当座預金と普通預金の違いとメリット、6つのポイント解説
日本では多くの方が銀行口座を持っていると思います。そこで皆さんに質問です。
その銀行口座の種類は何ですか?
「えっ?普通預金以外に何かあるの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。
実は、銀行の口座には、普通預金以外にも、定期預金、総合口座、当座預金、貯蓄預金、大口定期預金、積立定期預金、等の様々な種類があるのです。そこで今回は、あまり聞きなれない銀行口座の1つである「当座預金」について解説します。
当座預金とは
当座預金とは、手形や小切手の支払いに使われる預金のことをいいます。すなわち、当座預金に入っている資金はATM等で現金として引き出すことは出来ず、手形や小切手を受取った方(企業)がそれを現金化する為の預金です。
また、臨時金利調整法という法律によって利息を付けることが禁止されている為、当座預金に資金が入っていてもそこに利息は付きません。
一方で、当座預金は「決済用預金」に該当するので、万が一銀行が破綻しても預金保険制度によって、全額保護されます。
口座開設時には、会社としての実績や行っている事業等が確認され、厳しい審査が行われるのが一般的です。
この様に、多くの方が普段から使用している「普通預金」とは、かなり性質が異なる預金です。
普通預金とは
普通預金は、変動金利ではあるものの利息が付きます。そして、ATM等からいつでも現金を引き出すことができます。万が一銀行が破綻しても、1金融機関あたり、1,000万円とその利息までは全額保護されます。基本的には本人確認書類があれば開設することが出来ます。
多くの方が利用していることから日常生活において使用しやすい預金です。
当座預金と普通預金の6つの違い
1.開設の目的
当座預金
当座預金は、企業や個人事業主が小切手・手形の支払いの為に開設します。その為、小切手や手形を持たない一般の方は開設することはないでしょう。
普通預金
普通預金は、給与受取や決済口座として開設します。ATM等から自由にお金を出し入れ出来、自由度が高いことが特徴です。
2.利用の範囲
当座預金
大きな資金が動く際に、現金を手元に置いておいたり、持ち歩いたりすると、盗難や窃盗のリスクがありますよね。そこでその様なリスクを避け、現金の代わりとして使用されるのが小切手や手形です。
そしてその小切手や手形を受取った方は、小切手や手形をその支払人欄に記載されている銀行に持って行くことで、現金を受け取ることが出来ます。
また、ご自身の取引銀行に持って行くことで、その銀行が支払人欄に記載されている銀行に取り立てを行ってくれます。
金額には制限がないことがほとんどで、通常は銀行窓口での対応になりますが、当座預金用のキャッシュカードが発行され、ATMを利用できる銀行もあります。
普通預金
多くの方が日常生活で使用している様に、銀行窓口やATM等で口座から自由に現金を引き出すことができます。ただし、詐欺などから預金者を護る為に、ATMからの引き出しにおいては1日の上限金額を定めている銀行も多くあります。
3.預金保険の違い(ペイオフ)
当座預金
万一銀行が破綻しても、預金保険制度によって当座預金の資金は全額保護されることになっています。たとえ1億円預けていたとしても、1億円全額が保護されます。
普通預金
4.金利の差
当座預金
臨時金利調整法という法律によって利息を付けることが禁止されている為、当座預金に預けている資金には利息が付きません。
低金利の現在は、普通預金に預けておいてもわずかな利息しか付かないので、その差はたいして気にならないかもしれませんが、当座預金には比較的大きな資金を預ける方が多いので、この先金利が高くなった場合は、当座預金と普通預金で、受取れる利息に結構な差がつくことも考えられます。
普通預金
現在日本では、低金利が続いています。その為、普通預金に預けておいてもあまり利息を受け取ることはできません。2023年9月現在、メガバンクの普通預金金利は0.001%なので、100万円預けて10円(税引き前)の利息を受け取ることができます。
当座預金と普通預金を比べると、1億円預けた場合に普通預金にしておくことで、利息でランチが1回食べられるかどうかという差でしょうか。
5.融資機能の違い
当座預金
当座貸越契約を結んでおくことで、小切手や手形の決済時に預金残高が不足していても、あらかじめ決められた金額までは自動的に貸付がされます。例えば、1,000万円の小切手を現金化したい方が銀行に来たとしましょう。当座預金には500万円しか入っていません。この場合、当座貸越契約を結んでおくことで、残りの500万円の融資を受ける事が出来、小切手を現金化したい方には1,000万円が支払われるのです。
小切手や手形を受取った方がそれを現金化しようとした場合、資金不足で現金化できなかったとしたら、その後の信用に関わりますよね。当座貸越契約を結んでおくと、そんな事態を防ぐことが可能なのです。ただし、当座貸越契約を結ぶには厳しい審査を通過する必要があります。
普通預金
普通預金にも自動貸付制度があります。公共料金等、資金の口座引き落としがあった際に、普通預金口座の資金が不足していても、定期預金等の他の預金に資金があればそれを担保に普通預金に資金が貸し付けられ、引き落としがされます。
ただし、普通預金の自動貸付は預金合計の90%、最高200万円など、金融機関によって金額の上限があります。
6.他の預貯金商品(例:定期預金)との使い分け
当座預金
前述のとおり、当座預金は小切手や手形を決済する為の預金です。万が一金融機関が破綻しても、預けてある資金は全額保護されます。一方で、どれだけたくさんの資金を預けていても、利息は一切つきません。
現在は低金利なので普通預金や定期預金に置いておいても、ほとんど利息は付きませんが、この先金利が上がっていった場合には、必要以上の資金を当座預金に置いておかずに、普通預金や定期預金も活用した方がいいかもしれません。
普通預金
2023年9月現在、メガバンクの普通預金金利は0.001%となっています。対して、1年の定期預金金利は0.002%です。100万円預けて、普通預金の利息は10円(税引き前)、定期預金の金利は20円(税引き前)です。ほとんど違いがありません。しかし、この先金利が上がっていったとすると、普通預金と定期預金では受取れる利息に大きな差が出るかもしれません。
日頃から、預金利率に対してのアンテナを高くして、お得な方法を探してみましょう。
まとめ
当座預金は、小切手や手形を発行する企業や個人事業主が、高額なお金のやりとりや業務での支払いを目的に利用している預金です。多くの方が普段使用している普通預金とは、用途や使い勝手が全く異なることがお分かりいただけたかと思います。
今回は、当座預金と普通預金について解説しましたが、銀行口座には他にも種類がたくさんあります。
こちらの記事「預金の種類には何がある?実はさまざまな預金科目を徹底解説」を参考にしていただき、ご自身に合った口座を開設されてはいかがでしょうか。
ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号