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企業型DCとiDeCoはどちらが得?違いや向いている人の特徴

目次

退職後の生活資金を確保する方法として、企業型DCとiDeCoのどちらを選ぶべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

どちらも税制上の優遇を受けられ、将来の資金作りに役立つ方法として魅力的ではありますが、企業型DCは基本的に事業主が掛金を拠出するのに対し、iDeCoは個人で掛金を拠出するという大きな違いがあります。

その他にも多くの点で違いがあるため、それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った資産形成の方法を選択しましょう。この記事では、企業型DCとiDeCoの違いや向いている人の特徴を解説します。

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企業型DCとiDeCoの基礎知識iDeCoと書かれた積み木



企業型DCとiDeCO、どちらが得になるのか気になっている人は、まず、それぞれの制度の仕組みを理解しておきましょう。

企業型DC(確定拠出年金)とは?

企業型DC(確定拠出年金)とは、企業が福利厚生のひとつとして設ける、企業年金制度のことです。企業が掛金を拠出し、従業員はその資金を運用して退職後に年金として受け取ります。運用成績によって受け取る年金額は変動します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?

iDeCo(個人型確定拠出年金)は個人が掛金を拠出し、自ら選んだ金融商品で資産運用をおこなう私的年金制度のことです。企業型DCと同様に、豊かな老後を過ごすために公的年金に上乗せすることを目的とした制度で、実際の給付額は運用成績によって変動します。

企業型DCとiDeCoの違いを比較

以下のように、企業型DCと iDeCoは、掛金の負担者や拠出限度額、手数料など、さまざまな点で違いがあります。


企業型DCiDeCo

加入対象者

制度を導入している会社の従業員

65歳未満の国民年金の被保険者

掛金の拠出者

企業
マッチング拠出も可能

個人

 

拠出限度額(月額)

5.5万円

  • 国民年金の第1号被保険者(自営業者:6.8万円など)
  • 会社員:2.3万円
  • 公務員:1.2万円
  • 国民年金の第3号被保険者(専業主婦・主夫など):2.3万円

積立期間

最大70歳まで

最大65歳まで

運用商品

勤務先企業が契約する運営管理機関の商品ラインアップから選択する

iDeCoの口座を開設した金融機関のラインアップから選択する

税制上の優遇

拠出時:企業が拠出する掛金は全額損金算入の対象

運用中:運用益が非課税

給付時:年金で受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象

拠出時:個人が拠出する掛金は全額所得控除の対象

運用中:運用益が非課税

給付時:年金で受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象

掛金の支払方法

勤務先企業が支払うため個人での支払いはなし(マッチング拠出する場合は給与天引き)

自身の口座から引き落とし(給与天引きも利用可) 

手数料の負担

企業

個人

手続きの方法

勤務先企業を通じて申し込む

自ら金融機関に申し込む

企業型DCは、企業を通して掛金・手数料の支払い、手続きなどをおこなう点が大きな特徴です。掛金は限度額の範囲内で、事業主が加入者ごとに決定します。ただし、企業負担分とは別に加入者本人が掛金を上乗せして支払う「マッチング拠出」をおこなうことも可能です。

iDeCoは個人で掛金の拠出や手続きなどをする制度で、会社員や公務員だけではなく、自営業者や専業主婦(夫)も加入できます。拠出した掛金は全額所得控除の対象になるため、所得税や住民税の負担を減らしつつ、老後資金に備えることが可能です

【出典】
厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html#206
厚生労働省「iDeCoに加入できる年齢の要件などが拡大されます」
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000883881.pdf
厚生労働省「企業型DC加入者の加入可能年齢が引き上げられます」
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000823718.pdf
厚生労働省「iDeCo(個人型確定拠出年金)について」
https://www.nenkin.go.jp/service/riyoushabetsu/cooperator/nenkiniin/7.files/shiryo1_2023.pdf#page=13

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企業型DCとiDeCoはどちらが得? パソコンの前で悩む男性

企業型DC(企業型確定拠出年金)とiDeCo(個人型確定拠出年金)は、どちらも老後の資金を効率的に準備するための制度です。しかし、それぞれに異なる特徴があり、どちらが適しているかは個人の状況によっても異なります。

企業型DCがおすすめの人の特徴

・投資知識が少ない初心者

・申し込み手続きが苦手な方

確定拠出年金制度では、加入者に対して事業主による「投資教育」をおこなうことが義務付けられています。また、口座開設や実際に運用を始めるまでの手続きも大部分は企業がおこなうため、投資知識が少ない初心者や、申し込み手続きが苦手な人でも適切なサポートを受けながら、老後に向けた資産形成ができるでしょう。

【出典】
厚生労働省「確定拠出年金の投資教育」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu/kyouiku.html

iDeCoがおすすめの人の特徴

・会社で企業型DCの制度がない、もしくは掛金が少ない

・自分で好きな金融機関を選んで運用したい

・退職後も65歳まで掛金の拠出を続けたい

企業型DCを活用できるのは、あくまでも勤務先企業が企業型DCを導入している場合のみです。該当しない場合はiDeCoへの加入を検討しましょう。また、毎月の掛金は企業が決定するため、掛金が少ない場合は思うように老後の資産形成ができない可能性もあります。

