100歳まで長生きする食事とは?長寿高齢者は何を食べているのか?
WHOの世界平均寿命ランキングによると、日本は世界第1位(84.3歳)の長寿国家とされています。人生100年時代ともいわれる現代の日本ですが、せっかくなら健康で長生きしたいものですよね。
健康を保ちつつ長生きするためには、栄養バランスの整った食事が重要なカギとなります。特に、沖縄県は長寿高齢者の割合が高いことから「ブルーゾーン」とも呼ばれています。
沖縄の食事や長寿の高齢者がよく食べる食事を参考に、健康で長生きする秘訣を探っていきましょう。
この記事では、長寿高齢者の食事の特徴をご紹介し、健康で長生きするための食生活の秘訣を探ります。
ブルーゾーンをご存じですか?
「ブルーゾーン」とは、健康で長生きする人、特に100歳以上長生きしている人が世界でも多く暮らす地域のことです。
世界で5つの地域がブルーゾーンに選ばれており、沖縄もそのうちの一つに該当します。次の5地域がブルーゾーンに挙げられています。
- 沖縄(日本)
- サルデーニャ島(イタリア)
- カリフォルニア州ロマリンダ(アメリカ)
- ニコジャ半島(コスタリカ)
- イカリア島(ギリシャ)
実は、沖縄はアジアで唯一のブルーゾーンなのです。
沖縄が特に長寿だといわれる、一つの理由は、栄養バランスの整った食生活といわれています。
その他にも、体を動かす機会が多い、近所の人たちとたくさん話をする、生きがいを持つ、ということも健康長寿に繋がっています。
長生きするための食事の基本
健康で長生きするためには食事が大事といわれても、何をどのくらい食べればよいか、迷ってしまいますね。
まずは、長生きに繋がる食事のポイントについて見ていきましょう。
- 主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを整える
- 肉類や魚、大豆製品などのタンパク質をしっかり摂る
- 野菜や果物など、さまざまな種類の食品を取り入れる
- 決まった時間に、規則正しく食事を摂る
- 誰かと一緒に、食事を楽しむ
食事の内容だけでなく、食事の時間や食事自体を楽しむことも、健康長寿に繋がります。
食事と寿命のつながり
食事と寿命との関係については、昔から世界中で研究されてきました。
その結果、ご飯やパン、麺などの炭水化物を少なめに、野菜や海藻を多めに食べる人の寿命が長いといわれています。
また、炭水化物や砂糖の摂り過ぎは、認知症や心疾患などの大きな病気のリスクが高くなるとの研究結果も報告されています。
病気の予防は健康で長生きするためには重要なポイントです。普段の食生活でご飯やパン、お菓子を食べ過ぎていないかチェックしておきましょう。
長寿に必要な栄養とバランス
栄養バランスの整った食事は、健康に長生きするためにとても大切です。
私たちが食事を摂ると、体の中で消化され、栄養素として吸収されます。栄養素は大まかには炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維の6つに分類され、「6大栄養素」とも呼ばれます。
それぞれの栄養素は、私たちの体の中で次のような役割を持っています。
- 炭水化物:体や脳を動かすエネルギーになる
- 脂質:体や脳を動かすエネルギーになる、ホルモンをつくる
- タンパク質:筋肉や血液、皮膚をつくる
- ビタミン:ほかの栄養素をサポートし、体の調子を整える
- ミネラル:骨の材料になる、体の調子を整える
- 食物繊維:腸内環境を整える、脂肪の吸収を防ぐ
これらの栄養素をバランスよく摂るためは、主食・主菜・副菜・汁物の「一汁三菜」の食事にすることがおすすめです。
また、「体に良さそう」といって限られた食べ物ばかり食べるよりも、さまざまな種類の食品を少しずつ食べる方が、栄養バランスが良くなります。
1日の食事の中で、好きなものや特定の食べ物に偏っていないか見直してみましょう。
長寿高齢者が食べる食品とそのメリット
長寿の高齢者の人たちの食事には、どんな特徴があるのでしょうか?
世界でも長寿の人が多い沖縄でよく食べられている食品を参考に、長生きするための食事について探っていきましょう。
長寿高齢者がよく食べる食品の紹介
長寿の高齢者の人たちの食事には、次のような食品が多いといわれています。
- 肉、魚
- 牛乳、チーズなどの乳製品
- 大豆製品、豆類
- 野菜
肉や魚、乳製品、大豆製品はたんぱく質が豊富な食品です。
たんぱく質は私たちの体をつくる働きがあります。そのため、タンパク質を積極的に摂ることで、内臓や血液の機能をキープする・筋肉の減少を防いで元気な生活が送れるようになります。
また、豆類をよく食べる地域の人は寿命が長いとされています。豆類には枝豆やえんどう豆、ひよこ豆などが含まれます。こうした豆類には食物繊維や葉酸が多く、糖尿病や脳卒中、大腸がんなどの病気の予防に効果的です。
さらに、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品は、私たちの骨や歯の健康を維持するカルシウムが豊富に含まれています。
骨を作っているカルシウムは、年齢を重ねるごとに徐々に少なくなり、骨密度が低下していきます。骨が弱ってしまうと骨粗しょう症を引き起こし、骨折や寝たきりに繋がるため注意が必要です。
それに加えて、健康に長生きするために重要となるのが、丈夫な歯をなるべく多く保つことでしょう。歯もカルシウムからつくられるため、カルシウムが不足すると歯も弱ってしまいます。
カルシウムの吸収は、マグネシウム豊富なナッツ類などの食品によって効率が良くなります。骨や歯の健康を守るために、マグネシウムも忘れずに摂るようにしましょう。
