辞任会見で「ズキュン」実業家・川崎希さんを導いた名言とは?午前2時起きで宅建取得、10代からの目標は「海外セレブ」
川崎希さんは、アイドルグループAKB48の1期生として活躍後、21歳という若さでアパレルブランドを立ち上げて実業家になりました。モデル・俳優のアレクサンダーさん(以下:アレクさん)と結婚し、2人の子どもと暮らしています。憧れの車や一軒家など目標をかなえながら、不動産業に挑戦するため「宅地建物取引士(以下:宅建)」の資格まで取ったという努力家です。そんな川崎さんの人生には、”意外な人物”の発言が影響していると言います。取材に同席したアレクさんも思わず突っ込む事態となった発言の内容とは…!?くすっと笑えて癒される実業家、川崎希さんの素顔に迫りました。
福田元総理大臣の意外な名言から導き出された成功の秘訣とは?
――21歳のときにアパレルブランドをご自身で立ち上げられた川崎さんですが、ご自身の事業が成功した秘訣はなんだったと考えていらっしゃいますか?
川崎希:とにかく毎日頑張っていました。もう無理かもと思ったら、自分よりも成功してる人のSNSを見るようにしていましたね。この人はもっと頑張ってるから、私もまだできるはずって思えるようになるんです。
――前向きなSNSの使い方ですね。どうしてそんなに頑張り続けられたのでしょうか。
川崎希:自分で「これが欲しい」と決めたものが買えなくて目標が叶えられないと、すごく悲しい気持ちになるんですよ。だから頑張るしかない、みたいな。自分の中で諦めてやめないようにしています。
――起業するのには、具体的にどういう準備が重要だったと思いますか?
川崎希:精神面で「自分で自分をコントロールする」のが一番大事だと思います。社長という立場は怒られることがないから、いくらでも仕事をサボれるんですよ。でもそれは会社にとってよくないこと。「どうしても観たい映画があるから、その分この仕事を頑張る」とか、厳しくコントロールしないといけません。私は自分を遠く、天の上などから見てコントロールするようにしています。
――ご自身を俯瞰されているんですね。そういう視点は昔からお持ちだったんですか?
川崎希:福田(康夫)さんの影響です。当時総理大臣だった福田さんが辞任されるときに「私は自分自身を客観的に見ることができるんです」と発言したんですよ。それを聞いたときにズキュンってきて。
アレク:どっちかって言うと、その発言ってみんな否定的に見てるよね?(笑)
川崎希:私はすごくリスペクトしていて、「それぐらいじゃないと総理大臣にはなれないよな、福田さんってすごい人だな」と思ったんです。そこから、「自分自身を客観的に見る」のを意識してやっています。
――自分がいいなと思った考え方をきちんと生き方に取り入れられるのは、すごいことだと思います。
アレク:でも、普段は人のいうこと全然聞かないもんね。
川崎希:聞かないよね(笑)。基本的には独断で、誰かに何かを言われてもブレないようにしています。占いとかも信じないタイプなんですよ。占いが好きな女性って多いと思うんですけど、「占いよりも自分だろう」と思うくらい意思を強く持っていて。ほかの人がこういうやり方が良いよって言っても、自分で考えて、私にはそのやり方は向いてないからやらないって決めちゃいます。
アレク:中身が頑固なおじさんみたいで、全然かわいくないんですよ。
川崎希:そうなんです(笑)。アレクの方が女子っぽいよね。見た目とはすごくギャップがあるのかもしれないです。
わからないまま活動していたアイドルから、海外セレブを目標に実業家へと転身
――アイドルから実業家に転身されて成功した要因には、川崎さんの優れたプロデュース能力があったのだと思います。アイドル時代のご自身のプロデュースについては、どのように考えていらしたんですか?
川崎希:実はアイドルのことだけは、すごく苦手だったんですよ。自分がアイドルを好きだった経験がなくて、どうしたらファンの人に応援してもらえるのか理解できなかったんです。最後までよくわからないままやっていました(笑)。
――意外です!アイドルの方は自己プロデュースが得意な方が多いのかと思っていました。
川崎希:どうしたらいいのか悩んで、本を読んで勉強していたこともありました。でも、アイドルって勉強を活かして頑張るというよりも、「どうしたらファンの方が喜ぶか」ってことを感覚的にわからないといけないんです。だから、勉強してもダメだったんですよね。
――著書『アイドル社長』(2011年刊行)でも、起業する前に本を読んで勉強したとありましたが、悩んだときには本を読んで勉強しようと思われるんですね。
川崎希:そうなんです。本屋さんが好きで、困ったら本に頼っていました。本に学んだことで言うと、私が「カエルが好き」と言うと、ファンの方はカエルを見るたびに私のことを思い出してくれるそうなんです。だから、わかりやすいキャラクターを好きって言うといいというのを信じて、「『ドラゴンボール』が好き」というのを意識的に伝えていたこともありました。あとは、ファンの人にあだ名を付けてみるだとか。いろいろ試したんですけど、やっぱりよくわからなかったです(笑)。
――アイドル時代を含め、10〜20代のときに「将来はこんなふうになりたい」と目標にしていた方はいらっしゃいましたか?