マッチング拠出も選択できますが、会社が拠出する掛金を超えて拠出することはできないため、元々の掛金が少ない場合は、あらかじめiDeCoに加入した方が多くの金額を拠出できる可能性があります。

企業型DCの場合、運営管理機関の商品ラインアップから運用対象を選択しなければならないため、自分の投資したい商品があるとは限りません。iDeCoであれば、さまざまな金融機関の中から、自分のニーズに合った商品を取り扱う運営管理機関を選択できます。

iDeCoは、会社を退職した後でも、60歳以上65歳未満で、国民年金保険料の納付済期間が480カ月に達していない「国民年金の任意加入被保険者」などであれば加入できます。

定年を迎えた後に企業型DCの加入資格がなくなるケースは少なくないので、退職した後も掛金の拠出を続け、老後資金を積み増ししたい場合は、iDeCoを活用しましょう。

【出典】
厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html#206
国民年金基金連合会「iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等」
https://www.ideco-koushiki.jp/guide/structure.html

企業型DCとiDeCoに関するよくある質問

企業型DCとiDeCoに関して、疑問点や不明点がある場合は、ここで解消しておきましょう。

企業型DC(確定拠出年金)はデメリットしかない?

企業型DCは「デメリットが多い」といわれることもありますが、実際には老齢給付金を受け取るときに、公的年金等控除や退職所得控除など、税制上の優遇を受けられる、口座管理手数料などの個人負担が必要ないなどのメリットがあります。

一方で、運用実績に応じて受け取れる年金額が変動する点は、デメリットと考えられます。また、原則として60歳までは資産を引き出すことはできないというデメリットもあります。ただし、給付を受ける前に加入者が死亡した場合は、遺族が「死亡一時金」として積み立てた資産を受け取れます。

メリットとデメリットをしっかり理解した上で、自分に合った年金の運用方法を選択することが大事なポイントです。

企業型DCとiDeCoは併用できる?

企業型DCとiDeCoは、以下の要件を満たした場合に併用可能です。

    企業型DCの事業主掛金・iDeCoの掛金がともに毎月拠出であること(複数月まとめての拠出は不可)

    企業型DCのマッチング拠出(加入者掛金拠出)を利用していないこと

ただし、併用する場合、iDeCoの掛金拠出額には、上限があります。2024年12月1日からは、以下のように拠出額が見直されることが決まっているため、複数の年金制度に加入している場合は、とくに注意しましょう。

加入する年金制度

iDeCoの掛金上限額(2022年10月1日〜)

iDeCoの掛金上限額(2024年12月1日〜)

iDeCo+企業型DC

5.5万円-各月の企業型DCの事業主掛金額

上限2円

5.5万円-(各月の企業型DCの事業主掛金額+他制度掛金相当額)

上限2万円

iDeCo+企業型DC+DB(確定給付年金)等の他制度

2.75万円-各月の企業型DCの事業主掛金額

上限1.2万円

【出典】
厚生労働省「iDeCoに加入できる年齢の要件などが拡大されます」
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000884281.pdf

企業型DCとiDeCoのどちらが得になるかは運用経験や運用方針によっても異なる

企業型DCとiDeCoはどちらも税制優遇を受けられる点や、運用成果に応じて将来受給できる年金額が変動する点などが共通しています。しかし、掛金や手数料の負担者や拠出上限額などには大きな違いがあります。投資経験の有無や、何歳まで運用を続けるのかなどによっても、どちらを選ぶべきかは変わります。

また、手元の資金や拠出限度額に余裕がある場合は、両方の制度を併用するのも一つの方法です。DB(確定給付年金)等の加入状況を確認し、いくらまで拠出できるか確認しておきましょう。

企業型DCとiDeCoの仕組みがよく理解できない場合や、併用方法に迷った時は、お金のプロであるソナミラのコンシェルジュに相談してみてはいかがでしょうか。

ソナミラでは、店舗やオンラインで老後の資産形成や保険など、お金に関するさまざまな悩みを無料で相談できます。土日祝日を含めて10:00〜20:00まで都合のよい時間に相談できますので、まずは気軽に相談予約をしてみましょう。

ソナミラについて | 保険・NISAの相談はソナミラへ

  • 著者
    荒木 和音さん

    保険代理店にて、個人を対象とした家計相談やライフプランニング、企業向けのリスクコンサルティングを経験。現在は金融分野専門ライターとして活動中。大手金融機関や大手金融メディアでの豊富な執筆実績をもつ。

  • ソナミラ編集部さん

    「健康で豊かなミライにソナえる」をコンセプトに、マネー・ライフデザインをテーマとしたコンテンツを発信しています。 あなたの可能性を広げるため、読んでためになったと思える記事の制作を心掛けています。

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