個人年金保険は一括払いがお得?一括払いのメリットとデメリット
個人年金保険は老後資金を計画的に準備するのに役立つ保険です。保険商品といえば「毎月コツコツ積み立てる」というイメージがある人もいるかもしれませんが、実は加入時に保険料を一括払いできることをご存じでしょうか。
個人年金保険を一括払いすると、将来必要になる老後資金を早期に確保できるだけでなく、支払総額を抑えられる、毎月の支払いの煩わしさから解放されるといったようなメリットがあります。
しかし、一括払いをするためにはまとまった資金が必要です。そのため、メリットやデメリットを理解したうえで、慎重に検討することが大事です。
この記事では、個人年金保険を一括払いするメリットやデメリットをわかりやすく解説します。
個人年金保険は一括払いできる?
個人年金保険は、契約時に決めた年齢から、一定期間または一生涯にわたって一定額の年金を受け取ることができる保険です。個人年金保険の保険料を支払う方法は複数あり、契約時にまとめて保険料を払い込む「一括払い」をすることもできます。
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個人年金の保険料の支払い方法
保険会社によっても異なりますが、個人年金保険の保険料の支払い方は以下の4種類に分けられることが一般的です。
保険料の支払い方法 | 保険料 | 割引率 |
---|---|---|
月払い | 毎月支払う | なし |
半年払い | 半年分ずつまとめて支払う | 月払いより高い |
年払い | 1年分まとめて支払う | 半年払いより高い |
一括払い | 保険期間中の保険料を一度にまとめて支払う | 年払いより高い |
個人年金保険の保険料は、月払いよりも年払い、年払いよりも一括払いといったようにまとめて保険料を支払うほど、高い割引率が適用され、保険料の総額が割安になる傾向があります。
保険料の一括払い「全期前納払い」と「一時払い」の違いは?
保険料の一括払いには「全期前納払い」と「一時払い」の2通りの方法があり、それぞれ特徴が異なります。
全期前納払いとは
全期前納払いとは、保険期間中に保険料の総額を、保険会社に一度に預ける支払い方法です。保険会社は契約者から預かった保険料を、支払い期日がくるたびに年払い、半年払い、月払いとして充当します。
たとえば、全期前納払いで100万円を払い込んだ場合、1年目に10万円、2年目に10万円といったように、預かったお金を定期的に保険料に充当する仕組みをとります。
全期前納払いでは、保険会社が保険料を預かる形になっているので、被保険者の死亡時や解約時に支払い期日が到来しておらず、保険料に充当していないお金が残っていれば、死亡保険金や解約返戻金と合わせて返金を受けることが可能です。
また、保険料の払込期間中は毎年、生命保険料控除を受けられます。生命保険料控除とは1年間に支払った生命保険料に応じて、所得から控除を受けられる制度です。
生命保険料控除には以下3つの控除区分があり、それぞれ最大で所得税4万円、住民税2.8万円の控除を受けることが可能です。(※2012(平成24)年1月1日以後に締結した保険契約の場合)
● 一般生命保険料控除
● 介護医療保険料控除
● 個人年金保険料控除
個人年金保険は、基本的に一般生命保険料控除または個人年金保険料控除の対象ですが、全期前納払いをした場合、月払いや年払いをした場合と同じように、保険料の払込期間中は毎年、生命保険料控除を受けられます。
たとえば、100万円を全期前納払いして、毎年10万円ずつ保険料に充当される個人年金保険に加入したとしましょう。
このケースでは、保険料を支払っている10年間、毎年保険料控除を受けられます。年間払込保険料が8万円超の場合、控除額は一律4万円なので、10年間合計で40万円の控除を受けることが可能です。
【出典】
国税庁「No.1140 生命保険料控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
一時払いとは
一時払いは、保険期間中の保険料総額を、保険会社に一度に支払う方法です。全期前納払いと異なり、契約時に支払ったお金が全額保険料に充当されているため、支払い終えた保険料が返金されることはありません。
また、生命保険料控除の対象になるのは支払いを行った年の1回のみです。
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個人年金保険を一括払いするメリット
以下では、個人年金保険を一括払いするメリットを詳しく見ていきましょう。
分割払いに比べて支払総額が減る
一般的に、一括払いは年払い、月払いなど、保険期間中の保険料を分割で支払う方法よりも、保険料の総支払額が安くなります。
