川崎希さん「不妊治療は今も怖い」授かった子どもたちとの日々 アイドル卒業後は「見栄は張らない」を胸に実業の道へ
元アイドルで今は実業家として活躍する川崎希さんは、YouTubeチャンネルで語った自身の不妊治療の動画が大きな反響を呼びました。現在も「毎回怖い」と思いながら治療を続ける川崎さん。仕事との両立に苦労しながらも、自身の道を切り開いてきました。アイドルを卒業し、40万円の資金で事業をスタートする際には「見栄は張らない」ことを大事にし、夢を一つずつ叶えてきています。夫のアレクさんとも自然体で家事の分担をしながら、自分らしさを失わず行動し続ける川崎さんの”ポリシー”を聞きました。
結婚10年でもいつも一緒…夫婦円満の秘訣は常に子どもを中心に考えること
――2023年は、ご結婚10周年のアニバーサリーだとお聞きしています。ご主人のアレクサンダーさん(以下:アレクさん)は川崎さんにとってどんな存在ですか?
川崎希:本当に毎日、24時間一緒にいます(笑)。アレクが撮影でネパールに行ったときも、私は映らないけどついて行ったり。アレクはスケジュールや台本が全然頭に入らないみたいで、それをサポートするのが私の役割になっているんです。ついて行くのが当たり前みたいになってます。
アレク:保護者だよね。
川崎希:最近、アレクの失敗エピソードをSNSに書くと「まるで長男ですね」って言われるんです。しょっちゅう財布失くすし、一番手のかかる子どもみたいなものです(笑)。
アレク:それはないだろ!
――お2人の仲の良さが伝わってくるエピソードをありがとうございます。では、結婚・出産を経て、川崎さんご自身が変わられたことはありますか?
川崎希:考え方が「子ども中心」になりました。子どもと一緒にいるために仕事のやり方も変えて、超夜型だった生活リズムも朝型に整えて、全部子どもに合わせてますね。
――お子さん中心に家庭がまわっているんですね。育児や家事の分担はどうされているんですか?
川崎希:料理でいうと、アレクの方が得意なのでやってもらったりします。でも子どものお弁当用の作り置きおかずは一緒に夜中に作ったりしますね。子どもがお弁当のご飯はエジプトの「アヌビス」という猫みたいな神様の形じゃないと食べてくれないことがあって(笑)。それを作る役割は私がやっていたり、その時々で分担しています。
――それぞれの分担を明確にルールで決めたりはしていないんですね。
川崎希:雰囲気で、やれる方がやる感じです。「お弁当作りは100%私!」って決めてしまうと、続けていくうちに「なんで?」って不満が生まれちゃうかもしれません。「手が空いている方がやる」くらいのゆるい決め方なら、ストレスなくできるような気がしています。そのおかげか、家事分担でケンカになったことはないかも。
――決め過ぎないことが、大切なんですね。話をお聞きしていていると、仲の良さが伝わってきます。夫婦円満でいる秘訣ってありますか?
川崎希:子どもがいるから、長くケンカできないというのはありますね。ケンカしているときの空気って子どもにも伝わるから、すぐに仲直りするようにしています。たまに子どもの前でケンカしちゃうこともあるんですけど…。
アレク:俺がすぐチクるからね(笑)。長男がのんちゃんから守ってくれるの。
川崎希:アレクが「のんちゃんに怒られた」って長男に言うと、すごくパパっ子なので「なんで怒るんだー」って怒ってくるんですよ。長男はアレクが出演している仮面ライダー※を見てから、アレクをリスペクトするようになったんです。長男にチクられるとまずいので、ケンカできないんですよ(笑)。
※2009年放送『仮面ライダーディケイド』で、アレクは仮面ライダーアマゾンを演じた
――かわいいエピソードですね(笑)。川崎さんなりの、子育てにおけるポリシーはありますか?
川崎希:「得意を伸ばす」というのを意識してやっています。私もアレクも普通の会社勤めをしたことがなくて、子どもも同じタイプかもと思っているんです。どこに行ってもうまくやれるように、特殊能力を何個か身につけられればと考えています。長男はダンボール工作が得意なので、そういうところを伸ばしてあげるとか。英語やピアノなど、小さい頃からやっておいた方が有利なものは、今のうちから触れる機会をつくっています。あと、向いていないことはやらせないですね。
――向いていないこと、というと?
川崎希:本人が興味を持てないこと、ですかね。スポーツをやらせたくて、長男をサッカー教室に連れて行ったことがあるんですけど、本人的には全然やる気がなくて。そんなときは「今はやりたくないのかな」と思うことにして、親の希望を押し付けないようにしています。ダンスもダメだったんですけど、時間が経った今でもダンス教室に連れて行ったことはすごく恨まれてますね(笑)。
たくさんの情報に惑わされず、お医者さんのことを信じる
――川崎さんは不妊治療で2人のお子さんを授かったことを公表し、現在は3人目を希望して不妊治療をされているそうですね。最近も病院には通っていらっしゃるんですか?
