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世界の平均的な睡眠時間は?日本人のランキングや調査結果を解説

目次

私たちの日常生活に欠かせない「睡眠」。健康とパフォーマンスを維持するためにも、適切な睡眠時間が求められていますが、実際に世界の人々はどれくらい眠っているのでしょうか?

また、日本は「睡眠不足の国」として話題にのぼることが多いですが、世界と比べるとどのような位置にいるのでしょうか。

この記事では、世界各国の平均的な睡眠時間と、日本人がどのような状況にあるのかについて、最新の調査結果やランキングを交えて詳しく解説していきます。寝不足のビジネスマン



 
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睡眠の重要性と世界的な関心寝ている女性と地球


睡眠は、私たちの身体と心の健康を維持するうえで、欠かせない役割を果たしています。睡眠が十分にとれていないと、体力の回復が不十分になり、免疫力の低下や代謝の乱れを引き起こすことが知られています。

また、メンタル面でも不安やストレスが増加し、集中力や記憶力が低下するなど、日常生活や仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。

近年では、睡眠不足がメンタルヘルスの悪化と関連することが明らかになり、健康面だけでなく、幸福感にも大きく関わっていると考えられています。こうした背景から、世界的に「他国と比べて自分たちの睡眠はどうなのか」「どれくらいの睡眠時間が理想的なのか」といった関心が高まっています。

特に、睡眠不足が慢性的な問題となっている国では、政策として睡眠改善を推進する動きが見られるほどです。

また、テクノロジーの進化により、睡眠の時間や質を手軽にモニターできるデバイスが普及し、各国での睡眠に関するデータが豊富に集まるようになったことも、睡眠に対する関心の高まりに拍車をかけています。

このように、健康と幸福感を支える重要な要素としての「睡眠」が、現代社会において再評価され、世界各国の平均的な睡眠時間やその違いに注目が集まっているのです。

世界の平均的な睡眠時間のデータとランキング睡眠時間の男女別国際比較



上述した通り、睡眠が健康や生活の質に与える影響が注目される中、各国の睡眠時間に関するデータが明らかになっています。特に、日本人の睡眠時間は世界的に見て短いと言われることが多く、これが原因で「睡眠不足の国」として取り上げられることもしばしばあります。

ここでは各国の平均的な睡眠時間をランキングしました。ランキングによると、アメリカ人の平均的な睡眠時間は、男性8時間44分、女性8時間58分であることに対して、日本人は男性7時間46分、女性7時間37分となっています。 アメリカ人と日本人の睡眠時間には、1時間から1時間半ほどの差があるのです。

日本人の睡眠時間はなぜ短い?残業で睡眠時間を削られるビジネスマン




平均睡眠時間の各国比較(出典:経済協力開発機構(OECD)、Gender data portal 2021)によると、先進国33か国のうち 日本はもっとも睡眠時間が短くなっています

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」から「成人の睡眠時間の現状」を見ると、睡眠時間が6時間未満の人が約35〜50%を占めており、睡眠時間が5時間未満の人に限定しても約5〜12%と高い割合を占めています。

特に20代から40代の働き盛りの世代は睡眠時間が短い傾向があり、十分な休息が取れていない実態が浮き彫りになっています。

現役の若い世代が睡眠時間を確保できない要因は、主に3つ考えられます。

要因1. 労働時間の長さ

厚生労働省「平成27年の国民健康・栄養調査」によると、男性が挙げた「睡眠の確保の妨げ」の要因として、仕事が上位にありました。

OECDの2023年の年間労働時間の統計では、決して日本人の年間労働時間は長時間でないものの、未だに サービス残業等の加算されない労働時間が問題となっています。このような長時間労働に加え、通勤時間も睡眠不足の一要因になっていると考えられます。

要因2. 家事・育児の負担

先述した「平成27年の国民健康・栄養調査」において、女性が挙げた「睡眠の確保の妨げ」の要因としては、家事・育児があります。

新生児や乳児の育児では、夜中に何度も起きて授乳やおむつ替えを行う必要があり、まとまった睡眠をとることが難しい状況が続きます。このため、育児中の親は細切れの睡眠となり、睡眠の質が大きく低下します。そして、育児の合間に家事をこなすため、親は常に忙しく動き回る必要があり、昼間も休む時間が確保しにくい状況となりがちです。その結果、子どもが寝た後に家事をすることが続き、就寝時間が遅くなり、睡眠不足に繋がっていると想像されます。

