マネー

インデックスとは?金融の知識として押さえておきたい「指標」

目次

金融や投資で使われる「インデックス」という言葉をご存知でしょうか。株式や債券など金融市場の動きを把握するのに役立つものです。本記事では、インデックスの仕組みや、日本と海外の代表的な株関連のインデックス(株価指数)などについて解説します。資産形成のための投資への注目が高まりつつある今、インデックスの基礎知識を学べば、今後の投資や資産形成できっと役立つはずです。

インデックスとは

インデックスとは

インデックスとは、金融市場の動向を示す指標です。市場の動きを把握しやすくするために、市場全体や特定の銘柄グループの値動きを1つの値に数値化しています。

たとえば、次のようなインデックスがあるとします。

インデックス

上昇と下落を繰り返しながらも右肩上がりになっており、経済の調子が良いことを示します。このように、インデックスの動きを見ることで市場全体の状況を推測することができます。

国内外の代表的なインデックスについて、その仕組みとともに紹介していきます。

日本株のインデックス(株価指数)

日本株のインデックス(株価指数)


日頃よく耳にする「日経平均株価」や「TOPIX」は、株価に関するインデックスで、株価指数とも呼ばれています。どちらも日本の株式市場の動向を示す指標ですが、算出方法や特徴が異なります。ここでは日本を代表する3つの株価指数を紹介します。

日経平均株価

日経平均株価とは、日本経済新聞社が東京証券取引所のプライム市場に上場する225銘柄を選定し、その株価をもとに算出する指数です。「日経平均」や「日経225」とも呼ばれ、日本を代表する株価指数として世界中で利用されています。

東京証券取引所は、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つの市場区分があります。以前は第一部、第二部、マザーズ、JASDAQの4つの区分がありましたが、2022年4月に市場が再編され、現在の3つの区分となりました。

日経平均株価は名前の通り「株価の平均」型の指数で、次の式から算出されます。

日経平均株価=調整した225銘柄の株価合計/除数

単純に株価平均を算出するのであれば、225銘柄の株価合計を225で割れば算出できます。しかし、構成銘柄の入れ替わりや株式分割、上場廃止などが生じた場合、株価合計をそのまま割ることは適切ではありません。そこで除数(調整のための値)で割ることで、都度修正しています。

日経平均株価は株価が高い株(値がさ株)の構成比率が大きくなることが特徴です。そのため株価の高い銘柄の値上がり・値下がりの影響を受けやすくなります。

TOPIX(東証株価指数)

日経平均株価と並び、日本を代表する株価指数です。
TOPIXは、原則として東京証券取引所プライム市場の全銘柄を対象としており、2,000超の銘柄を扱っています。幅広い銘柄を対象としているため、日経平均株価よりも市場全体の動向を反映します。

TOPIXは「時価総額(株価×発行株式数)」を数値化した指数で、計算式は次の通りです。


TOPIX(ポイント)=(比較時の時価総額÷基準時の時価総額)×100 

基準日(1968年1月4日)の対象銘柄の時価総額を100ポイントとして、基準日と現在のポイント数の増減を比較します。

日経平均株価の平均株価はイメージしやすいかもしれませんが、時価総額はよくわからない方もいるかもしれません。簡略化した例でTOPIXを計算してみましょう。
TOPIXの構成銘柄を仮に2銘柄(A銘柄とB銘柄)のみとし、基準日の時価総額を20億円、4月1日における各銘柄の株価や発行株式数、時価総額を次のように仮定します。

 

株価

発行株式数

時価総額

A銘柄

500円

2,000万株

100億円

B銘柄

1,200円

1,000万株

120億円

この場合、A銘柄の時価総額(500円×2,000万株=100億円)と、B銘柄の時価総額(1,200円×1,000万株=120億円)を合計すると220億円となります。基準時の時価総額は20億円なので、TOPIXは次の計算式から1,100ポイントとなります。


4月1日時点のTOPIX=(220億円÷20億円)×100=1,100ポイント

日経平均株価が株価の高い「値がさ株」の影響を受けやすいのに対して、TOPIXは株価ではなく「時価総額」の大きな銘柄の影響を受けやすいことが特徴です。そのため、日経平均株価が大きく上がってもTOPIXはあまり変化がないということもあります。

JPX日経インデックス(JPX日経400)

JPX日経インデックスはJPX日経400とも呼ばれ、東京証券取引所のプライム市場、スタンダード市場、グロース市場に上場する400銘柄で構成されます。企業の経営状況が反映されているのが特徴です。

2014年1月6日に登場した比較的新しい株価指数で、TOPIXと同様に時価総額を数値化しています。基準日(2013年8月30日)時点の時価総額を10,000ポイントとし、現在の時価総額が何ポイントになるかを示します。

対象となる400銘柄は次のように決まります。プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の全銘柄から、上場後3年未満や債務超過などの企業を除外します。そして直近3年間の売買代金や選定基準日における時価総額などから、上位1,000銘柄を選定します。

さらにこの1,000銘柄について、どのくらい効率的に利益を生み出したのか、3年間の累積営業利益はどのくらいか、独立社外取締役が取締役総数の過半数であるか、女性役員が1人以上であるかなどの基準に照らし、評価の高い400銘柄が選定されます。

JPX日経400の選定方法


※JPX日本取引所グループ JPX日経400・JPX日経中小型より作成

日経平均株価やTOPIXは原則としてプライム市場の中から銘柄を選定しているため、大企業の占める割合が大きくなり、大企業の株価の上下が指数に大きく影響を与えます。しかし、JPX日経インデックスはプライム市場、スタンダード市場、グロース市場の中から銘柄を選定するので、大企業の株価が指数に与える影響を少なくすることができます。

