出産費用いくらかかる?節約の方法3選で出費を控える
妊娠がわかると、出産費用に関して不安を持つ方が多いようです。
出産費用は入院することになる医療機関によって異なります。いずれにしても30万円以上の費用がかかるため、しっかりとお金を準備しておく必要があります。
また出産時の状況によっては、更に高額になる可能性もあるため、妊娠がわかった段階で可能な限り節約を意識して準備していきましょう。
もし出産費用を抑えることができれば、その分のお金を貯蓄に回せるため、子供の教育資金を貯めるスタートダッシュにもなります。
この記事では、どのように出産費用を節約したら良いのかアイデアを整理していきます。ぜひ参考にしてください。
出産費用の平均と内訳
出産時にはまとまったお金が必要となるため、前もって準備をしておきたいところです。準備すべき金額はどのくらいの額になるのか、把握しておきましょう。
出産費用の内訳と平均額
厚生労働省の第136回社会保障審議会医療保険部会「資料1-2出産一時金」をもとに出産費用をまとめると、以下のような内訳と平均額になります。
- 入院料(食事代や部屋代):11万5,047円
- 分娩料:26万6,470円
- 新生児管理保育料:4万9,980円
- 検査・薬剤料:1万3,880円
- 処置や手当料:1万4,840円
- 室料差額(選定により差額が必要な部屋に入院した場合の当該差額):1万8,074円
- 産科医料補償制度(産科医療補償制度の掛金相当費用):1万5,740円
- その他:3万151円
以上を合計すると、出産費用の合計金額は52万4,182円となります。この金額は正常な分娩による金額なので、帝王切開や吸引分娩を行った場合は別途費用がかかります。
出産費用の平均額は年度ごとに異なりますが、平成28年度から令和2年度までの金額をならすと、1人あたり約45万円前後になります。出産費用を準備する目安にしましょう。
出産費用の都道府県比較
実は出産費用は、都道府県によって大きく異なります。
自分の住んでいる地域では、どのくらいの費用がかかるのかを見ておくと、実際にかかる費用との乖離も小さくなるはずです。都道府県別の費用は厚生労働省のデータ(令和3年)から確認できます。
出産費用が最も高い地域は東京都の55万3,021円となっています。そして、最も低い地域は佐賀県の35万1,774円です。
このように、東京都と佐賀県では20万円以上の差があるのです。
東京都に住んでいる人は出産費用が全国平均値以上になることを見越して、お金の準備をする必要があるでしょう。
公的保険制度を活用して出産費用を準備する
先述の通り、出産時にはまとまった大きな金額がかかることがわかりました。金額を見て「準備が間に合うのか?」と焦りを感じる人がいるかもしれません。
しかし、安心してください。
出産費用に関しては公的保険制度を活用することができます。ここでは、まず間違いなく利用することになる出産育児一時金について説明します。
出産育児一時金とは
健康保険や国民健康保険の被保険者等が出産したときは、出産育児一時金が支給されます。一時金の額は、法改正により従来の42万円から引き上げられ、令和5年4月からは50万円を受け取れるようになっています。
ただし、妊娠週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度の対象とならない出産の場合は、支給額が48.8万円となります。
この出産育児一時金は、出産費用を賄うために活用できますが、受け取るためには申請が必要で、申請方法には「直接支払制度」「受取代理制度」「産後申請方式」の3つがあります。
「直接支払制度」「受取代理制度」の2つは、出産前に申請をすることにより、健康保険組合から直接医療機関に出産育児一時金が振り込まれます。したがって、出産費用を事前に準備する負担が軽減されます。一方、「産後申請方式」は、出産後に申請するため、出産費用は一時的に自分で賄う必要があります。
それではそれぞれの方式の申請方法と、メリットやデメリットを見ていきましょう。
直接支払制度
この制度では出産育児一時金は医療機関から健康保険組合に直接請求されます。出産費用が50万円を超える場合は、医療機関から被保険者へ差額が請求されます。逆に出産費用が50万円未満の場合は、差額が健康保険組合から被保険者に支払われます。
直接支払制度のメリットは、出産育児一時金が直接医療機関に支払われるため、被保険者側でまとまった出産費用を準備する必要がないことです。また、出産育児一時金の請求を医療機関が代行してくれるので、申請が簡単に出来ます。デメリットは、出産費用が一時金の50万円を下回った場合、差額の受け取りを請求するために被保険者側で新たに書類を作成する手間があることです。
受取代理制度
出産育児一時金の申請は被保険者が行います。出産前に申請書を作成し、医師の証明をもらい、健康保険組合に申請しておきます。直接支払制度に比べると、申請時の事務処理が多いので、早めに準備をしておく必要があります。
