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アセット・ロケーションって何?アロケーションする前に学んでおこう

目次

資産運用を考える際に、資産をどのように配分するか、つまり「アセット・アロケーション」を検討することは非常に重要です。

そして同時に大切なことは「アセット・ロケーション」という概念です。資産をどこに配置するかによって、資産の流動性や税金、相続時の対応が大きく変わる可能性があります。

そこでこの記事では、アセット・ロケーションとは何か、その重要性や基本的な考え方について詳しく解説し、適切な資産配置を行うための知識をご紹介します。

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アセット・ロケーションとは? 金貨を積む男性


資産運用を行う際に考えるべきことは「どの資産にどのくらいの割合で配分するか」「資産をどこに配置するか」の二点です。前者はアセット・アロケーション、後者はアセット・ロケーションと呼ばれています。

このアセット・アロケーションとアセット・ロケーションには、どのような違いがあるのでしょうか。また、アセット・ロケーションにはどのような効果があるのでしょうか。

アセット・アロケーションとアセット・ロケーションの違い 


アセット・アロケーションとは、投資をする際、株式や債券など、どのアセットクラス(資産の種類)にどれだけの資産を割り振るかという配分のことを言います。

一方、アセット・ロケーションとは、課税口座(一般口座・特定口座)、NISA口座(NISA)、DC口座(iDeCo・企業型DC)、その他(預貯金・生命保険)に、適切に資産を配置することをいいます。

2024年から始まった新しいNISA制度を受けて、「どんなポートフォリオにするか?」ということばかりに気を取られがちです。しかし、NISAは資産運用を行う口座の一つにすぎず、万能ではありません。状況によっては有効でないケースも存在します。

先行き不透明な時代に大切な資産を守り育てるには、「資産の置き場所」を考えることが改めて重要になってきています。

アセット・ロケーションで期待されるメリット

アセット・ロケーションでは次の3つのことを期待できます。

メリット1. 税効率の適正化ができる

運用益の非課税など、税制優遇口座を活用して税金の負担を適正化し、より多くのリターンを見込むことができます。

メリット2. 資産全体のポートフォリオにおけるリスク管理がしやすくなる

資産を異なる口座に適切に配置することで、全体のポートフォリオのリスクを管理しやすくできます。ふやす目的で保有する資産と、守る目的で保有する資産のバランスを考えることができるようになります。

メリット3. 様々なライフイベントに対処しやすくなる

口座によって流動性や安全性が異なります。特徴を活かして資産の置き場を振り分ければ、今後発生しうる様々なライフイベントに対処しやすくすることができます。

なぜアセット・ロケーションが重要なのか? 電球の絵


上述した定義やメリットを読んでも、今一つピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。そこで、各口座のアロケーション(資産配分)だけを見ていると、見落としてしまうケースを2つご紹介します。

若年層が確定拠出年金内だけで老後資金のポートフォリオを考えてしまうケース

ご存じのとおり、確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)は運用益に対する課税がなく、掛金に関しても所得控除があります。老後資金の準備方法に適した制度のひとつだと言えるでしょう。

確定拠出年金は自己責任で投資商品を選ぶことになるので、運用を始めるときは「投資の基本」としてポートフォリオやアロケーションについて学ぶことになります。

その上で、一般的には次のように老後資金ポートフォリオを設計している人が多いのではないでしょうか。

➀ 老後資金を準備する上では、ポートフォリオ全体としてある程度の安全性を確保したい。

➁ 元本割れしない資産は銀行預金であり、預貯金の割合を高めたい。

③ その他の資産はDC口座の特徴を活かし、運用益が期待できるものに配分したい。


では実際に、DC口座で老後資金を準備している人のポートフォリオはどのようになっているのでしょうか。 確定拠出年金の「商品選択割合」


運営管理機関連絡協議会「確定拠出年金統計資料(2023年)3月末」

確定拠出年金の企業型、個人型のそれぞれのポートフォリオにおいて約1/4が預貯金になっています。

国民年金の加入者が確定拠出年金で私的年金を準備している場合であれば、このポートフォリオは良いバランスかもしれません。しかし、まとまった金額の企業退職金を受け取れる場合や、現預金や貯蓄性のある生命保険などでも老後資金を準備しているのであれば、ポートフォリオは再考すべきかもしれません。

