預金の種類には何がある?実はさまざまな預金科目を徹底解説
預金には、目にする機会の多い普通預金や定期預金以外にもさまざまな種類があることはご存じでしょうか。使い分けができれば生活が便利になるかも知れません。
預金とは? 貯金との違いは?
預金と貯金は、根本的な部分では同じものです。両方とも、将来やりたいことや必要なものを買うためにお金を蓄えることを指します。
ただし厳密にいうと、お金を預ける金融機関によって、預金と貯金を使い分けるようになっています。たとえば、都市銀行や地方銀行、信用金庫などに預ける場合は「預金」です。一方、ゆうちょ銀行やJAバンクに預ける場合は「貯金」と呼ばれます。
また、金融機関が破たん・倒産した際に、預けたお金を保護する制度にも違いがあります。基本的に、預金に対しては預金保険制度が、貯金に対しては貯金保険制度が適用される仕組みです。もっとも、どちらも保護されるのは原則として金融機関ごとに1人あたり元本1,000万円とその利息までとなっている点は同じです。
代表的な9つの預金種類
ここでは代表的な預金の種類について解説していきます。
普通預金
普通預金とは、自由にお金の出し入れができる預金口座のこと。誰もが一度は口座を作ったことがあるでしょう。
銀行やコンビニのATMを利用して手軽に預け入れや払い戻しが可能です。また、公共料金や家賃などの口座振替、給与や年金などの自動受け取りにも対応しているため、普段使いに適した預金といえるでしょう。
元本保証はありますが、預金金利は低めに設定されています。なお、金融機関が破綻した場合、保証される元本は1,000万円までです。
無利息預金
無利息預金は「決済口座」とも呼ばれる預金口座のことです。
普通預金とほぼ同じ特徴を持っており、引き出しは自由。引き落とし口座としての指定も可能です。
ただし、普通預金とは違い、利息はつきません。そのため、預金保険制度においては、全額保護の対象となります。1,000万円を超える多額の資金を預ける場合に利用したい預金です。
定期預金
定期預金とは、一般的に1か月〜10年の期間を指定した上で、お金を預け入れる預金口座のことです。
金利が基本的に変動しない「固定金利タイプ」と、一定期間ごとに金利が見直される「変動金利タイプ」があります。どちらも普通預金と比べて、金利は高めに設定されているのが一般的です。
原則として満期を迎えるまで、お金は引き出せません。途中解約の場合は、受け取れる利息が少なくなります。
定期預金は、住宅購入費用や子どもの進学など、将来の予定に合わせてお金を貯めやすいのがメリットです。自由に引き出せないため、うっかり使ってしまう心配もありません(ただし、後述する総合口座のなかで普通預金と定期預金の両方の口座を作った場合、引き落としなどで普通預金内のお金が不足すると、定期預金の預入金額の範囲内で自動的に融資が行われることがあります。このとき、融資であるため、金利を支払うことになります)。
定期預金には、1,000万円から預入可能な「大口定期預金」や、毎月決まった日に預金を積み立てる「積立定期預金」などの種類もあるため、自分に合った商品を選びましょう。
当座預金
当座預金とは、企業や個人事業主が小切手や手形の決済資金をプールしておくための預金です。
当座預金では利息が付かないため、預金保険制度で全額保護されるようになっています。当座貸越契約を結んでおけば、残高不足でも自動的に貸し付けを受けられるため、安心です。
公共料金の自動支払いや株式配当金等の自動受け取り口座としても指定できます。
外貨預金
外貨預金とは、ドルやユーロ、ポンドなど、円以外の諸外国の通貨で預け入れる預金のことです。円を外貨に交換して預けるのが一般的です。交換時には交換手数料がかかります。
外貨預金は金利の高さが魅力です。円建ての普通預金や定期預金よりも金利は高くなるケースが多くなっています。ただし、円に戻す際の為替レートによっては元本割れする可能性がある点、預金保険制度の対象外となっている点には注意が必要です。
仕組預金
仕組預金とは、金利オプションや通貨オプションなどの「デリバティブ取引」を組み込むことによって、一般の預金よりも高い金利を実現した預金のことです。
金利の高さが魅力の一つではありますが、商品によっては預金保険制度の対象外となってしまうのがデメリットです。途中で解約すると、元本割れするリスクもあります。
金融機関によって特約を付けられることが多いのも特徴の一つです。たとえば、銀行側の判断で満期日が延長される特約や、為替レートによって払い戻しを受ける通貨の種類が決まる特約などがあります。
総じてリスクは大きいため、余裕資金を預け入れるのに適しているといえるでしょう。
納税準備預金
納税準備預金とは、納税資金を預け入れるための預金です。
利率が普通預金よりも高く、利息に対して税金がかからないのが特徴です。また、個人事業主や法人が利用する場合、納税準備預金は自由に引き出せないため、納税するお金を運転資金として使ってしまうリスクを軽減できるといったメリットがあります。
納税資金を確実に保管しておきたい場合に利用するとよいでしょう。ただし、納税目的以外で引き出すと、利息に課税されるため注意が必要です。
貯蓄預金
貯蓄預金とは、一定以上の残高がある場合に、普通預金よりも金利が高くなる預金のことです。入出金は自由ですが、自動支払い、自動受け取りといったサービスは利用できないため注意しましょう。
通知預金
通知預金とは、引き出す前に事前の通知が必要な預金のことです。7日間は据え置き期間となっていますが、その後は2日前に事前通知すれば自由に引き出せる仕組みになっています。
普通預金と比べて金利が高めに設定されているため、短期間、まとまった資金を運用するのに便利な預金です。自由に引き出せる普通預金と、金利が高めとなっている定期預金の特徴を併せ持っています。
総合口座ってなに?普通預金と何が違う?
総合口座とは、普通預金に定期預金や国債などをセットした口座のことです。「ためる」「ふやす」「受け取る」「支払う」「借りる」といったさまざまな機能を兼ね備えています。
公共料金や家賃などの引き落としで、普通預金の残高が不足するときには、定期預金や投資信託、国債などを担保にして、お金を借りられる仕組みになっているのが特徴的です。
個人の銀行口座といえば、総合口座を指すことが一般的となっています。なお、総合口座の通帳が発行される場合、基本的に普通預金や定期預金の通帳は発行されません。
目的に合わせて預金を使い分けましょう
預金には、比較的身近な普通預金や定期預金以外にも、さまざまな種類があります。それぞれ違った機能をもっているため、お金を預ける目的に合わせて使い分ければ、利便性が高まるはずです。ぜひこの記事を、預金への理解を深めるための参考にして下さい。
▼参考資料
- 貯金保険機構(農水産業協同組合貯金保険機構)1.貯金保険制度の仕組み
- 一般社団法人全国銀行協会 普通預金
ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号