出産育児一時金の支払いは医療機関と健康保険組合で手続きが進みます。直接支払制度同様50万円を超えた場合は、差額を医療機関の窓口で支払います。50万円未満だった場合は、追加で必要な申請はありません。申請時に記入した指定口座に差額が振り込まれます。
受取代理制度のメリットは、直接支払制度と同じく、直接医療機関に出産育児一時金が支払われるので、まとまった出産費用を準備する必要がないことです。また、出産費用が50万円を下回っても、事前に申請した口座に振り込まれるので、新たな手続きが発生しません。
デメリットは、最初の申請に関して作成する書類が直接支払制度よりも多く、準備に時間がかかることです。
産後申請方式
出産後、被保険者が出産費用の全額を医療機関の窓口で支払います。その後、健康保険組合に申請します。書類の不備がない場合は、1~2か月程度で出産育児一時金が被保険者の指定口座に振り込まれます。
産後申請方式のメリットは、クレジットカード等を使用して出産費用を支払った場合に、ポイントが付与されることです。ポイント分の費用を節約することができるかもしれません。また、申請自体が出産後になるので、比較的時間に余裕をもって準備を進められます。
デメリットは、出産費用を一括で支払うための資金準備が必要なことです。また、クレジットカードで支払う場合、利用限度内に収まるかなどの不安もあります。
民間保険を活用して万一に備える
出産時は公的保険制度を活用して出産費用を賄うことが基本ですが、異常分娩や帝王切開などになった場合は、想定外に出産費用が大きくなることも想定されます。このような場合、民間の医療保険に加入しておくと給付金を受取れるケースがあります。
そのため、不安な方は民間の医療保険への加入も検討すると良いかもしれません。事前に、どのような保険種類があるのか、また近くの保険ショップで加入することが可能なのかを調べておくと安心です。
それでは、出産時に役立つ民間の医療保険の内容を見ていきましょう。
出産時に役立つ民間医療保険の種類と加入メリット
民間の医療保険に加入していれば、帝王切開などの異常分娩の際に、給付金の支払対象となるケースがあります。保険商品ごとに給付条件が異なるので、しっかり特徴などを把握しておきましょう。
一方で、医療保険に限らず、生命保険の種類はとても多く、専門用語があってわかりづらいものです。自分ではいまひとつ保障内容を理解するのが難しい場合もあるでしょう。
そのような場合は保険ショップを利用して、商品性に関して詳細な説明を受けてから検討しましょう。
保険ショップの役割と保険の選び方
保険ショップは様々な種類の保険相談ができる店舗です。それぞれの人のライフプランに合った保険商品の紹介や、アドバイスを受けることができます。
出産を機に保険を検討する際も、保険ショップを利用することで、自分に適した保険を見つけられる可能性があります。
ただし、自分でも保険の選び方について、ポイントを把握しておくことは重要です。
出産時の保険の選び方で重要なポイントとなるのは次の4つです。
- 保険料
- 妊娠の週数
- 帝王切開などのときに給付されるか
- その他の手術保障範囲
です。
給付範囲が広いと、万一の際の医療費を補填できるため安心です。しかし、たくさんの保障を付けてしまうと保険料も高額になってしまうので、優先順位を考えて選びましょう。
節約の方法3選
ここまで見てきた通り、出産費用は、高額になるケースもあるため、少しでも負担を軽減する意識が大切です。次の3つの方法を頭に入れておきましょう。
節約方法1:公的保険制度をもっと利用する
出産費用を節約するため、できるだけ公的保険制度を活用します。上記で紹介した出産育児一時金以外にも、「出産手当金」や「高額療養費制度」が利用できます。
出産手当金
出産手当金は出産日以前42日から出産日の翌日以降56日までの範囲内で会社を休んだ場合に、会社から給与の支払いがなかった期間を対象として、健康保険組合から支払われる制度です。支払われる金額はおおよそ標準報酬月額の3分の2です。
高額療養費制度
高額療養費制度は、年齢や所得に応じて決められた上限以上にかかった医療費の、超過分を受け取れる制度です。診療を受けた各月ごとに計算します。帝王切開などを行うと、医療費が高額になるため、帝王切開の予定がある場合は事前に申請しておくと、慌てずに費用を確保できるでしょう。
節約方法2:医療費控除を利用する
医療費控除は、1年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすることで所得税・住民税の負担が軽減され、支払った税金の還付を受け取ることができる制度です。世帯で合算もできるため、家族の医療費も合わせると、より多くの還付金を受取ることができるでしょう。
節約方法3:お下がりやレンタルを活用する
出産日が近づいてくると、生まれてくる子供のための準備をしなくてはいけません。例えば、赤ちゃん用の服やベッドなどのベビー用品です。
必要なものを全て新品で購入すると、10万円以上と高額な金額になる場合がありますが、お下がりを譲ってもらうことで、節約につながることもあります。子供は成長していくわけですから、一過性と考えられるものはお下がりで十分かもしれません。