これは、保険料の支払いにかかる事務コストを削減できることや、運用益を増やせることなど、一括払いが保険会社にとってもメリットが大きいためです。
また、同じ一括払いでも、一時払いのほうが全期前納払いより支払う総額を安く抑えられる傾向にあります。
返戻率が高い
個人年金保険は、支払い方法によって返戻率が異なります。返戻率とは、払い込んだ保険料に対して受け取る年金の割合のことです。保険会社や商品によっても異なりますが、保険料の支払い頻度が少ないほど返戻率は高くなる傾向にあります。
老後資金を計画的に確保できる
個人年金保険を一括払いすると、一度支払った保険料は預貯金のように自由に引き出すことができません。一方で一括払いすると、普段使うお金と老後資金を分けておけるので、急な出費が生じてお金が必要になったときに使ってしまったり、無駄遣いしてしまったりする不安はなくなります。
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相続税の非課税枠を利用できる
個人年金保険を一括払いし、年金の受取開始前に被保険者が死亡した場合は、払込保険料相当額の死亡保険金が支払われるケースが一般的です。生命保険の死亡保険金を相続人が受け取る場合、「法定相続人の数×500万円」までが非課税になります。
たとえば、法定相続人が2人いる場合、2人×500万円で1,000万円までが非課税となります。一方で、同じ1,000万円を預貯金で残した場合、相続税の基礎控除額を超えた部分については相続人に相続税の負担が発生します。
このように、預貯金として財産を残すよりも、生命保険に加入して死亡保険金が支払われるようにしておくほうが、税制上のメリットがある可能性があります。
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保険料の支払い忘れを防げる
個人年金保険を一括払いすると、口座の残高不足による支払い漏れを防げるというメリットがあります。
生命保険では保険料の払い込みが滞ると、一定の払込猶予期間を経たのち、契約が失効もしくは契約解除となるケースが一般的です。年金が受け取れなくなるだけではなく、不本意なタイミングで解約をすることになり、大きく元本割れしてしまう可能性も考えられますが、一括払いをしておけばこのような心配をする必要はありません。
個人年金保険を一括払いするデメリット
個人年金保険の一括払いにはメリットだけではなく、デメリットもあります。自分に合わないと感じた場合は、一括払い以外で、無理なく保険料を支払える方法を選びましょう。
まとまった資金が必要になる
個人年金保険を一括払いする場合、保険期間中の保険料全額を支払うことになるため、ある程度まとまった資金が必要になります。貯蓄にゆとりがない状況で個人年金保険に一括払いで加入し、その後急な出費が発生すると、手元の資金だけでは生活費を賄えず保険を解約することにもなりかねないのが注意点といえます。
一時払いだと生命保険料控除が一度しか受けられない
個人年金保険を一時払いした場合、生命保険料控除が受けられるのは、支払いをした年だけになる点に注意が必要です。どんなに多くの保険料を支払ったとしても、次年度以降については税制上の優遇を受けられません。所得税や住民税が高い場合など、生命保険料控除のメリットを最大限に生かしたいのであれば、全期前納や年払いなど、他の支払い方法も検討してみたほうがよいでしょう。
途中解約時のリスクがある
一括払いに限った話ではありませんが、契約してから短期間で解約すると、元本割れする可能性があります。また、解約返戻金が払い込んだ保険料を上回っている場合は、所得税の課税対象になります。課税額が大きくなる可能性もあるため、注意しましょう。
資金に余裕がある人は個人年金保険の一括払いも検討してみよう
個人年金保険の保険料は一括払いをすることが可能です。一括払いには保険会社に保険料を預けて後から充当する「全期前納払い」と、契約時に一括で保険料を支払う「一時払い」の2種類があることを覚えておきましょう。
一括払いをすると、月払いや年払いよりも保険料が割安になるだけではなく、返戻率が高くなることや老後資金を確保できること、年金受給開始前に受け取った死亡保険金については相続税の非課税枠を利用できることなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、途中解約すると元本割れする可能性もあるので、一括払いは手元の資金に余裕がある場合におすすめです。
個人年金保険以外で老後資金を準備する方法について知りたい方は、保険やお金のプロであるソナミラのコンシェルジュに相談してみましょう。
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