老後の資産形成方法は新NISAやiDeCo、個人年金保険!おすすめは何?
老後に向けた資産形成を行うことは、退職後も安定した生活を送るうえで重要です。しかし、安心できる老後生活を送る十分な蓄えがある方は、そう多くはないはずです。
実際、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査2023年(二人以上世帯調査)」によると、老後生活へ経済的な心配があると回答した人は78.5%という結果になっています。
日本には、資産形成を支援する制度として、新NISA(少額投資非課税制度)、iDeCo(個人型確定拠出年金)があり、個人年金保険も人気があります。
それぞれ違いがあるため、自分にはどの制度が向いているのか判断しかねている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、それぞれのメリットとデメリットを整理し、どんな人にどの方法が合っているのかをご紹介します。
老後生活に経済的な不安を感じている方、具体的な対策を検討している方に役立つ内容となっています。ぜひ参考にしてみてください。
それぞれの制度の概要と特徴
まず、老後の資金準備に活用できる代表的な制度(新NISA・iDeCo)と保険商品(個人年金保険)の概要を解説します。
基本的な仕組みを理解したうえで、自分のライフスタイルや目的に合っている制度を活用しましょう。
老後資金準備をする上での新NISAの特徴
新NISAとは、安定的な資産形成を推し進めることを目的とした少額投資非課税制度です。年間投資枠360万円まで、非課税保有限度額(総枠)で1,800万円までの投資元本に対して、運用で得られた利益が非課税となる税制面でお得な制度です。
通常、投資の運用益・配当金・分配金に対しては20.315%の税金がかかります。例えば、100万円運用して10万円の利益が出たとしても、手元には20.315%の税金を引いた約8万円しか入ってきません。
しかし、新NISAを利用すれば10万円の運用益を全て受け取ることができます。この様に、運用益が非課税となれば、効率よく資産形成を行えるでしょう。
なお、新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。つみたて投資枠で購入できるのは、金融庁が「長期の積立・分散投資に適している」と認めた一定の投資信託・ETFに限られます。
成長投資枠では、つみたて投資枠の対象商品に加えて、上場株式(個別株式)や投資信託・ETF、不動産投資信託(REIT)などにも投資できます。
つみたて投資枠の年間投資枠は120万円まで、成長投資枠は240万円までです。非課税保有限度額(総枠)は1,800万円、そのうち成長投資枠は1,200万円となっている点は、注意が必要です。
投資額が非課税保有限度額(総枠)の1,800万円に達した場合でも、NISA口座内で金融商品を売却すれば買付額分の枠が翌年に復活します。
このように新NISAでは、相場や自身のライフイベントなどの都合に合わせて、機動的な売買が可能です。もちろん、老後資金作りのために長期で積み立てることもできます。
老後資金準備をする上でのiDeCoの特徴
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、税制の優遇を受けながら将来のために資産形成ができる私的年金の制度です。正式名称に「年金」という言葉が入っているとおり、老後の年金づくりに特化している点が特徴です。
現役の頃に毎月(毎年)掛金を拠出し、60歳以降に年金または一時金(併用も可能)で受け取ります。掛金は65歳まで拠出でき、全額所得控除の対象となります。
つまり、税制の優遇を受けながら将来に向けて、自分専用の年金を作れる点がiDeCoの特徴です。拠出額と投資先の金融商品は自分で決めるため、将来の受取額は加入者ごとに異なります。
なお、拠出できる掛金の上限額は、加入している公的年金の被保険者種別や勤務先によって異なり、月額1.2万円〜6.8万円です。
iDeCoも新NISAと同様に運用益が非課税になるため、効率よく資産をふやせるでしょう。
老後資金準備をする上での個人年金保険の特徴
新NISAとiDeCo以外では、個人年金保険が老後に向けての資産形成を行う上で、一つの選択肢となります。
個人年金保険は民間の保険会社が取り扱っている保険商品で、毎月の保険料や年金額、年金の受取方法を自分で決められる点が特徴です。
年金の受取方法は主に「確定年金」「有期年金」「終身年金」があり、保険会社によって選択肢が異なります。
個人年金保険には、新NISAやiDeCoのような運用益に対する税制優遇はありません。しかし、一定の条件を満たせば、支払う保険料に対して、契約した年から個人年金保険料控除(年間最大4万円)を適用できます。
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各制度のメリットやデメリットは?
新NISA・iDeCo・個人年金保険のメリットとデメリットを表でまとめました。
「令和6年7月作成時点」
いずれも老後の生活に備える上で有効な対策ですが、それぞれメリットやデメリットがあります。
60歳まで資金が引き出せなくても問題ないお金に関してはiDeCoで、毎月コツコツと積立てながらも必要な時に使いたいお金は新NISAを活用すると良いでしょう。
税制に関しては、新NISAは運用益に対してのみ優遇されていますが、iDeCoは掛金に対しても優遇が受けられます。個人年金保険は保険料に対しての優遇があります。
どれか1つに絞るのではなく、この3つを組み合わせて行うことで、老後に向けて効果的な資産形成が出来るのではないでしょうか。
自分に合った積立方法を調べましょう!