確定拠出年金には運用益の非課税といった税制優遇がありますが、預貯金では大きな運用益を期待することはできません。確定拠出年金では拠出限度額が定められており、その枠を預貯金の枠で使ってしまうのはもったいないという考え方もあります。

更に確定拠出年金の最大のデメリットは、原則60歳まで資金が引き出せないことにあります。運用益の見込めない預貯金を、60歳まで使えない枠に入れてしまっていることになります。

確定拠出年金だけで老後資金のアセット・アロケーションを考えてしまうと、このように本来確定拠出年金以外の場所に置くべきお金についても、DC口座で運用していることになります。

老後資金は様々な口座で準備できるものであることを前提に、各口座をまたいだ適切なロケーションを考えることが大切ではないでしょうか。

リタイアメント層がNISA 口座だけで運用するケース

NISAは2024年から運用益の非課税保有期間が無期限になりました。したがって、利益が出ている限りNISA口座で保有し続ける人も増えてくると考えられます。その中には退職金等を運用するリタイアメント層も含まれています。

実際、NISA口座数の年代別では約32%が60歳以上*1というデータがあり、高齢化率の高まりを受けて今後も60歳以降の方の口座数が増えると考えられます。

*1 日本証券業協会の「NISA口座の開設・利用状況調査(2024年3月末時点)」全金融機関対象

そこで今後起こる問題を考えてみましょう。

被相続人がNISA口座で保有していた投資信託や株式などの財産は、相続発生日までが非課税の対象です。NISA口座に相続の非課税枠はありませんので、相続が発生した以降は相続税の課税対象となり、相続税評価額は通常の証券口座(一般口座・特定口座)と同じように算出されます。

例えば70歳の人が、2024年10月1日時点でNISA口座で保有している株式の取得価額が1,000万円だとします。その後2024年11月1日時点で時価評価額が500万円に下がっている状況で、万一お亡くなりになってしまったとしたらどうなるでしょうか。そして2024年12月1日時点で時価評価額が500万円に下がったままの株式を相続人が引き継ぐとします。

しかし、その後、被相続人の保有株式を相続した相続人が、1,000万円の評価額に戻ったときに売却すると、500万円から1,000万円にふえたことになり、ふえた500万円に対して税金が課税されることになります。

一方、亡くなった方が通常の証券口座(一般口座・特定口座)で保有していた株式であれば、相続人は被相続人の取得価額および取得日を引き継ぎます。つまり、相続人が通常の証券口座で相続し、その後に1,000万円まで評価額が戻ったとしても、もともと1,000万円の取得価額から売買差益は発生していないので税金はかかりません。

この様に、どの口座で金融資産を保有しているかによって、相続が発生した際にかかる税金等が異なってくるのです。

リタイア後のイベントには「相続」という可能性があることを忘れてはいけません。もし、相続税対策をしておきたいということであれば、一時払終身保険に資産を置いておくことも選択肢です。

生命保険の非課税枠は相続財産にかかる税負担の適正化という観点では有効に活用できます。ところが、相続財産種類別での相続税の課税状況を確認すると、課税人数に対する生命保険等保有人数は約33%*2となっており、有効に活用されていないのが現状です。

*2 国税庁 統計情報 令和4年度 直接税(相続税)「相続財産種類別(その2)」

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アセット・ロケーションを考えるポイント ポイントを示す女性


上記で説明した通り、アセット・アロケーションだけを考えていると見落としてしまうことがあります。そこで改めて次のポイントに気を付けて、お金の置き場所が適切なのかを考えてみましょう。

大きな運用益を期待する投資は非課税口座を活用する

NISAなどの非課税口座は、運用益が非課税になるという最大のメリットがあります。これはリターンが大きくなる資産ほど、メリットを享受できます。

ですから、個別株や株式に投資する投資信託・ETF等を保有する場合はNISA口座を有効に活用しましょう。ただし、NISA口座で生じた損失は損益通算ができない点には注意が必要です。

