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がんの自由診療とは何?がん保険を検討する前に知っておきたいこと

目次

がんの治療には、大きく分けて保険診療と自由診療があります。
保険診療は、厚生労働省が認可した治療のことです。科学的な根拠に基づいた治療であり、効果が高いとされています。これらの治療を「標準治療」と呼んでいます。

標準という名称から、「基礎的な治療しか受けられず、高度な治療は自由診療でしか受けられない」と理解している人がいるようですが、これは誤りです。最も効果的な治療が標準治療です。ですから、がんは、まず標準治療を軸に進めていくことが大事だと言われます。

一方で自由診療は、厚生労働省が認可していない治療のことです。臨床試験の終了していない抗がん剤や、実績の少ない治療法は、健康保険の適用とならず治療費は全額自己負担となります。

このように、保険診療と自由診療で治療費に大きな差が出ることから、
「がんは標準治療だけで治せる!がん保険は要らない」
「自由診療のときの費用負担が重くなるかもしれないから、がん保険は必要」
など、意見が分かれるところでもあります。

今回は、がんの自由診療とは何か、その治療を選択するときは、どのようなケースかを考えていきます。がん保険に加入すべきかどうかを悩んでいる人は、参考にしてみてください。

保険診療と自由診療の違い

保険診療と自由診療の違いに悩む女性

まず、保険診療と自由診療の違いをもう少し細かくみてみましょう。

保険診療とは

保険診療とは厚生労働省が効果を認めた治療で、標準治療と呼ばれます。保険適用となるために、科学的な評価メカニズムを経て、承認されます。
新薬が保険診療として認められるプロセスを見てみましょう。

まず、第一段階で細胞やマウスを使った基礎研究を行います。次に第二段階から第四段階までは、人に対して毒性があるか、効果が確実にあるのかの判定を行っていきます。
こうして選ばれた、10,000分の1となるエリートの治療薬が標準治療です。冒頭で最も効果的な治療とお伝えしたのは、このような理由からです。

この標準治療は保険診療となっているので、健康保険に加入している全ての人が、一定の自己負担割合(1~3割)で受けられます。
また、高額療養費制度を活用することで、1か月にかかる医療費のうち、一定の金額を超えた部分は払い戻されます。

自由診療とは

自由診療とは、健康保険が効かない治療です。
保険診療と異なり、患者と医療機関との個別契約となるため、治療の内容や費用を病院側が自由に決められます。

例えば、海外ではがん治療に有効だと認められている抗がん剤でも、日本では未承認のため自由診療となるものがあります。例えば2023年3月31日時点では、182の抗がん剤が日本では未承認または適応外薬となっていますが、これらは米国もしくは欧州では承認されている薬です。

また特定の部位のがんの治療では保険適用されるが、他の部位のがんに使用すると自由診療となるケースもあります。このように、どの部位のがんの治療に使用するのかも含めて、保険適用かどうかが決まっています。
では、自由診療を選ぶのはどういうときでしょうか。

一つのケースとしては、保険診療の治療法では効果が見られず、評価療養でも選定療養でもない民間の治療法に臨むときです。この場合の自由診療は、保険診療と併用できる先進医療とは異なり、保険診療との併用が出来ません。
本来であれば健康保険の適用が受けられる治療であっても、自由診療と混合で受けてしまうと、医療費は全額自己負担となり、大変高額になることもあります。

がんの治療法は何が最適なのか

がんの3つの治療法


がんの治療というと、抗がん剤を投与し、その副作用で毛髪が抜けてしまうシーンを思い浮かべる方が多いようです。これはがん治療のひとつである、抗がん剤を使用した化学療法です。これ以外にも様々な治療があります。
がん治療の基礎知識として、どのような治療法があるのかを知っておきましょう。

メインの治療法は3つ

標準治療には一般的に「手術療法」「放射線療法」「化学療法」の3つがあり、状況によって2つ以上の治療を組み合わせることもあります。
たとえ同じがんでも、人それぞれ、がん細胞の悪性度や遺伝変異の状態などが微妙に異なります。また、がんの進行度も異なります。ですから、一人ひとりの体型にあわせて服を作るようなオーダーメイドの治療が必要になってくるわけです。

通院での治療も増えている

過去、がん治療は手術療法が主流でしたが、現在では放射線療法や化学療法に移ってきているようです。
放射線療法は、がん細胞に放射線を照射して破壊する方法で、切らずに狙ったがん細胞を破壊できることから体への負担が手術療法よりも少ないと言われます。

化学療法は、抗がん剤を注射または飲み薬として処方します。血液に乗せて薬剤を全身へめぐらせ、転移したがん細胞を破壊する治療法です。
いずれの治療法も、体への負荷が小さいことから、通院で治療が可能なケースが増えてきました。入院治療と比べ、通院での治療は自分のペースで生活ができるというメリットがあります。

しかし、日常生活を送りながら通院をするという体力面での不安や、周りに医療関係者がいないことによる精神面の不安というデメリットもあります。
また、抗がん剤治療では、免疫力が低下するため、人との接触を避けなければならないケースもあります。通院治療だから仕事と両立ができるということにはならないようです。

がんを恐れないための3つの心構え

放射線治療を受ける男性


日本では生涯において2人に1人ががんに罹患し、年間の死亡者のうち3人に1人ががんで亡くなります。これだけ生命を脅かす病気であるにもかかわらず、その治療法について一般人が学ぶ機会が少ないように思います。
一方で必要以上に恐れる必要もなくなってきています。がんはもう不治の病ではなく、検診による早期発見や早期治療で、9割以上が治る時代になっているとも言われています。

