保険は共済で十分?生命保険との違いやメリットとデメリット
民間の生命保険には加入せず、共済で十分と考えている方も多いのではないでしょうか。共済は、非営利団体が「相互扶助」の理念のもとで運営しています。安い掛金で、入院や死亡に対して備えられる点が特徴です。
共済でも、ある程度のアクシデントや事故に備えることはできますが、保障が十分かどうかはケースバイケースです。家族構成や資産状況によっては、共済だけでは保障が不十分となるケースも考えられます。
こちらの記事では、民間保険や共済の基礎知識をお伝えし、民間保険に加入せず共済だけで十分な保障を得られるのか、また共済のメリット・デメリットについて解説します。最適な保険を探している方に役立つ内容となっているので、ぜひご覧ください。
共済とは?
まずは、共済に関する基本的な仕組みや生命保険との違いについて解説します。
共済の仕組み
共済とは、組合員同士の「相互扶助」を目的に、非営利団体が運営している保障事業です*1。掛金を組合員で出し合い、組合員の死亡や組合員の入院で医療費が必要なときなど、誰かが困った事態に陥ったときに出し合ったお金を支給する仕組みです。
共済に加入するには、組合員としての要件を満たしたうえで、出資金を支払う必要があります。
*1https://www.jcia.or.jp/insulance/
共済の主な種類
共済には、都道府県民共済や小規模企業共済、共済年金のようにさまざまな種類があります。なお、全国展開している共済は主に以下の4団体です。
都道府県民共済*2 | 都道府県に居住する、もしくは勤務先がある場合に加入できる。たとえば、東京都に住んでいる方には東京都民共済、神奈川県に住んでいる方には神奈川県民共済がある。転居する場合は「移管手続き」を行うことで保障を引き継ぐことが可能 |
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こくみん共済coop(全労済)*3 | 全国労働者共済生活協同組合連合会が運営しており、共済の中では保障のバリエーションが多い |
コープ共済*4 | 日本コープ共済生活協同組合連合会が運営し、加入にあたっては居住している地域のコープ組合員になる必要がある |
JA共済*5 | 農業協同組合(JA)と全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)が共同で運営しており、農家ではない方でも准組合員として加入できる。准組合員になるには、出資金を支払う必要がある |
いずれの共済も「相互扶助」の理念のもと、組合員同士で掛金を出し合う構造です。組合員の対象者に違いがありますが、事業の本質は同じです。
*2https://www.kyosai-cc.or.jp/yakusoku/
*3https://www.zenrosai.coop/about/kyosai-2.html
*4https://coopkyosai.coop/about/
*5https://www.ja-kyosai.or.jp/about/
生命保険と共済の違いは?
生命保険と共済は「お金を出し合って、困っている人を助ける」という、根本的な仕組みは共通しています。どちらも「万が一の事態に備えるもの」ではありますが、運営主体や根拠法令、監督官庁などに違いがあります。*6
生命保険は、法人である保険会社が「利益」のために事業を運営しています。一方で、共済は非営利団体が組合員の助け合いを目的に運営しています。そもそも、運営目的が違うのです。
また、生命保険会社と共済の大きな違いとして、セーフティネットの有無があります。セーフティネットとは、万が一保険会社が経営破綻した場合に、契約者を保護する仕組みです。
セーフティネットがあることで、保険契約を継続させ、原則として保険契約の責任準備金などの90%まで補償を受けられます*7。共済には、運営組織が破綻した場合の補償がない点を押さえておきましょう。
生命保険と共済にはそれぞれメリットとデメリットが異なります。ですから、以下の内容を参考にしながら、自分に合っている保障を選びましょう。
*6,*7https://www.yokohamashimin-kyosai.or.jp/whatkyosai/construction/
生命保険に加入しなくても共済で十分?
生命保険への加入をおすすめするケースと、共済への加入をおすすめするケースをそれぞれ解説します。自分に合っている保障がどちらか考えましょう。
生命保険への加入がおすすめのケース
保障内容をカスタマイズしたい方や、死亡保障を厚く設定したい方には、生命保険がおすすめです。保障内容や特約の豊富さは、民間企業としてきめ細かいサービスを提供できる生命保険に分があります。
都道府県民共済における死亡保障の最高額は「18~60歳の方が交通事故で死亡したとき」の2,000万円です。*8一方で、生命保険会社は1億円以上の保障を設定できることが多いことから、手厚い死亡保障を得たい場合は生命保険会社の方が安心できるのではないでしょうか。
また、終身型の保障を選びたい方や、保障を継続するためのセーフティネットが欲しいと考えている方にも、生命保険会社の方がおすすめできます。
共済の中にも終身保険を取り扱っているところはありますが、商品の数としては生命保険会社の方が多くあります*9。終身死亡保険や終身医療保険など、終身にわたって充実した保障が欲しい場合は、共済ではなく生命保険への加入をおすすめします。
共済の保障額だけでは万が一の際にお金が不足しそうな方や、自分に合った保障内容を柔軟に組み合わせたい方は、生命保険が向いている可能性が高いと考えられます。
*8https://www.tomin-kyosai.or.jp/product/life/total/security.html
*9https://www.ja-kyosai.or.jp/okangae/person/shushin/
共済への加入がおすすめのケース
毎月の掛金(保険料)を抑えたい方や、十分な貯蓄があり最低限の保障で十分と考えている方には、共済がおすすめできます。共済は非営利である特性上、安い掛金でバランスのいい保障が得られます。*10