損益通算などのNISAのデメリットを確認したい方はこちらも参考にしてください。

関連記事:NISAは本当にデメリットしかないのか?FPが解説するNISAの真実とは

まとまった資金を投資したいときは成長投資枠を活用する

リタイアメント層が退職金などのまとまった資金を投資する場合は、NISAのつみたて投資枠やiDeCoでは効率の悪い運用になる可能性があります。

これらは積立投資であるため、運用益を生み出すためにはどうしても時間がかかります。そこで、まとまった資金は一括投資可能なNISAの成長投資枠を使って投資を行い、課税口座とのリバランスを行うことがよい選択です。

また、まとまった資金の運用を行う際、相続が気になる人は、NISA等の活用と合わせて生命保険の活用を考えてみましょう。

緊急予備資金等は預金口座で準備する

人生においては、転職や起業、家族の入院といった緊急を要するイベントが発生する可能性もあります。このときにDC口座に資金の多くを預けてしまっている場合は、迅速に対応することができません。

また、NISA口座の場合は株式等に投資しているため、一時的に含み損を抱えているケースでは、それを現金化するために損失を確定しなければならないこともありえます。先述のとおり、NISA口座では損失を相殺したり繰り延べたりすることができません。

このように、緊急予備資金などは流動性の高い預金口座で確保しておくことが望ましいと言えます。

また、貯蓄性のある生命保険は長期的な資産形成をしながらも緊急時にはお金を借りることができる機能(契約者貸付)などもあり、変化するライフスタイルに対応できる自在性があります。その点では生命保険も合わせて検討に入れるとよいでしょう。

アセット・ロケーションは金融のプロに相談しよう 金融商品について解説する男性


NISAやiDeCoのように非課税で運用できる口座など、私たちが選択できる口座の種類は増えました。しかし、その特性を理解していないとメリットを十分に活用しきれないどころか、デメリットにもなることをいくつかの例を用いて解説してきました。

複雑な商品、予測できない経済状況、変化していく個人の価値観に対して、アセット・アロケーションだけを考えて対処するのは少し心もとないことです。

自分の持っている資産全体で、攻めと守りのバランスを考えることは長い人生を歩んでいく上でとても重要なことなのです。

ただし、アセット・アロケーションと違い、アセット・ロケーションを考える際は、それぞれの金融商品や口座特性を押さえると同時に、その人の価値観やライフイベントも理解しながら、調整していくことが重要です。

この点まで踏み込んだプランニングを行うには、やはり金融のプロの知識と経験が必要です。

ソナミラは、資産運用だけでなくリスクマネジメントの提案まで一貫した情報提供を行う代理店です。「ふやしたい」という想いだけでなく、「人生においてどのような資産設計をすればベストか」という点に力を入れて提案を行っています。

相談は対面、オンライン両方が選択でき、相談だけであれば何度でも無料で行っています。是非一度、活用してみてはいかがでしょうか。

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▼参考
NISA口座の保有者数
出典:日本証券業協会「NISA口座の開設・利用状況調査(2024年3月末時点)」

相続時財産における課税人数に対する生命保険等保有人数
出典:国税庁 統計情報 令和4年度 直接税(相続税)「相続財産種類別(その2)」

  • 監修者
    水野 崇さん

    水野総合FP事務所代表。個別相談、執筆・記事監修、講師、取材協力などマルチに活躍する独立系ファイナンシャルプランナー。学校法人専門学校非常勤講師。 【メディア掲載】毎日新聞|朝日新聞|中日新聞|東京新聞|朝日中高生新聞|物流産業新聞社|Yahoo!ニュース|女性自身|プレジデントオンライン|日本FP協会 他多数

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    「健康で豊かなミライにソナえる」をコンセプトに、マネー・ライフデザインをテーマとしたコンテンツを発信しています。 あなたの可能性を広げるため、読んでためになったと思える記事の制作を心掛けています。

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ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者  関東財務局長(金仲)第 1010号