オルカンとS&P500はなぜ人気?投資初心者におすすめの理由を解説します
2024年にNISA制度が新しくなり、資産運用や投資という言葉を耳にする機会も増えたのではないでしょうか。しかし、資産運用を始めようと考えている初心者の人にとって、どの投資信託や株式を選べば良いかは大きな悩みの種です。
そんな悩める投資家から注目される投資先が、世界中の株式に分散投資できるオルカン(オール・カントリー)と、アメリカの主要企業に投資するS&P500に連動した金融商品です。なぜこの2つに連動する運用商品が、多くの投資家に選ばれているのでしょうか?
そこでこの記事では、オルカンとS&P500の魅力、投資初心者におすすめされる理由を分かりやすく解説します。
投資初心者に人気のオルカンとS&P500とは?
投資信託の中でも、オルカンとS&P500に連動している金融商品は非常に人気があります。そこで、この2つが特に投資を始めたばかりの初心者におすすめされる理由を見ていきましょう。
オルカンの3つの特徴
「オルカン」とはMSCI ACWIに連動する投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の商標ですが、この記事では「MSCIオールカントリー ワールド インデックス」という株価指数の略称として、解説していきます。
MSCIはアメリカの指数算出会社であるモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルのことを指します。
オルカンに連動するインデックス・ファンドやETFは世界中の株式市場に少額からでも分散投資を行うことができるため、リスクを分散しながら長期的な資産形成が可能です。
オルカンには次の3つの特徴があります。
➀ 全世界の株式に投資することで成長を期待できる
先進国から新興国まで、広範囲の国と地域に投資を行っています。併せて、アメリカ、ヨーロッパ、日本、中国など主要な株式市場をカバーしているため、世界経済の成長に幅広く対応することができます。
➁ 手軽にグローバル分散投資が可能である
1つの投資信託で世界中の企業に投資できるため、個別に投資先を選ぶ手間が省けます。
③ リスク分散が優れている
1つの国や地域に依存せず、全世界に投資先を分散することで、特定の国や地域の経済不振によるリスクを抑えることができます。特に新興国は、リターンが大きい可能性が高いもののリスクもあるため、全世界分散でリスクを抑えられるのがメリットです。
S&P500の3つの特徴
S&P500は「Standard & Poor's 500 Index」の略称で、アメリカの株式市場を代表する500社の株式で構成された株価指数です。投資対象となっているアメリカの大企業は、全世界の株式市場全体に大きな影響力を持っており、まさに世界市場をけん引する企業へ投資することができます。
このような特徴により、S&P500に連動するインデックス・ファンドやETFは、投資初心者から上級者まで広く支持されています。
S&P500には次のような3つの特徴があります。
➀ アメリカの主要企業500社に投資できる
S&P500の構成銘柄には、アップル、マイクロソフト、エヌビディア、アマゾン、テスラなど、世界的に有名な企業が多く、各業種を代表する大企業です。これまで世界経済の牽引役を果たしてきたアメリカ経済の成長に連動した投資ができます。
➁ リスクはやや高めだがリターンが期待できる
アメリカ経済に集中投資するため、オルカンと比べるとリスクはやや高くなります。しかし、これまでのパフォーマンスを見ると、長期的に高いリターンを上げており、歴史的に見ても非常に高く評価されています。
③ 広範囲の業種をカバーしている
S&P500は投資対象国としてはアメリカのみですが、テクノロジー、金融、ヘルスケア、消費財など、幅広い業種の企業で構成されています。これにより、特定の業種に依存せず、多様な分野に分散投資が可能です。
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なぜオルカンとS&P500は投資初心者におすすめなのか?
特に投資を始めたばかりの初心者におすすめされる理由を見ていきましょう。
理由1.運用コストが低い
多くのオルカン連動ファンドは、低コストを特徴としています。また、S&P500に連動するインデックス・ファンドやETFも、一般的に運用コストが非常に低くなっています。資産運用は、コストが低ければ低いほど、運用期間中の利益が最大化されやすくなります。
理由2.長期運用に適している
オルカンもS&P500も株式市場の成長に伴い、長期的なリターンが期待できる株価指数です。特にNISAの「つみたて投資枠」による長期運用の仕組みと相性が良いといえます。日本の経済が不調であったとしても、全世界経済およびアメリカ経済の安定的な成長により、長期的なリターンを期待することができます。
理由3.時価総額加重平均で構成されている
オルカンもS&P500も時価総額加重平均で銘柄が構成されています。時価総額加重平均とは、各企業の時価総額に応じて株式指数の構成比率が決まる方式です。つまり、時価総額の大きい企業ほど、構成割合も大きくなります。
オルカンは世界中の株式市場全体をカバーしていますが、時価総額が大きいアメリカ企業が高い比率で含まれます。一方、アメリカ市場に投資するS&P500の中では、特に時価総額の大きいテクノロジー分野の企業への投資が多くなります。
それぞれ分散投資しながらも、成長国、成長企業へしっかりと投資できることから運用益にも期待がもてるのです。
オルカンとS&P500、どっちを選ぶべき?
