地方タワマン購入者、世帯年収は6割以上が「1,000万円以下」 6割が戸建てからの住み替え
超高層のタワーマンション(以下、タワマン)は、全国に1,400棟以上あります。首都圏の臨海部などに林立していますが、コロナ禍で地方でも人気が高まっています。株式会社スタイルポート(https://roov.jp/)が、地方のタワマン所有者に実態調査したところ、6割以上が「世帯年収1,000万円以下」との結果になりました。
全国に1,400棟以上 最多は東京都の470棟、地方にも広がり
一般的に、タワマンは「最高階数が20階以上の分譲マンション」を指し、2000年代に入り、新規竣工棟数が大幅に増加しました。不動産情報会社・東京カンテイが2023年1月に公表したリポートによると、タワマンは全国38都道府県に1,464棟あり、都道府県別で最も多いのは東京都の470棟、次が大阪府の263棟。地域別では、首都圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)に計776棟、中部圏(岐阜、静岡、愛知)に計93棟、近畿圏(滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山)に計377棟ありました。
一方で、地方の中枢都市があるエリアにも比較的まとまった数のタワマンがあり、北海道30棟、宮城県37棟、広島県27棟、福岡県46棟などとなっています。茨城県でも、東京都心部への通勤者が居住する県南エリアのベッドタウンを中心にこれまで10棟以上のタワマンが開発されてきました。東京カンテイは「タワマンの供給先は地方圏における県庁所在地やターミナル駅の周辺にも徐々に及んできている」とみています。
購入のきっかけは「利便性」「戸建てからの住み替え」
それでは、地方でタワマンを購入するのはどのような人たちなのでしょうか。スタイルポートは2022年11月、自分名義(共同も含む)で地方政令指定都市(札幌市、仙台市、静岡市、新潟市、広島市、福岡市、熊本市)のタワマンを所有している111人にインターネットで尋ねました。
地方タワマンを購入したきっかけを複数回答で尋ねたところ、「より生活に便利なマンションがいいと思った」が60.4%と最も多く、「戸建てから住み替えをしたいと思った」(55.0%)、「タワマンに憧れがあった」「より居住に快適なマンションがいいと思った」(いずれも45.0%)が続きました。
8割が会社員 世帯年収1,000万円~1,500万円が24.3%
調査に回答した111人の職業は「会社員」が79.3%で最多に。世帯年収では「1,000万円以上1,500万円未満」が24.3%でしたが、「800万円以上1,000万円未満」が14.4%、「600万円以上800万円未満」が16.2%など、年収1,000万円未満の世帯が6割以上を占めました。
タワマンに満足している理由「周辺環境が良いから」67.4%
自己居住用としてタワマンを購入した人のうち62.2%が、タワマンの前は戸建て(賃貸・持ち家)に住んでいました。マンション・アパート(賃貸・持ち家)に住んでいたのは24.4%、タワマン(賃貸・持ち家)に住んでいたのは13.4%でした。
自己居住用として購入した人の95.6%が購入を「非常に満足」か「やや満足」と感じています。その理由は「周辺環境が良いから」が67.4%で、以下「タワマンに住んでいることにステータスを感じるから」(62.8%)、「眺望が抜群だから」(62.8%)、「セキュリティが充実しているから」(46.5%)、「施設が充実しているから」(46.5%)が続きました。
「地方移住増え、タワマン人気続くのでは」
タワマンを購入した時期は「2年~5年以内」が78.4%でした。スタイルポートは「会社員の購入者が多いことから、コロナ禍のテレワークでおうち時間が増加し、住居の快適さがより求められ、タワマンの人気が高まっているのではないかと考えられます。コロナ禍以降、テレワーク環境が整備されたことにより地方への移住を検討する方が増加傾向にあることや、高齢化により、郊外に住んでいる方が利便性の高い地方の都市部に移住している傾向もあることから、今後も地方のタワマンは幅広い世代から人気を集めるのではないでしょうか」と分析しています。
冒頭の東京カンテイのリポートによると、地方圏でもタワマン開発が急速に進んでおり、その多くは築10年以内です。特に長野県、愛媛県、佐賀県、鹿児島県では、すべてのタワマンがこの10年以内に竣工しています。まだタワマンのない9県でも、同様に近く開発されることが十分考えられます。地方在住でこれから家を買おうという方はもちろんですが、地方に移住を検討している方は、タワマンという選択肢を考えてもいいかもしれません。