また、お腹が大きくなってくるとマタニティ用品も必要になります。ここでは、レンタルを利用すると安く済む場合もあるため、購入以外のいろいろな方法を検討してみましょう。
出産費用に関する情報収集を行うための関連コラムについて
出産に備えるためには、関連コラムなどから様々な情報を得ておくことが大事です。役立つコラムをいくつか紹介していきます。
国民健康保険中央会や厚生労働省のサイトの活用
国民健康保険中央会や厚生労働省のサイトでは、出産にかかる費用や制度について、正確な数値が記載されています。
生命保険会社のサイトの活用
生命保険会社のサイトもコラムが充実しており、出産に関する情報を得ることができます。
また保険の選び方や出産時のリスク、出産前後でどのような出費が予想されるのかなどが詳しく記載されていますので参考にすると良いでしょう。
これらのサイトでは、出産にかかわる費用だけでなく、出産後の教育資金や住宅に関する資金準備など幅広いライフプラン情報を得られるため、ぜひ確認してみてください。
出産時にかかわる費用を更に節約して資産運用へ
出産時は出産費用以外にもいろいろな費用が必要になります。
これらの出費を少しでも抑えることができれば、節約した資金を積立投資などの運用資金に回すことも可能です。
子供が産まれると、後々学費などのいろいろな費用が必要になります。よいスタートダッシュが切れるように準備しておきましょう。
それでは、出産費用以外でどのような出費があり、どのような節約術があるのかを見ていきます。
里帰り出産を活用して生活費を抑える
妊娠すると、仕事を続けていくことが難しいケースもあります。収入が減ると普段の生活費も負担となることがあります。そこで検討したいのが里帰り出産です。
夫婦2人で子育てをするより、里帰り出産をした方が親のサポートを得ることができ、生活費も抑えることができる場合があります。
ただし、この場合は帰省するための交通費が別途かかることを頭に入れておきましょう。
妊婦検診にかかる費用を助成金で賄う
妊娠がわかると、医療機関で定期的に健診を受けるようになります。これを妊婦健診といいます。この検診は妊婦や赤ちゃんの健康状態を定期的に見るためのものです。この妊婦検診の費用は自己負担になります。
医療機関にもよりますが、普通の健診で5,000円~8,000円程度、採血など特別の検査がある場合には、2万円以上もかかることもあります。合計すると健診だけで10万円以上かかる場合もあります。
これは結婚したばかりの若い夫婦にとっては大きな出費です。そこで2009年より妊婦健診助成金という制度ができています。妊娠前の場合は自分の住んでいる自治体に問い合わせて、確認してみましょう。
また、先述した里帰り出産をすると、妊婦検診助成金は一時的に自己負担になる場合があります。後で申請すると戻ってきますが、領収書などをとっておく必要があるため注意しましょう。
通院も医療費控除の対象になるので領収書を確保する
通院による公共交通機関の利用は、医療費控除の対象になります。申請するためには領収書を証拠として残しておくことが重要になるため、出産関係で支払ったものの領収書は全て保管しておきましょう。
妊娠中の切迫早産などは傷病手当金が申請できる可能性がある
妊娠中に切迫早産などになった場合は、傷病手当金を申請できる可能性もあります。
必要書類などは医療機関に問い合わせると教えてもらうことができ、自分が該当するかも確認できます。万が一の際には、忘れずに申請しましょう。
まとめ
出産時はいろいろな場面で費用がかかることがわかりました。しかし、公的保険制度や民間の医療保険を活用し、ベビー用品を揃える際も工夫することで、費用を節約することが可能です。
節約した資金を預貯金や投資に回すことで、将来の資金づくりにもなります。節約にはいろいろな方法があるので、ご自身に合う節約方法をぜひ検討してみてください。
節約と資産運用に関して、「自分に合う良い方法がわからない」という方は、ソナミラのオンライン相談を活用してみると良いのではないでしょうか。
ソナミラは、複数の保険会社の商品を取り扱っている保険代理店です。金融のプロであるコンシェルジュが、保障内容をしっかりと説明してくれます。
またそれだけでなく、ここで説明をしてきた公的保険制度についても確認することが可能です。一度相談してみてはいかがでしょうか。
▼参考資料
厚生労働省:第136回社会保障審議会医療保険部会「資料1-2出産一時金」
Microsoft PowerPoint - 5.【資料1-2】出産育児一時金について.pptx (mhlw.go.jp)
厚生労働省:出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について
05_【資料5】出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について (mhlw.go.jp)
国民健康保険中央会
国民健康保険中央会 (kokuho.or.jp)
ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号