子育てや家族の介護が始まる前に知っておきたい!出産・育児・介護休業に関する◯×クイズ10問
人生のなかには、進学や就職、結婚など、さまざまなライフイベントがあります。そして、子どもの出産や育児も大きなライフイベントと言えるでしょう。また、親の介護や看取りも、多くの人が避けては通れない道と言えます。そんな出産や子育て、介護をするうえで知っておきたいのが、これらに関する休業(休暇)です。
ここでは、法律で定められていることを中心に、出産・育児・介護休業に関するクイズを10問、出題します。◯×形式で答えてくださいね。
以下の10問を◯か×かのどちらかでご回答ください
Q1 出産した本人が働きたいのであれば、産前産後休業は取得しなくても良い
Q2 出産予定日の6週間前から休業を取得したが出産予定日が1週間後ろにずれたときでも、最初の1週間も産前休業として扱われる
Q3 いわゆる産後パパ育休を取得すると、一般の育児休業は期間が短縮される
Q4 産後パパ育休の期間は妻の産後休暇と同じ期間になると定められている
Q5 夫婦同時に育児休業を取得できる
Q6 育児休業を取得すると受給できる給付金がある
Q7 2023年施行の改正法により、従業員1,000人以上の企業は男性の育児休暇取得状況を公表することになった
Q8 長寿化により、曽祖父母の介護をするときに介護休業が取得できるようになった
Q9 介護休業は、正規雇用者でも取得できない場合がある
Q10 出産や育児、介護に関する休業を従業員が取得すると、雇用主は本来の給与の一部を支給しなければならない
答えと解説
クイズに挑戦して、「意外と育児休業などの制度をきちんと知らないかも…」と感じた方もいるかもしれませんね。ここからは、問題に対する解答とその解説となります。解説してくださるのは、弁護士の藥師寺正典さんです。
A1 出産した本人が働きたいのであれば、産前産後休業は取得しなくても良い → ×
産前産後休業は、母体と胎児を守るためのもので、産後6週間は「働くことを禁止」しています。なお、産前の6週間と産後の7〜8週目は本人が会社に申請することによって産前休業を取得できます。本人が産後7〜8週目に働く意思をもち、医師が認めた場合は就業が可能です。また、産後6週間は働くことを禁止しているため、この休業は正社員、派遣社員、パートといった雇用形態にかかわらず取得する必要があります。
A2 出産予定日の6週間前から休業を取得したが出産予定日が1週間後ろにずれたときでも、最初の1週間も産前休業として扱われる → ◯
産前6週間の期間の計算については、自然の分娩(出産)予定日を基準として計算するものと考えられています。6週間以内に予定された出産予定日よりも遅れて出産した場合にも、母体と胎児を守るためのものであるという産前休業の趣旨から、予定日から出産当日までの期間も産前の休業期間に含まれるべきと考えられています。
A3 いわゆる産後パパ育休を取得すると、一般の育児休業は期間が短縮される → ×
産後パパ育休は、正式には「出生時育児休業」と言います。この制度は、子どもが生まれてきたときに取得する育児休業で、子どもが1歳(最長2歳)になるまでに取得できる一般の「育児休業」とは別の休業制度です。そのため、産後パパ育休を取得したとしても、一般の育児休業の期間には影響はなく、所定の要件を満たせば一般の育児休業も取得することが可能です。
A4 産後パパ育休の期間は妻の産後休業(休暇)と同じ期間になると定められている → ×
産後パパ育休は、育児介護休業法で定められた制度で、その対象期間は子どもの出生日から8週間以内の期間とされており、この8週間の間に最長4週間まで休業することができます。一方、産後休業は、労働基準法で定められた制度で、母体保護のために産後6~8週間の休業を禁止する制度です。
A5 夫婦同時に育児休業を取得できる → ◯
育児休業は性別を問わず取得することが認められており、所定の要件を満たしていれば、夫婦同時に育児休業の取得も可能です。なお、夫婦が共に育児休業を取得し、所定の要件を満たした場合には、いわゆるパパママ育休プラスの制度により、子どもが1歳2か月になるまで育児休業を延長することも可能です。
A6 育児休業を取得すると受給できる給付金がある → ◯
育児休業期間中は、一般的には「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいて会社からの賃金は無給であるため、収入保障のため雇用保険から育児休業給付金が支給されます。支給要件は以下の通りです。
- 雇用保険の被保険者であること
- 1歳未満の子どもを養育すること
- 育児休業開始前の2年間に、11日以上就業した月が12か月以上あること
- 育休期間中の1か月あたりの就業日数が10日以下、又は就業時間が80時間以下であること
また、育児休業給付金の支給額は、原則として以下の計算式により算出された金額となります。
支給額=休業開始時の賃金日額×支給日数×67%(育児休業開始から181日目以降は50%)
A7 2023年施行の改正法により、従業員1,000人以上の企業は男性の育児休暇取得状況を公表することになった → ◯
2023年4月より、育児介護休業法の改正により、従業員が1,000人を超える企業は、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられました。公表は、インターネットなどの一般の方が閲覧できる方法で行う必要があり、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」でも公表可能とされています。
A8 長寿化により、曽祖父母の介護をするときに介護休業が取得できるようになった → ×
介護休業とは、負傷、疾病、身体上又は精神上の障がいにより、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態(要介護状態)にある対象家族を介護するためにする休業を言います。また、対象家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫までとなり、曽祖父母は含まれません。
A9 介護休業は、正規雇用者でも取得できない場合がある → ◯
介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護する場合に認められる制度です。また、介護休業は、対象家族1人につき、3回を上限として、通算93日までという制限があります。これらの取得要件や回数・日数制限を満たしていない場合、正規雇用者であっても介護休業を取得できないこととなります。
A10 出産や育児、介護に関する休業を従業員が取得すると、雇用主は本来の給与の一部を支給しなければならない → ×
産前産後休業、育児介護休業の取得期間においては、一般的には「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいて会社からの賃金は無給となります。この場合、従業員は、勤務先や健康保険組合に出産手当金の受給申請や、ハローワークに育児休業給付金や介護休業給付金の受給申請をすることが可能です。
まとめ
出産・育児・介護の休業は、期間が法律で定められているものの、延長や分割をできるケースがあり、かなり複雑だと感じられるかもしれません。こうした内容をすぐに理解できないときは、お勤め先の人事部門に相談してみるとよいでしょう。また、これらの休業取得時は給与の支払いが義務付けられていないものの、企業によっては一部の給与が支払われる場合もあり、就業規則の確認も必要といえるでしょう。
ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号