川崎希:そうですね、休みも入れつつ、スケジュールを調整して病院には今も通っています。
――不妊治療を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
川崎希:安室奈美恵さんが若くしてママになったのを見て憧れて、18歳くらいでママになりたいと思っていたんです。25歳で結婚したものの、すぐにはできず、病院で相談してみようと思いました。もともとすぐに病院にいくタイプなので(笑)。病院では早々に「治療しましょう」という話になり、身を任せるスタイルで始めました。
――病院に行く前に、不妊治療については勉強されていたんですか?
川崎希:不妊治療があることは知っていたんですが、あまり具体的な知識はなく、人工授精と体外受精の違いさえも最初は全然わかっていませんでした。そういう知識を行く前に知っていたら、病院の選び方も変わったのかもとは思います。
――最初は恐怖心のようなものは感じませんでしたか?
川崎希:今も毎回怖いです。通っている病院は全身麻酔をするタイプの病院じゃないので、いつも気合い入れて「行くぞ!」って感じで行ってますね。
――やっぱり怖いものなんですね。不妊治療を続けるうえで大変だったのは何ですか?
川崎希:スケジュール調整が一番大変です。「明後日来てください」って急に言われるんですよ。その日が仕事の収録だった場合、収録が12時開始なら、病院に相談して朝で調整したりして…。
――働きながらだと、調整だけで骨が折れそうです。インターネットには不妊治療にまつわる情報があふれていますが、治療と並行して調べたりはされたんですか?
川崎希:先生の言うことを聞くくらいで、自分で調べることはなかったですね。インターネットにある個人の体験って、その人には合うけど、私には合わないケースもあると思うので、プロであるお医者さんの言うことを信じています。
とにかく、まず行動。自分ができる範囲でスタートすれば、失敗も怖くないはず
――目標を立てるときは「具体的に欲しいもの」を決めて、それを目標にするというお話がありましたが、今後の川崎さんの目標を教えてください。
川崎希:2人子どもが生まれてみたら、大きな庭が欲しくなりました。今は一軒家に住んでいるんですけど、バルコニーしかなくて子どもが外で遊べないんですよ。子ども部屋も一つしかなくて。今より3倍ぐらい大きいお家を買うというのが目標です。今のアパレル事業やタレント活動もやりつつ、仕事としても不動産業をやってみたいというのがありますね。
アレク:宅地建物取引士(以下:宅建)の資格も取ったしね!
――宅建取得は、プライベートだけでなく仕事としての目標でもあったんですね。では、もう少し先の、「人生の最終目標」はありますか?
川崎希:一番遠い目標だったら、子どもたちに子どもが生まれたら、孫が遊びに来て楽しめる家が欲しいです!すぐ家で夢を実現しようとするから、あと何回かは家を買うので、宅建がないとダメですね(笑)。
――川崎さんの夢の実現に家は欠かせませんね。一方、2023年5月には体調を崩して入院されたとブログで告白されていました。そんな経験を通して、健康に対する考え方は変わりましたか?
川崎希:年齢的にも、体を大切にしないといけないなと思うようになりました。すぐ体調が悪くなっちゃうタイプなんです。自分のリミッターがわかっていなくて、無理しすぎちゃうんですよね。今はジムに通ったり、食生活もバランスよく食べるよう気をつけたりと、意識を変えていっています。
――医療保険や生命保険に対する意識も変わりましたか?
川崎希:保険の外交員をしている親の影響でたくさん入っていて、特別に変わったということはないかもしれません。昔から保険はすごく身近なものだったからか、お出かけスポットで500円で入れる保険とかもすぐ入るタイプです。今度、子どもの七五三があるんですけど、着物の保険もちゃんと入りました。
――保険に入っていてよかった経験もありましたか?
川崎希:子どもが家でテレビを壊しちゃったとき、火災保険でまかなえたんです。火災保険って火事になったときの保険だと思っていたら、故障でも保険金が出るって知って。それは入っててよかったなと思いました。子どもがいると、しょっちゅう何かを壊しているので…!
――それはありがたいですね!ここまで話を伺っていると、川崎さんは自分の芯をしっかりとお持ちだなという印象です。自分らしく生きていくために、日頃から意識していることはあるのでしょうか。
川崎希:「人からどう見られるか」はあまり気にしていません。「やりたいからやる」というように、自分のことだけを考えて決めます。ブレないことが大事だと思うので。
――最後に、将来の目標に向けて一歩踏み出せなくて悩んでいる方に向けて、川崎さんからメッセージをお願いできますか?
川崎希:とにかく行動することが大切です。頭で考えても実際に行動しない人が多いと思うので、ちょっとでも良いので動いてみてください。何もしなかったら可能性は0%だけど、少し動いたら何%かは上がるじゃないですか。ただし、何でもかんでもやるんじゃなく、自分の中でシミュレーションをして、うまく行く方法や損しない方法を考えて、カッコつけずに仕事をするのが大事だなと思います。
- 取材・文:末光京子
- 撮影:枝松則之