また、働きながら育児をしている場合は、日中は仕事に充てるため、夜にたまった家事を行わなくてはいけないことから、さらなる睡眠不足につながってしまっているといえます。

要因3. 夜型の生活習慣

テレビ、インターネット、スマートフォンの普及により、夜遅くまで起きている人が増えています。 就寝前に電子機器を使用することで、睡眠リズムが乱れやすくなり、結果的に睡眠時間が短くなる傾向があると言われています。

ついついベッドで寝ながらSNSを見たりしてしまうこともあると思いますが、これが睡眠不足の原因になっているのです。

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睡眠時間が短いことのリスクと影響不安を抱える女性



睡眠時間が極端に短く、推奨される睡眠時間に足りていない人にはどのようなリスクが存在するのでしょうか?それは、疲れが取れないということだけではないのです。

厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2023」から、「睡眠時間が短いことのリスクと影響」を整理すると次の4つの点が挙げられます。

生活習慣病の発症リスクが高まる

睡眠時間が短いと、肥満、高血圧、糖尿病、心疾患などのリスクが高まるとされています。慢性的な睡眠不足は体内のホルモンバランスを乱し、特にインスリンの働きを低下させるため、糖尿病のリスクが増加する可能性があります。

日本の男性労働者2,282人を対象に14年間追跡した調査研究では、睡眠時間が1日当たり6時間未満の人は、7時間以上8時間未満の人と比べて、心筋梗塞、狭心症などの心血管疾患の発症リスクが4.95倍となることが報告されています。これは驚きのデータではないでしょうか。

精神的に悪影響がある

睡眠不足は、気分の変動、不安、イライラなどの精神的なストレスを引き起こし、うつ病や不安障害などのリスクを高めます。

十分な睡眠がとれない状態が続くと、感情のコントロールが難しくなり、メンタルヘルスの問題を引き起こしやすくなります。

特に子どもにおいては睡眠時間が不足することによって、肥満のリスクが高くなること、抑うつ傾向が強くなること、学業成績が低下すること、幸福感や生活の質(QOL)が低下することが報告されています。

認知機能や生産性が低下する

睡眠不足は、注意力や記憶力、判断力に悪影響を及ぼします。その結果、 日常生活や仕事における生産性が低下し、ミスや事故が増える傾向があります。

特に交通事故のリスクが増加するため、社会的な安全にも影響を与える問題です。厚生労働省健康局がまとめた「健康づくりのための睡眠指針2014」では、居眠り事故は、他の原因の事故に比べて死亡事故につながりやすいことが示されています。

日本の公共交通機関運転者やタクシー運転者を対象にした研究では、主観的眠気の強さに応じて交通事故発生の頻度が高いことが示されているのです。

免疫力が低下する

睡眠不足により、免疫力が低下し、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。また、回復力も低下するため、病気やけがからの治癒が遅れることもあります。

睡眠不足を解消するための方法脳と目覚まし時計



毎日の「睡眠不足」が積み重なっていく状態のことを「睡眠負債」といいます。これは、あたかも借金(負債)が少しずつ増えていくように、日々の睡眠不足が蓄積されていくイメージから名づけられました。

一方で、この睡眠負債を休日に取り戻そうと、休日に長い睡眠時間を確保する「寝だめ」の習慣がある人は少なくないのではないでしょうか。

しかし、このような習慣で、実際には眠りを「貯める」ことはできません。それでは具体的には、どのような対策を取ればいいのでしょうか。厚生労働省の資料「健康づくりのための睡眠指針 2014」に基づき、睡眠不足を解消するためのヒントを探ります。

規則正しい生活リズムを保つ

● 毎日同じ時間に寝て起きる
規則正しい生活リズムを保つことで、体内時計が整い、自然と眠りやすくなります。週末も平日と同じ時間に起きるようにし、リズムを崩さないようにしましょう。

● 昼間にしっかりと光を浴びる
日中に光(特に朝の光)を浴びることで、体内時計がリセットされ、夜に眠くなるリズムが整います。朝起きたらすぐにカーテンを開け、自然光を浴びることが大切です。

寝る前にリラックスを心がける

● スマートフォンやPCなどの使用を控える
寝る直前までスマートフォンやパソコンを使うと、画面から発せられるブルーライトが睡眠ホルモンの分泌を妨げ、寝つきが悪くなる原因になります。就寝1時間前には、電子機器の使用を控えるようにしましょう。