川崎希:海外セレブです。私は海外のもの、とくにアメリカが大好きで、いつも海外セレブのSNSをチェックしていて、流行りの海外セレブに常に憧れていました。10代の頃はパリス・ヒルトン、今だとキム・カーダシアン。彼女たちみたいに過ごしたいなと思って生きています!
――では、仕事のモチベーションにしていることなどはありますか?
川崎希:「そのとき欲しいもの」を目標にしています。私は「自分がどうなってるか」ということより、「仕事を頑張って何歳までにこの車を買う」「家を買う」とかを具体的に決めておいて、そこから逆算して何歳までにいくら稼がないとねとか、どういう仕事をしたら目標額を稼げるかなといったことを考えていくんです。
――目標の年齢と金額から逆算して、計画的に実行に移されていると。
川崎希:無理にでも欲しいものを作って、この年齢で買うと決めて叶えていくんです。たとえば私が起業したときには、ランボルギーニと一軒家を買うと決めていました。結果、予定より2〜3年遅れたんですけど、両方とも買えて叶えられましたね。叶ったら次はこれを買うと、常に目標を更新していっています。
――川崎さんの場合、将来像はぼんやりとした夢や理想じゃなくて、いつか達成する具体的な目標なんですね。
川崎希:感覚的に進めやすかったんだと思います。目標がないと「何のために働いてるんだろう」という気持ちになることもあるので…。「この車を買うために頑張ってるんだった」というように、何か具体的な目標がある方が継続して頑張りやすいんです。
社長業と2人の子育てに加えて試験勉強まで!24時間フル稼働の毎日
――まず最近のことを教えてください。アイドルから実業家に転身された川崎さんの現在のメインのお仕事は、アパレル事業でしょうか。
川崎希:そうですね。21歳で起業したときはメンズブランド「ANTIMINSS(アンティミンス)」から始めて、今はレディースの「selva secreta(以下:セルヴァ・セクレタ)」の経営が主な仕事です。
――セルヴァ・セクレタは、ママ目線でデザインされたバッグなど、川崎さんのこだわりがつまったオリジナルアイテムが好評のようですね。
川崎希:はい、マザーズリュックが1番人気で、そのほかワンピースやTシャツ、アクセサリーなどをオンラインで販売しています。
――さらに本業のアパレルのほか、最近はブログで宅建の試験合格を公表されていたかと思います。「合格率16%」と難易度の高い試験と聞きますが、なぜ宅建の資格を取ろうと思われたんですか?
川崎希:もともと不動産が大好きで、会社としてや個人でも物件を借りているうちに、自分で土地を探したくなったんです。不動産屋さんに聞くよりも「自分で探したい!」って(笑)。仲介手数料も安くなりますし。いつか不動産屋さんをやりたいと思っているので、その第一歩として宅建を取ることにしました。
――人にお願いするよりも、自分でやってみたいと思われたんですね。
川崎希:はい、そうなんです。少しケチなのかもしれません…(笑)。アパレルも以前やっていたネイルサロンも、全部興味から始めているんですよね。人に任せるよりも、資格を取って自分でやりたくなるタイプなんです。
――川崎さんは2人のお子さんの子育て中でもあるわけですが、1日の仕事と家事・育児の時間配分はどのように決めていらっしゃるのですか?
川崎希:今は、ほぼ子育てがメインです。仕事をしている時間は少なくて、1日で3〜4時間くらいですね。長時間子どもと離れていると、私のほうがさみしくなってしまうので、時短でバッと働いて、子どもと過ごす時間を長く持とうと思っています。遅くても14時くらいまでには終わらせますね。なかなか終われそうにないときは、朝5時や6時など、子どもより早起きして取り組んでいます。
――宅建の試験前は、どうやって勉強時間を捻出していたのでしょうか。
川崎希:試験勉強の期間中は、早いときは深夜2時に起きて取り組んでいました。もう寝る時間なのか、起きる時間なのか、よくわからなくなっていましたね(笑)。勉強自体はとくに大変だとは思わなかったんですけど、勉強したいときに十分な時間を確保するための調整は苦労しました。子どもが起きているうちは勉強なんてできませんし、翌日に子どもの用事があると早めに寝ないといけなくて。
アレク:試験勉強の期間中は「くだらない時間を過ごしてる俺を見るとイライラする」って、よく怒ってたよね(笑)。
川崎希:アレクが変な動画を見てるとイラッとしちゃうんです(笑)。でも、私が手一杯のときに子どもを見てくれたおかげで、勉強に集中できていました。試験前の土日なんかは、子どもを連れて、ちょっと遠くにお出かけしてくれていたよね。今は、そんな勉強で大変だった状況から解放されて、すごく幸せです!
――苦労の末の宅建合格、本当におめでとうございます!後編では、ご家族のお話や不妊治療についてもお聞きできればと思います。
- 取材・文:末光京子
- 撮影:枝松則之