「ミッドライフクライシス」が増えている?中年女性が迎える危機とは
多くの人は、40代から50代にかけて、人生の様々な転機を迎えます。この時期に家庭やキャリア、身体的な変化などが重なると、心のバランスが崩れやすくなると言われます。これを「ミッドライフクライシス」と呼び、「大人が迎える第二の思春期」として、現在注目されています。
最近では、特に中年女性において、この心の危機を迎える人が増えていると言われています。これにはいったい、何が関係しているのでしょうか。
そこでこの記事では、中年女性が陥りやすいミッドライフクライシスの原因や、その対策について詳しく解説します。
事前に起こり得るリスクを知って、適切に対応できるようにしておきましょう。
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ミッドライフクライシスとは?
ミッドライフクライシスとは、一般的に40代から50代の中年期に経験する「心理的・感情的な危機」を指します。
この時期に多くの人が、自分の人生やキャリア、家族関係、健康状態などに対して大きな不安や疑問を感じることがあり、これが自己評価の低下や将来への不安、過去の選択への後悔などにつながっていきます。
アメリカの心理学者ダニエル・J・レビンソンは、40代から50代にかけて約8割の人が、このような大きな危機に直面すると言っています。「大人が迎える第二の思春期」と呼ばれるのは、このように多くの人が経験するからかもしれません。
ただ、心の危機を感じるタイミングは人それぞれ異なり、早い人で30代後半、遅い人で60代になってから経験することもあります。
では、中年女性が不安や疑問を感じる要因には何があるのでしょうか。
主な要因と特徴
ミッドライフクライシスを引き起こす要因は、主に次の5つが考えられます。
● 要因1.人生の見直し期を迎えることで振り返りが多くなる
中年期に差し掛かると、自分の人生のこれまでの選択や成し遂げたことを振り返ることが多くなります。その結果「このままで良いのか」といった将来への不安を感じてしまうことも出てきます。これが、人生に対する焦りや自己評価の低下につながるケースがあります。
● 要因2.キャリアの終盤に差し掛かり、不全感に苛まれる
会社員生活の終盤でもあるこの時期は、自身のキャリアに対して改めて真剣に向き合う時間が増えてきます。子育てが一段落した後に、人事異動や昇格と言ったイベント、その先の役職定年や退職を考え始める時期であるため、築いてきたキャリアに不完全さを感じてしまうケースもあります。
中には、出産や育児のために、描いていたキャリアを犠牲にしてしまったと考える人もいます。その場合は「本当にそれでよかったのか」という後悔の念が沸くこともあるのです。
● 要因3.身体的な衰えを感じ、生理的な変化に不安を覚える
中年期は老化の兆候が表れて、健康に対する自信が失われる時期でもあります。特に女性は40代から50代にかけて、更年期を迎えます。身体的な変化やホルモンバランスの乱れが起こることにより、ミッドライフクライシスへとつながってしまうこともあります。
更に、自分の容姿の変化や、若さや美しさへの執心が、不安を助長することもあります。
● 要因4.家庭環境が大きく変化し、責任を感じるイベントが増える
子供が独立することや、親の介護など家庭内での責任や役割が変わることもミッドライフクライシスを引き起こす要因です。結婚していれば、自分の親の介護だけではなく、義理の親の介護もしなければならない可能性があります。
結婚相手が長男の場合、長男のお嫁さんというだけで、義理の親の世話を押し付けられてしまうケースもあります。このように家庭内で、新たな役割を求められることで、自己のアイデンティティに疑問を感じてしまうこともあります。
● 要因5.老後生活への経済的な不安が束縛を生んでしまう
厚生労働省「生活保護世帯の現状について」令和4年6月3日によると、生活保護を受けている人の約56%は65歳以上という統計があります。そのうちの92.3%は単身世帯です。中でも単身女性の4割は相対的貧困*に陥っていっており、単身男性の3割を上回っています。
今現在、結婚をしていても、夫との死別や離婚により単身となる人もいます。具体的な数字は把握できていなくとも「夫の収入や年金がなければ貧しくなる」と感じる女性は少なくないでしょう。経済的に自立できていないことがミッドライフクライシスにつながる可能性もあります。
* 相対的貧困とは、同じ国・地域の人と比べ、収入や資産が少なく、生活も厳しく不安定な状態のことです。その時代のその社会に所属している人々が保有しているものを持てないため、相対的に見て貧しい環境に置かれている状態だといえます。
ミッドライフクライシスの典型的な症状
ミッドライフクライシスのよくある徴候や症状には次のようなものがあります。
・意欲の低下や無気力感
・過去の選択に対する後悔
・自己評価の低下
・キャリアや人間関係に対する疑念や不満
・将来に対する漠然とした不安
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なぜ特に中年女性がミッドライフクライシスを経験しやすいのか?