● リラックスできる習慣を取り入れる
寝る前に軽くストレッチをしたり、深呼吸をしたりすることで、体がリラックス状態になり、自然と眠気を感じやすくなります。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かるのも効果的です。

快適な睡眠環境を整える

● 寝具や室温の調整
寝具の柔らかさや温度、部屋の温湿度など、自分にとって快適な環境を整えることで、深い眠りが得られやすくなります。冬は暖かい寝具を、夏は涼しくなるような寝具を選ぶと良いでしょう。

● 音や光を遮断する
部屋を暗くし、静かな環境で眠ることで、より質の高い睡眠がとれます。騒音が気になる場合は耳栓を使ったり、光が気になる場合はアイマスクをつけて光を遮断したりする工夫をしましょう。

昼間に適度な運動をする

● 軽い運動習慣を持つ
ウォーキングや軽いジョギングなどの適度な運動は、夜に質の良い睡眠を促進します。ただし、激しい運動は逆に覚醒を促す可能性があるため、寝る直前ではなく、日中や夕方に行うようにしましょう。

睡眠不足を補うための昼寝(パワーナップ)

● 短時間の昼寝を取り入れる
パワーナップとは、昼寝、仮眠を指します。日中にどうしても眠気を感じる場合、15~20分程度の短い昼寝をすることで、午後のパフォーマンスが向上し、睡眠不足のリカバリーに役立ちます。ただし、長時間の昼寝や夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響を与えるため注意が必要です。

睡眠に対する意識を変える

● 無理に「寝よう」としない
「寝なければ」と意識しすぎると、かえって寝つきが悪くなります。ベッドに入っても眠れない場合は一度起き上がり、リラックスできることをして、眠気を感じてから再び横になると良いでしょう。

子ども・成人・高齢者にとって理想的な睡眠時間とは?様々な年齢層の人々



厚生労働省の指針をもとに、子ども、成人、高齢者のそれぞれの理想的な睡眠時間の目安を考えてみましょう。

子どもの理想的な睡眠時間

● 乳幼児から学童期
一般的に、成長期にある子どもは成人に比べて多くの睡眠が必要です。乳児期は1日あたり12時間以上、幼児期は10~12時間、小学生は9~10時間が理想とされています。

● 思春期の子ども(中高生)
中高生でも8~9時間程度の睡眠が推奨されています。思春期には成長ホルモンの分泌が活発で、身体的な成長だけでなく、脳の発達にも十分な睡眠が不可欠です。

成人の理想的な睡眠時間

● 成人(18~64歳)
成人の場合、理想的な睡眠時間は7~9時間とされています。個人差はありますが、7時間を下回ると健康リスクが高まるとされています。

高齢者の理想的な睡眠時間

● 高齢者(65歳以上)
高齢者の理想的な睡眠時間は7~8時間です。高齢者は加齢により睡眠が浅くなりやすいため、夜中に何度も目覚めることが多くなりますが、昼間に短い昼寝を取り入れることで、合計の睡眠時間を補うと良いでしょう。

睡眠不足から引き起こされる疾患に警戒しよう問診票



世界と比較すると、日本人の睡眠時間が短いことが分かっています。睡眠不足には様々な理由が関連していると思われますが、特に仕事や育児・家事にかける時間が睡眠時間を短くしている要因のひとつだと考えられています。

このように睡眠不足の人が多い日本では、 慢性的に生活習慣病のリスクに晒されていると言ってもよいでしょう。もし体調を崩し、仕事や育児ができない状態となってしまったら、その経済的なダメージは測り知れません。

睡眠をとろうと気を付けていても、なかなか思う様にいかず、体調を崩してしまうこともあるかもしれません。そこでこうした万一の経済的なリスクに備えるためには、医療保険や就業不能保険も役立ちます。

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▼参考
睡眠時間の男女別国際比較
出典:厚生労働省「令和6年版厚生労働白書」の第1部、第1章「こころの健康を取り巻く環境とその現状」

労働時間の長さ
出典:厚生労働省「平成27年の国民健康・栄養調査」

睡眠時間が短いことのリスクと影響
出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2023」

居眠り事故と死亡事故の関係
出典:厚生労働省健康局「健康づくりのための睡眠指針2014」


  • ソナミラ編集部さん

    「健康で豊かなミライにソナえる」をコンセプトに、マネー・ライフデザインをテーマとしたコンテンツを発信しています。 あなたの可能性を広げるため、読んでためになったと思える記事の制作を心掛けています。