たとえば、都道府県民共済の「生命共済」に加入すれば、入院・通院・後遺障害・死亡・高度障害に備えることが可能です。1つの共済に加入すれば幅広いアクシデントに備えられるため、複数の保険に加入することが面倒と感じる方に、共済が向いている可能性があります。
また、既に生命保険に加入しており、不足分をカバーしたいと考えている方にも共済はおすすめできます。たとえば、「死亡保障は手厚く用意しつつ、最低限の入院・通院保障が欲しい」と考えている方にとっては「生命保険の死亡保障+共済」でバランスよく万が一に備えられるでしょう。
大きなリスクに対して共済と貯蓄でカバーできそうな方や、掛金の負担を抑えつつバランスのいい保障を得たい方は、共済への加入を検討しましょう。
*10https://www.kyosai-cc.or.jp/aboutus/reasons/
生命保険のメリットとデメリット
共済との違いも押さえた上で、自分が「生命保険に向いているかどうか」を判断しましょう。
生命保険のメリット
生命保険は、保険商品によって差があるものの、保障金額の上限が共済より高いのがメリットです。また、各保険会社が様々な保険商品を開発・販売していることから、保険内容を選べる自由度が高いのも特徴です。
多くの選択肢の中から、柔軟に保障プランを組み合わせることで、自分のライフステージに合った保障を得られるでしょう。
また、保険会社が破綻しても、生命保険契約者保護機構による保護が受けられます。セーフティネットがあり保険会社に万が一、破綻する事態が起きても保険契約は保護されます。*11
*11https://www.fsa.go.jp/ordinary/hoken_hogo/index.html
生命保険のデメリット
生命保険は、共済とは異なり営利団体である企業が販売しています。生命保険は共済よりも保障が手厚いことが多く、その結果として保険料が共済よりも高くなり、家計への負担が重くなることがあります。
年齢や健康状態などの条件によって保険料が変わりやすく、最適な保険に加入するには、複数の商品を比較検討することが大切なポイントです。*12
多くの保険商品の中から、ご自身の家族構成やライフステージに合ったものを探す手間が発生する点も、生命保険のデメリットと言えます。
*12https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/145.html
共済のメリットとデメリット
生命保険との違いを確かめ、必要に応じて共済への加入も検討することをおすすめします。
共済のメリット
共済は非営利団体が運営している特性上、掛金が安いのが特徴です。全国生協連も、県民共済は「誰もが真に必要とする掛金負担の小さい共済」を目指しているとうたっています。*13
月々1,000円~2,000円で加入できる共済もあり、家計の負担を抑えられる点は共済のメリットといえます。また、共済では、給付金の支払状況によっては「割戻金」が受け取れる場合があります。
都民共済では令和4年度実績で、総合保障型・入院保障型の割戻率が11.69%となっており、決算次第で掛金の一部が戻ってきます。*14このように、掛金の一部を加入者に還元する仕組みがあることから、加入者の経済的負担が軽減されます。
共済では、一般的に掛金が年齢や性別にかかわらず一律です。*15生命保険では、一般的に年齢が上がれば上がるほど保険料も高くなります。そのため、中高齢以上の方でも低い掛金負担で加入できる点も、共済のメリットです。
*13https://www.kyosai-cc.or.jp/aboutus/reasons/
*14https://www.tomin-kyosai.or.jp/original_sp/about/return.html
*15https://www.ja-kyosai.or.jp/enjoy/find/about_kyosai/
共済のデメリット
共済は、生命保険と比較すると保障金額が少なく、保障内容が限定されているケースが一般的です。共済だけでは死亡保障が足りないケースや、希望通りの保障が得られないケースが起こり得る点はデメリットと言えます。
また、共済には終身型の保障が少ない傾向にあります。満期を迎えると保障がなくなってしまうことから、生涯にわたり保障を得たいと考えている方には相性が悪いかもしれません。
共済は、高齢になるほど保障内容が狭くなります。共済が満期を迎え保障がなくなり、生命保険に契約しようとしても、年齢や健康状態によっては加入できないことがあります。あるいは、一般的な保険よりも保険料が高い無選択型保険しか加入できないケースも考えられるでしょう。
共済には生命保険のようなセーフティネットがなく、運営組織に万が一のことがあると契約が保護されません。共済は掛金と給付のバランスを取りながら運営しているとはいえ、セーフティネットがない点はデメリットと言えるでしょう。
保障が共済だけで不十分な場合は生命保険を検討しよう
共済だけで保障が十分であるかは、個人の状況によります。共済は掛金が安く、基本的に掛金が年齢や性別にかかわらず一律であるメリットがあります。
しかし、共済は保障金額の上限が低いのがデメリットです。必要に応じて生命保険の加入を検討しましょう。共済も生命保険も「万が一の事態に備える」という本質は共通しているとはいえ、保障が不十分だと加入するメリットが得られません。
ソナミラでは無料で相談を行っており、複数の保険会社の商品を取り扱っています。自分だけでは面倒な保険商品の比較検討をコンシェルジュに任せることができ、一人ひとりに合ったプランを提案してもらえます。
「保障が共済だけで十分か判断できない」「加入する必要性がある保険は何なのか、自分だけでは分からない」という方は、保険のプロと相談してみてはいかがでしょうか。
保険商品の選び方や、お金やマネープランに関する相談を、担当者が責任をもって応じます。ぜひお気軽にソナミラへお問い合わせください。
ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号