健康長寿には、野菜をたくさん食べることも重要なポイントです。沖縄にはゴーヤチャンプルーなど、野菜をたくさん使った料理が数多くありますよね。
しかし忙しい中、毎日野菜のおかずを作るのは大変という人も少なくありません。そんな時は、具だくさんのお味噌汁を取り入れるのがおすすめです。
お味噌汁に野菜やきのこ、海藻をたくさん使えば、手軽に栄養バランスの整った食事を摂ることができます。さらにタンパク質源となる卵をプラスすればご飯とお味噌汁でも栄養満点です。
これらの食品の摂取量と摂取方法の注意点
健康に良い食品だからといって、偏った種類の食品ばかり食べ過ぎてしまっては逆効果です。特に、タンパク質の摂り過ぎは腎臓に負担がかかり、腎機能の低下に繋がるため気を付けましょう。
また、お肉を食べるときはベーコンやハムなどの加工食品を食べ過ぎると、塩分過多になるため、心臓疾患や脳卒中のリスクが高まります。
加工食品を食べたり、外食する機会が多い人は、サバやアジ、鮭などの魚を取り入れることがおすすめです。さらに、極端に炭水化物を制限すると必要なエネルギーが不足してしまい、体調不良に繋がるため気を付けましょう。
一汁三菜を理想の食事として、同じ食品ばかりに偏らずに、できるだけ多くの種類の食品を食べることが健康を維持するための近道です。
実践!あなたの食生活を見直そう
健康で長生きできる食生活を実践するには、普段のどんな食事をしているか見直すことから始めましょう。
いつも食べている食事の共通点をチェックすることで、足りない栄養素や摂り過ぎている栄養素が分かります。
食生活の見直しには、日記のように数日分の食事記録を付ける方法がおすすめです。細かく記録する必要はなく、食事のメニューや量について大まかにメモしてみましょう。
スマートフォンで1食ごとの食事写真を撮影するやり方もおすすめです。
お仕事の日とお休みの日では、食事の内容が大幅に変わる可能性もあります。平日2日・休日1日の食事記録を付けると良さそうです。
食事の傾向が分かり、自分の栄養バランスについて課題が見つかったら、それを補う食品を調べてみましょう。
食品選びのポイント
長生きに繋がる食生活を実践するために、健康に良い食品を選んで料理に取り入れましょう。
健康に良い食事作りには、次のようなポイントが大切です。
- 肉料理が続いたら、魚料理を選ぶ
- 主菜や副菜には野菜をなるべく多く使う
- 主食は玄米や雑穀米、全粒粉のパンなどの精製されていない食品がおすすめ
- バターやラード、マーガリンの使い過ぎに注意
魚(特にサバやアジなどの青魚)はコレステロール値の上昇を抑えて、動脈硬化や高血圧などの病気を予防するために有効とされています。
いつもお肉ばっかり食べているな、と感じたら、次の日は魚料理を取り入れるのがおすすめです。肉料理を食べる際は、ハムやベーコンなどの加工肉を摂り過ぎないよう注意しましょう。
とはいえ、健康に良い・悪いばかりを気にし過ぎず、適度に好きなものを食べることもストレス解消に繋がります。
食品の選択の幅を広げつつ、毎日の食事を楽しみましょう。
おすすめの食品と食事方法
長寿を目指すためには、タンパク質を積極的に摂ることが重要なポイントです。タンパク質の摂取には、動物性・植物性の食品両方を取り入れるようにしましょう。
それぞれのタンパク質源のおすすめ食品には、次のようなものがあります。
動物性タンパク質:青魚(サバ、アジ、イワシ)、乳製品(牛乳、ヨーグルト)
植物性タンパク質:大豆製品(納豆、豆腐)
特に、サバやアジ、イワシなどの青魚はコレステロールの上昇や動脈硬化を抑えるDHAやEPAが多く含まれているため、脳卒中や高血圧などの病気の予防効果が期待できます。
また、食生活を改善しようと思っても、忙しくて継続できないのは困ってしまいますね。
次に挙げる工夫によって、手軽に食事バランスを整えることができるので参考にしてみてください。
- 具だくさんのお味噌汁を取り入れる
- カット野菜や冷凍野菜を使う
- 休日に常備菜を作っておく
健康で長生きするためには、決まった時間に食事を摂る・よく噛んで食べることも大切です。
食事時間が不規則だと、無意識に食べ過ぎてしまったり、血糖値が急激に上昇したりしてしまいます。また、食べるスピードが早いと、脳が満腹だと感じる前に食べ過ぎてしまう可能性があるため注意が必要です。
そして、誰かと一緒に楽しんで食事をすることでも、ストレス解消や食事の満足感アップに繋がります。
まとめ
健康に長生きするためには、日々の食事バランスを整えることがとても大切です。
世界的に長寿の高齢者が多く暮らしている沖縄では、ゴーヤチャンプルーや島豆腐など、独自の食文化が発達していますよね。
こうした沖縄料理には、私たちが生きていくため必要な「6大栄養素」がバランスよく取り入れられていると考えられています。
長生きに繋がる食事をするためには、「一汁三菜を基本に、食事のバランスを整える」「タンパク質をしっかり摂る」「さまざまな種類の食品を取り入れる」ことがカギとなります。
忙しい時は無理して料理の品数を増やさずに、カット野菜や冷凍野菜を使ったり一品に沢山の種類の食品を入れたりなどの工夫をすれば大丈夫です。
栄養バランスだけでなく、規則正しく食事を摂る・楽しんで食事をするよう心がけましょう。
▼参考
書籍:The Blue Zones 2nd Edition(世界の100歳人に学ぶ健康と長寿9つのルール)
ダン・ビュイトナー(著)荒川雅志(訳・監修)仙名紀(訳) / 出版社:祥伝社
ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号