なぜ他の年代よりも、40代から50代の女性の方がミッドライフクライシスに悩まされる傾向が高いのでしょうか。それは、この年代の女性が抱える複雑な悩みと関連があります。
人生の折り返し地点ともいえるこの年代では、家庭と仕事の両立や将来の不安など、今後の人生に関わる重要な問題に直面する場面が多くなります。
それでは、ライフイベントやキャリアの面からどんな悩みが挙げられるのかをみていきましょう。
ライフイベントに関する悩み
40代から50代の女性は、様々なライフイベントを迎えることで価値観の変化を余儀なくされ、大きな責任を担うことがあります。ミッドライフクライシスを引き起こす可能性がある、3つのライフイベントをみてみましょう。
① 子育ての終わりと空の巣症候群
子供が成長して独立すると、子育てが中心であった生活が突然変わり、目的を失ってしまうことがあります。これを「空の巣症候群(からのすしょうこうぐん)」と呼びます。
長年子育てに注力してきた女性は、自分の価値観が「母親」としての役割と強く結びついているため、子供が独立すると、急に人生の意味を見失うことが多いのです。
➁ 介護問題
50歳を過ぎると両親の年齢が後期高齢者となるケースが増えます。後期高齢者になると、要介護状態となる人も増えるため、50歳代で親の介護に直面することも多くなります。親の介護が必要になった場合、仕事や自分自身の生活、介護の両立に悩むことが増え、結果的に、仕事も自分自身の生活も犠牲にせざるを得なくなります。
実際、介護離職が最も多い年代は50歳代の女性なのです。介護は、支える人の肉体的、精神的な負担にだけでなく、費用の負担も重くなります。
③ 健康への不安と更年期障害
女性の場合、ホルモンバランスの変化に伴う更年期障害が起こりやすく、これが精神的な不安や体調不良の原因となります。この更年期障害によって、イライラや不眠、疲労感が強くなるため、日常生活や仕事に影響を及ぼすことがあります。
キャリアにおける悩み
40代から50代の女性は、キャリアにおいても課題に直面します。この年代は、キャリアの転機となる時期でもあり、さまざまな決断や挑戦が求められます。
① キャリアの停滞や昇進の限界
一般的に、40代後半以降はキャリアチェンジの機会は少なくなっていきます。また、既に管理職についている場合でも、それ以上の昇進の機会が限られることも多くあります。その結果、自分のキャリアが限界に達したと感じ、モチベーションの低下につながっていくケースがあります。
➁ 仕事と家庭のバランス
この年代の女性は、家庭内での責任が依然として大きい一方で、キャリアに対する責任も増しています。また、子育てや親の介護が昇進と重なることもあります。これらのイベントが重なると家庭と仕事との両立が非常に困難になります。
③ 再就職やキャリアチェンジの難しさ
再就職やキャリアチェンジをしたいという気持ちがあっても、年齢や家庭の事情などの障壁により、あきらめることが増えていきます。また、キャリアチェンジをするためのスキルや資格が不足しがちなことも大きな課題です。特に長期間専業主婦であった場合は、仕事へ復帰することですら、大きな不安が伴うことでしょう。
ミッドライフクライシスを乗り切る方法
中年女性の誰もがなり得るミッドライフクライシス。もしなってしまったときに、乗り切るための具体的な方法はあるのでしょうか。
内省して新しい目標を設定する
ミッドライフクライシスを「自己の内面を見つめ直し、新たな人生の目標を再設定する良い機会」だと肯定的に捉えることが重要です。そして、これまでの人生やキャリアを振り返り、満足や後悔の度合いを踏まえて、今後どのように生きたいかを具体的に考える時間を作りましょう。
このような 内省を通じて、自分が本当に求めていることや、達成していない目標を明確にし、新しい挑戦に向けて計画を立てることで、次のステージへの希望が見えてきます。
サポートしてくれるネットワークを見つける