上述した通り、新NISA・iDeCo・個人年金保険には、それぞれメリットとデメリットがあります。どの方法が適しているかは、個人の年齢や積立に対する考え方によって異なります。
例えば、iDeCoは老後資金を準備するために適していますが、原則として60歳までは引き出しができません。20代や30代で、今後さまざまなライフイベントが起こると見込まれる人にとっては、長期間にわたって資金が拘束されてしまう点は一つのデメリットとなります。
資金が拘束されてしまう点をネックに感じる場合は、新NISAの活用を検討すると良いでしょう。
一方で、公的年金の上乗せとなる私的年金を手厚く用意したいと考えている人は、iDeCoと個人年金保険が向いています。まずはiDeCoを優先的に活用し、掛金に対する税制優遇メリットと、運用益が非課税になるメリットを享受するとよいでしょう。
「iDeCoは満額まで拠出しており、追加で私的年金を用意したい」と考えている方は、個人年金保険を活用すると良いでしょう。
老後資産形成で必ず味方につけたいこと
老後に向けて資産形成を行う上で、味方につけたいものは「利回り」「複利」「メンタルアカウンティング」です。
以下で、それぞれどのような意味があるのか、なぜ味方につけた方が良いのかを解説します。
利回り
利回りが高いほうが、より効率よく資産を増やせます。
例えば、100万円を1%の利回りで運用すると1年後に101万円となりますが、5%で運用できれば105万円となります。
そのため、新NISAやiDeCoで金融商品を選択する際には、期待できる利回りに意識を向けると良いでしょう。
しかし、期待できる利回りが高いほど一般的にリスクも大きくなります。リスクが大きいということは運用成績の振れ幅が大きいことを意味しており、元本割れが発生するリスクも伴います。
複利
資産形成を行う際には、複利を意識しましょう。複利とは、元本に付いた利息が再投資され、資産が効率よくふえることを意味します。
運用期間が長くなればなるほど、得られる複利効果も大きくなります。つまり、複利効果の大きさにフォーカスすると、運用期間を長く確保しやすい若年層のほうが有利と言えるでしょう。
できるだけ長い運用期間を確保するためにも、一日でも早く資産運用を行うのが合理的です。漠然と「老後生活が不安」という想いを持っている人は、すぐにでも行動を開始しましょう。
メンタルアカウンティング
メンタルアカウンティングとは、行動経済学の用語の一つで、「心の会計」を意味します。
行動経済学とは、経済学と心理学を組み合わせ、人間の経済行動をより現実に即して分析や誘導をしようという学問です。行動経済学では「人間は必ずしも合理的には動かない」という考えがベースにあります。
「心の会計」の一つとして、「人間は無意識のうちにお金に色を付けてしまっている」ということがあります。
例えば、自分が稼いだ20万円とギャンブルで勝った20万円を比較したときに、あなたなら、どちらを先に使いますか?多くの方が、ギャンブルで勝った20万円を使うと答えるのではないでしょうか。
考えてみれば、20万円は「収入」という括りで見ると同じ20万円です。稼いだ手段が違うだけで使うときの優先順位に差をつけてしまう人間心理が、メンタルアカウンティングです。
これは、ボーナスや副業などの臨時的・副次的な収入にも当てはまります。普段の収入とは違う収入があると、気分が高揚して浪費してしまいがちです。
しかし、お金に色を付けずに「余剰資金は投資に回す」ことを徹底すれば、資産運用の効率が高まります。メンタルアカウンティングに左右されず、機械的に淡々と投資を行うことも、老後資産を用意するうえで重要な要素といえるでしょう。
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まずはお金のプロに相談しよう
老後資金の不安や悩みを軽減するうえで効果的な手段となりうるのは、新NISA・iDeCo・個人年金保険です。
今回紹介した3つの方法には、それぞれメリットとデメリットがあり、ベストな選択肢は個々人によって異なります。
しかし、それぞれの仕組みや特徴を理解し、自分に合っている方法を実践することで着実に資産形成を行えるでしょう。
近年はインフレや公的年金支給額の先細り懸念など、家計にとってマイナスとなる暗いニュースが目立つため、将来への不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
「自分にとって最適な方法がわからない」という方は、ソナミラのコンシェルジュに相談してみてください。資産状況や将来のライフプランをヒアリングしたうえで、最適と思われる方法をご提案します。オンラインでも対面でも、相談は何度でも無料です。
▼参考
老後生活への経済的な不安
出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査2023年(二人以上世帯調査)」
ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号