がんに対する知識不足が、がん検診の受診率の低さにもつながっていることを考えると、もったいないことではないでしょうか。
また、がん治療をするための病院選びや治療法の選択は、身近な人ががんに罹って初めて直面する問題です。その状況になって、慌てて情報収集をすると、誤った情報を仕入れてしまうこともあります。

がんに関する情報の中には、「○○を食べるだけでがんが治った」など、極端な個人の体験を紹介しているものも多くあります。その中には、誇張や嘘で、現実とかけ離れた話にしているものもあるので、鵜呑みにしないようにしましょう。
このような情報に惑わされないために、最低限の知識を身につけて、準備しておくことが必要です。
そのための3つの心構えをお伝えします。

心構え1.国立がんセンターの情報をみる

国立がんセンターが運営する公式サイト「がん情報サービス」では、がんに関するさまざまな情報を、書籍・小冊子・ウェブサイトを通じて発信しています。
いざという時に備えて、こういった信頼のおけるサイトから情報収集をしておくと良いでしょう。

心構え2.緊急予備資金を準備しておく

がん治療を検討するうえで、まずは健康保険が適用となる治療から考えることが第一です。
がんになると、病気の進行や治療法のことだけでなく、費用のことも気になります。がんの治療にかかる費用は、治療費に留まりません。入院時の食事代、副作用によって抜けた頭皮を覆うウィッグの費用、お見舞いに来る人の交通費等、治療期間が長引けば長引くほど経済的なダメージも大きくなります。

がん治療を受けるにあたっては、これらの治療に関する費用だけでなく、治療後の療養生活にかかる費用や働けない期間にかかる生活費まで見据えて計画を立てる必要があるでしょう。
先述した通り、健康保険が適用される治療であれば、医療費の自己負担は1割から3割で収まるだけでなく、月ごとに自己負担限度額を超えた分の払い戻しを受けられる、高額療養費制度もあります。

高額療養費制度を利用することで、毎月一定金額以上は支払わなくてよくなるため、治療費の目安をある程度事前に知ることができます。
このように、健康保険が適用される治療を受ける場合は支給が手厚いため、長期入院による差額ベッド代等を考慮しても、200〜300万円くらいの預貯金があれば足りると思われます。

一方で、十分な貯えがない場合や、自由診療を選択肢に入れたい場合は、がん保険に加入して備えておくと良いかもしれません。
がん保険も様々な種類があります。保険期間には、一定の年齢まで備えるタイプや、一生涯保障が続くタイプがあります。また給付金においては、がんと診断された時にまとまったお金が支払われる「診断給付金型」、入院への備えを手厚くした「入院給付型」、実際にかかった分だけのお金を保障する「実損てん補型」などのタイプがあります。

どの商品を選ぶかは、家族構成やご自身の価値観によっても変わってきますので、どれが自分にあった保険か迷う場合は専門家に相談することをお勧めします。

心構え3.納得できる治療法を見つけるまであきらめない

がん治療では、患者や家族が正しい情報に基づいて担当医と話し合い、納得して治療を受けることが大切です。

しかし、担当医と十分に話し合っても、「がんと診断され、治療について説明を受けたが決めきれない」とか「担当医が提示する以外にも治療の選択肢がないかを知りたい」という想いから、別の医師の話を聞いてみたいと思うこともあるかもしれません。

そこで、現在かかっている担当医とは別に、違う医療機関の医師に「第二の意見」を求めることをセカンドオピニオンといいます。仮に同じ意見であったとしても、病気や治療への理解がより深まり、納得して治療に臨むことにつながるでしょう。

セカンドオピニオンは、今後も現在の担当医のもとで治療を受けることを前提に受けるので、転院するわけではありません。まずは、セカンドオピニオンを聞きに行く病院を決め、そして現在の担当医に紹介状などをもらい、受診後に現在の担当医に報告するといった流れです。

ただ、セカンドオピニオンを利用したくても、現在の担当医に言い出しにくいと感じる人は少なくありません。その場合は、「がん相談支援センター」や担当医以外の医療スタッフに相談することで、現在の担当医にセカンドオピニオンを申し出る際の伝え方の工夫などを相談できます。

まとめ

並べられた薬


がんの治療法の選択は、自身や身近な人ががんに罹って初めて直面する問題です。そのときになって慌てないように事前の準備をしておくことが大切です。正しい知識を持つことで、自分や身近な人にとって最適ながんの治療法と巡り合える可能性が高くなります。

がんの治療法には、健康保険が適用となるものと、適用とならない自由診療があります。保険診療で治療の効果が見い出せないときに備え、自由診療の選択肢を持っていると安心です。
自由診療を受ける選択肢があれば、保険適用外であったとしても、海外で承認されている抗がん剤を選択することが出来るかもしれません。この選択肢を持てるかどうかが大事です。

もし、最愛の人ががんに罹ったら、どんな努力をしてでも救いたいと思うのではないでしょうか。
あなたががんに罹患した場合、あなたは諦めても、あなたの家族は諦めないはずです。
そんな時に頼りになるのが、民間のがん保険です。自分のためではなく、家族に苦労をさせないために加入する人もいます。

この機会にがん保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。

▼参考
国立がん研究センター がん情報サービス
がん情報サービス HOME:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)

  • ソナミラ編集部さん

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