家族や友人、専門家などのサポートネットワークをうまく活用してみましょう。気持ちを共有することで孤独感を軽減させることができ、他者からのアドバイスやサポートを受けることで、現状を冷静に見つめ直すことができます。
精神面では心理カウンセラー、キャリア面ではキャリアコンサルタントやコーチングなどの専門家の支援を受けることで、ポジティブなビジョンを描く手助けになるはずです。
新しい趣味や学びを取り入れる
ミッドライフクライシスは、これまでの人生に対する後悔から生じることが多いため、新しいことへ挑戦することで乗り越えられる可能性があります。新しい趣味や興味のある分野に取り組むことで、日常に変化をもたらし、自分自身に対する自信や達成感を取り戻せるかもしれません。
例えば、キャリアチェンジを考えている場合であれば、新しいスキルや資格を取得することが、将来的な自己実現にも役立つといえるでしょう。
ミッドライフクライシスは予防できるか
今回は、「大人が迎える第二の思春期」であるミッドライフクライシスについてみてきました。
40代から50代の多くの女性が、様々なライフイベントやキャリアの変化に直面し、「心の危機」を感じています。もしミッドライフクライシスに陥ったときは、人生の後半に向けて心を整える準備期間だと、前向きに捉えることが大切です。
たとえ、これまで自分自身を犠牲にしてきたと感じても、再挑戦できる機会はあります。ウーマノミクス*1やスマートワーク*2の浸透が進めば、女性の働きやすさがさらに高まり、キャリアを再構築するチャンスも見えてくるはずです。
*1 ウーマノミクス(Womenomics)とは、女性の経済活動への参加を促進し、経済成長を図る概念や政策のことを指します。特に、少子高齢化が進む日本では、労働力人口の減少が経済成長の大きな課題となっており、女性の社会進出を推進することで経済の活性化を目指しています。
*2 スマートワーク(SmartWork)とは、働き方改革の一環として、テクノロジーや効率的な労働手法を活用し、従業員がより少ない時間で高い成果を上げることを目指す働き方のことです。従来の長時間労働や定時出社に依存する働き方から脱却し、柔軟な働き方や生産性向上を推進することが目的です。
しかしながら、自分ではコントロールできないライフイベントによって計画を断念しなければならないこともあり得ます。
例えば、両親の介護をしながら仕事を続ける場面、今のパートナーとの離婚を望むが経済的に困窮するため決断できない場面など、様々な状況が考えられます。
このような予期せぬシナリオへの対処については、リスクマネジメントのプロの力が役立ちます。現段階では自分の身に起こっていなくても、家族構成や社会構造の変化から発生するリスクを予見できれば、早い段階から手を打っていくこともできるはずです。
両親に介護保険へ加入してもらっておけば、介護に対する経済的な不安は和らぎます。また、自分自身がiDeCoや個人年金保険等の金融商品に加入し、老後の資金を準備しておけば、老後の経済的な不安も減るはずです。
このように、将来起こるかもしれないシナリオのダメージを緩和する施策を取っておけば、これがミッドライフクライシスへの事前対策にもなります。
複雑な社会を生きていくためには、様々な専門家の力を借りることが重要な時代です。アドバイスを受けるためにかかる費用は、将来の後悔を無くすためには必要なコストではないでしょうか。
ソナミラでは、このようなリスクマネジメントや資産運用に関して、金融のプロが無料でアドバイスしています。相談だけであれば何度でも無料です。ご興味があれば是非一度相談してみてください。オンラインでも相談可能です。
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ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号