それでは、オルカンとS&P500では、どちらに連動する金融商品を選ぶべきでしょうか。
結論から言うと、どちらを選ぶべきというお勧めはなく、自分のライフプランや投資目標に合わせて選択することが望ましいと言えます。ただ、どちらが自分に合っているのかを考える上で、次の違いは理解しておきましょう。
比較項目1:対象市場の違い
前述のとおり、オルカンは全世界に分散投資を行う株価指数で、先進国、新興国を含めた広範な地域が対象となっています。投資地域はアメリカが約60%と最大の割合を占めていますが、その他の先進国(ヨーロッパ、日本)や新興国(中国、インドなど)も含まれ、より広範囲のリスク分散が可能です。
一方で、S&P500はアメリカ市場に特化した株価指数です。アメリカの主要500社に投資するため、アメリカ経済の成長に直接的に影響されます。アップルやマイクロソフト、エヌビディアなど、アメリカを代表する企業に集中投資するため、他国市場への分散は行われません。
比較項目2:運用コスト
オルカンやS&P500のどちらに連動した投資信託もインデックス・ファンドであるため、運用コストは高くはありませんが、若干の違いがあります。
オルカンはS&P500と比べると、世界全体に分散投資するために管理費用や運用コストが多少高めになる傾向があります。投資信託によって手数料等は異なるため、一概に比較できませんが、運用コストのおおよその目安は次のとおりです。
・オルカンに連動した投資信託の運用コスト:約0.10%〜0.20%程度(投資信託によります)
・S&P500に連動した投資信託の運用コスト:約0.09%〜0.15%程度(投資信託によります)
比較項目3:期待できるリターンとリスク
オルカンに連動した金融商品は世界経済全体に投資するため、特定の地域や国に依存しない、安定的なリターンを期待できます。特に、先進国の安定成長と新興国の高成長が組み合わさることによりバランスが取れています。
このバランスの良さから、2015年度よりGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の外国株式マネージャーストラクチャーでもMSCI ACWI(除く日本)*が採用されています。
* MSCI ACWI(除く日本)とはMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、配当込み、円換算ベース)のことで、MSCI inc.が開発した世界の株式指数を表す代表的なインデックスです。日本を除く世界の先進国(22か国)・新興国(24か国)の株式市場を網羅しています。2023年8月末時点では、2,697銘柄で構成され、グローバルな株式市場の時価総額の約85%をカバーしています。オルカンのポートフォリオから日本を除いたものでもあります。
オルカンは、このように投資先が全世界に分散されているため、特定の国や地域に起因するリスクは低くなりますが、世界経済全体の成長が鈍化した場合、リターンも抑えられる可能性があります。
一方、アメリカ経済に集中投資するS&P500に連動した金融商品は、IT企業やヘルスケア企業が牽引する市場の成長が期待できます。ただし、投資先がアメリカ市場に限定されているため、アメリカ経済が低迷するとリスクが大きくなります。
これらの点で比較すると、アメリカの経済成長により大きな期待をするのであればS&P500であると言えるでしょう。
オルカンとS&P500のどちらを選ぶか迷ったら
オルカンとS&P500は、投資初心者にとってリスクを抑えながらリターンも期待できるよい選択肢になります。
どちらがよいかは、今後の全世界、アメリカの経済発展によって異なり一概には言えないため、自分の考え方やライフスタイルで選択するとよいでしょう。両方とも購入して、さらに分散させるのも1つの手かもしれません。
過去の運用実績などを踏まえ慎重に選びたい場合は、金融のプロに相談することも一つの方法です。ソナミラでは、対面だけでなくオンラインを通じて資産運用のアドバイス等を行っています。どちらにすればよいのか悩むという方は、是非一度相談してみてはいかがでしょうか。相談だけなら何度でも無料で対応しています。是非ご活用ください。
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▼参考
GPIFのポートフォリオ
出典:GPIFの2015年度「業務概況」
ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号