出す重要な指標とされていて、「日経平均」や「日経225」という呼び方でニュースに取り上げられます。
比較的歴史が長いことから、「日経平均株価はバブル期以来の高値を…」などと、過去と比較されて話されることが多い指数です。
TOPIXの基礎知識
TOPIXとは「Tokyo Stock Price Index」の略で、東証株価指数とも呼ばれます。
東京証券取引所に上場する銘柄を対象として算出されている株価指数で、日経平均株価と並ぶ日本の代表的な株価指数です。単位は「ポイント」で表されます。
TOPIXの構成銘柄
2022年4月4日の東京証券取引所の新市場区分移行までは、東証1部上場の全銘柄がTOPIXの構成銘柄でした。
しかし、2022年4月4日の新市場区分移行を契機に構成銘柄が見直されることとなり、原則として東証プライム市場に上場する全銘柄をカバーしますが、現在は各市場から選定された約2,200銘柄が採用されています。
また現在は、東証市場再編後の移行期間(2022年4月~2025年1月末)であり、構成銘柄の見直し中です。
新市場区分移行前に採用されていた銘柄は、市場にかかわらず継続採用されていますが、流通株式の時価総額が100億円未満の銘柄は、「段階的ウエート低減銘柄」とされ、2022年10月末から2025年1月末まで四半期毎に構成比率が引き下げられる見込みです。
2025年1月末までに時価総額の改善が認められない場合、TOPIXの構成銘柄から除外されます。
TOPIXの算出方法
TOPIXは東京証券取引所より算出され、1968年1月4日の時価総額(株価×発行済株式数)を100ポイントとし、これを基準指数として算出されます。
計算式は「算出時の時価総額÷基準時の時価総額×100」となり、1968年1月4日の基準指数100ポイントとの増減を示します。この方式は株価総額加重型と呼ばれています。
TOPIXの値動きを見ることで、日本株全体の動きを把握でき、1968年以降の日本の経済状況がどのように動いているかを知ることができます。
ベンチマークとして利用される
国内株式で運用される投資信託のベンチマークとしては、TOPIXの方が日経平均株価よりも多く採用される傾向にあります。
日経平均株価とTOPIXの違い
では、ここまで挙げた2つの指数の算出方法や構成銘柄の違いから特徴を比べてみましょう。
算出方法の違いから見る特徴
株価平均型である日経平均株価は、調整されているとは言え225銘柄の株価の平均値に近い考え方であるため、1単元あたりの株価水準が高い「値がさ株」の影響を受けやすいという特徴があります。
一方で、時価総額加重平均型で算出されるTOPIXは、各銘柄の時価総額(株価×発行済株式数)の合計を基に算出されます。時価総額が大きい「大型株」が構成比率の上位を占めるものの、銘柄数が約2,200と多いことから、一つの銘柄による指数への影響は小さいと言えます。
構成銘柄の違いから見る特徴
日経平均株価の構成銘柄は、東京証券取引所プライム市場に上場されている銘柄の中から構成されます。他の市場であるスタンダード市場やグローバル市場の影響は受けません。
一方TOPIXは、東京証券取引所の各市場(プライム市場、スタンダード市場、グロース市場)から選定された約2,200銘柄で構成されています。
TOPIXの方が日本の株式市場を広範に網羅している為、日経平均株価よりも日本株式市場全体の値動きを表している点が大きな特徴です。
投資に活用する為の注意点は?
日経平均株価とTOPIXを、運用や市況の判断に活用する際には、どんな点に注意したらいいのでしょうか。
ここまで解説してきた、日経平均株価とTOPIXの違いを表で再確認してみましょう。
これらの違いから、2つの観点で投資判断に活用できるポイントを整理します。
投資対象の選定
新NISAが始まり、投資信託に興味を持つ人もふえてきました。投資信託には、インデックス型というものがあり、ターゲットとしている指数の動きに近い運用を目指しています。
日経平均株価をターゲットとしている投資信託は、225社の大型株を中心とした株価の値動きに連動する傾向があります。一方で、TOPIXに連動する商品は、より多様な企業の株価の値動きに連動する傾向があります。
同じ日本株に投資をする投資信託でも、どちらを指数として採用しているかで値動きが異なる為、より自分の投資意向に沿ったインデックスファンドを選びましょう。
市場動向の分析
日経平均株価は、大型株の中でも株価水準の高い値がさ株の影響を受けやすく、一方でTOPIXは多くの銘柄の動きを反映します。
したがって、特定の大手企業の動向を分析したい場合は日経平均株価を、市場全体の動向を分析したい場合はTOPIXが適しているといえます。
新NISAやiDeCoを活用して日本株へ投資する
近年、日本企業が海外から再評価されていると言われています。その影響もあり、2024年3月4日には日経平均株価も終値で初の4万円台を突破しました。
日経平均株価やTOPIXの動向は、今後の日本経済を見通すカギとして、更に注目を浴びそうです。今後、新NISAやiDeCoを活用し、これらの指数に連動するインデックスファンドに投資する人も更にふえていきそうです。
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▼参考
日経平均株価の算出方法
株式会社日本経済新聞社 日経平均株価 算出要領(2022年4月4日適用予定)
ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号