海外のインデックス

海外のインデックス


株価指数は海外にもあります。「NYダウ」や「NASDAQ」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、それらは海外の代表的な株価指数です。米国の株価指数の中でも代表的な3つを紹介します。

なお、米国に多数ある株式市場のうち、代表的な市場はニューヨーク証券取引所とNASDAQです。ニューヨーク証券取引所に上場している企業は、古くからある大手優良銘柄が多く、NASDAQにはハイテク関連やIT関連の銘柄が多く上場しています。

NYダウ

NYダウはニューヨーク証券取引所とNASDAQに上場する代表的な30銘柄から構成される株価指数で、「ダウ平均」や「ダウ工業株30種」とも呼ばれます。ダウを構成している30銘柄は2023年4月時点で次の通りです。

NYダウ構成銘柄

アップル

シスコシステムズ

ハネウェルインターナショナル

マクドナルド

トラベラーズ

アムジェン

シェブロン

IBM

3M

ユナイテッドヘルス・グループ

アメリカン・エキスプレス

ウォルト・ディズニー・カンパニー

インテル

メルク

ビザ

ボーイング

ダウ

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)

マイクロソフト

ベライゾン・コミュニケーションズ

キャタピラー

ゴールドマン・サックス・グループ

JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー

ナイキ

ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス

セールスフォース

ホーム・デポ

コカ・コーラ

プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)

ウォルマート

※企業名は略称で記載

聞いたことがある企業もあるのではないでしょうか。
NYダウは日経平均株価と同様に「株価の平均」型の指数なので、株価の高い値がさ株の影響を受けやすい特徴があります。また、銘柄も30と多くはないため、1銘柄の株価が大幅に上がったり下がったりした場合、指数に与える影響が大きくなります。

S&P500

ニューヨーク証券取引所とNASDAQに上場する500銘柄から構成され、TOPIXと同様に時価総額を数値化した株価指数です。「S&P500種株価指数」とも呼ばれます。S&P500は米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしているため、米国の経済を表している指数と言えるでしょう。NYダウとともに、米国を代表する株価指数として世界的に知られています。

NASDAQ総合指数

NASDAQに上場する全銘柄で構成され、TOPIX、S&P500と同様に時価総額を数値化した指数です。シリコンバレーのハイテク株やIT関連銘柄が占める割合が高いため、その株価の影響を受けやすいことが特徴です。

インデックスの活用法

インデックスの活用法


インデックスは市場の動向を示しています。日経平均株価やS&P500などのインデックスの動きを把握することで国内外の市場の状況を推測できるようになります。

また、インデックスの動きに連動する投資信託などの商品もあります。
たとえば、日経平均株価に連動している投資信託を購入するということは、日経平均株価を構成している225銘柄に投資をしているということになります。
日経平均株価に連動している投資信託と、NYダウに連動している投資信託を購入すると、日本の225銘柄と米国の30銘柄に投資をしている形になります。グローバルな視点で見ると日本と米国という2つの国に投資をしていることになります。

株価のインデックスだけでなく、国債や不動産のインデックスに連動した投資信託もあります。投資信託を購入する場合は、自分が何に投資をしているのか理解するためにも、どのようなインデックスに連動しているのかを確認してみるようにしましょう。

身近なインデックスを意識してみよう

身近なインデックスを意識してみよう


インデックスは、経済の状況を把握するのに使われるだけでなく、投資信託を構成する基盤にもなっており、資産運用では重要なものです。少し意識するだけでインデックスや経済の動きを徐々に把握できるようになります。

また、世界情勢の動きが、インデックスの動きにどのような影響を与えるか予想できるようになると、投資や資産運用での売買や商品選択の決定にも活かせるでしょう。普段からインデックスの動きを見て、市場や経済の動向を追う習慣を持ってみるのはいかがでしょうか。

▼参考資料

  • インデックス|初めてでもわかりやすい用語集|SMBC日興証券
  • 株価指数|初めてでもわかりやすい用語集|SMBC日興証券
  • よくあるご質問 | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)
  • 市場構造の見直し | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)
  • 日経平均株価 算出要領
  • よくあるご質問 (nikkei.co.jp)
  • TOPIX/東証株価指数|初めてでもわかりやすい用語集|SMBC日興証券
  • JPX日経400とは|初めてでもわかりやすい用語集|SMBC日興証券
  • JPX日経400・JPX日経中小型 | 日本取引所グループ
  • NYダウとは?|三井住友銀行
  • INDU Members - NYダウ 工業株30種 - Bloomberg Markets
  • S&P500|証券用語解説集
  • ナスダック総合指数|証券用語解説集
  • 監修者
    柳沢 俊宏さん

    徳島のワイゼットFPオフィス代表。税務署、国税局、財務省主税局で勤務後、独立。顧客利益優先の考えに基づき、相談・提案業務を生業とする独立系FP。

  • ソナミラ編集部さん

    「健康で豊かなミライにソナえる」をコンセプトに、マネー・ライフデザインをテーマとしたコンテンツを発信しています。 あなたの可能性を広げるため、読んでためになったと思える記事の制作を心掛けています。

本コンテンツは情報の提供を目的としております。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等にはお答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。各商品の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。各商品等にご投資いただく際には商品毎に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。又、各商品等には価格の変動等による損失を生じる恐れがあります。各商品等へのご投資にかかる手数料等およびリスクについては、当該商品等の契約締結前交付書面、目論見書、お客様向け資料等をよくお読みになり内容について十分にご理解ください。

ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者  関東財務局長(金仲)第 1010号