個人年金保険の種類とは?加入するメリットとデメリット
個人年金保険は、ゆとりある老後を過ごすために、国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せして準備する私的年金です。一定期間保険料を払い込み、契約時に定めた年齢・年数に達すると年金を受け取れる仕組みになっています。
個人年金保険は、種類によって年金の受け取り方や運用方法が異なるため、どれが自分に合っているのか選ぶのが難しいと感じている人もいるでしょう。そこで今回は、個人年金保険の各種類の特徴と、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすくまとめました。加入を検討している人はぜひ参考にしてください。
個人年金保険の主な種類
個人年金保険は商品によって種類や受け取り方が異なります。
運用方法による個人年金保険の分類
運用方法によって個人年金保険は主に3種類に分けられます。
定額年金 (定額個人年金保険) | 変額年金 (変額個人年金保険) | 指数連動型年金 | |
---|---|---|---|
年金額 | 基本的に契約時に確定する | 変動する | 変動する(払込保険料相当額が最低保証される商品もある) |
死亡給付金 | 基本的に契約時に確定する | 変動する | 変動する(払込保険料相当額が最低保証される商品もある) |
解約返戻金 | 基本的に契約時に確定する | 変動する | 変動する(払込保険料相当額が最低保証される商品もある) |
定額年金は、契約時に決めた予定利率で運用される商品で、年金額が契約時に確定します。途中解約したり、保険会社が破綻したりしない限りは元本割れしにくいのが特徴です。
変額年金は、株式や債券などを投資対象とする「特別勘定」で運用を行い、その運用実績に応じて年金や死亡保険金の額が決まります。最低保証はないため、運用次第で年金額が払込保険料を上回る場合もあれば、下回る(元本割れする)場合もあります。
指数連動型年金は、保険会社所定の参照指数(株式や債券などさまざまな金融商品に分散投資をした運用成果を反映して算出する指数)やS&P500などの株価指数に連動して年金や死亡保険金などが変動する商品です。払い込んだ保険料の累計額に関しては、最低保証されている(契約日から一定期間経過した場合)一方で、参照指数が上昇した場合には受け取れる年金や保険金がふえる可能性があります。
契約時に確定する部分と、運用実績によって変動する部分があるという意味では、定額年金と変額保険の中間に位置するような保険と言えるでしょう。
個人年金保険の受取方法
個人年金保険における年金の受取方法は、主に以下の3種類に分けられます。
確定年金 | 有期年金 | 終身年金 | |
---|---|---|---|
年金受取期間 | 契約時に定めた一定期間(5年や10年など固定) | 契約時に定めた一定期間(5年や10年など固定) | 契約時に定めた年齢から被保険者が死亡するまで |
被保険者が死亡した場合 | 遺族が受け取れる | 遺族は受け取れない | 遺族は受け取れない |
確定年金は被保険者の生死に関わらず、契約時に定めた一定期間、年金を受け取る方法です。年金受取期間中に被保険者が死亡した場合、残りの年金については遺族が受け取れます(一時金での受け取りも可能)。
有期年金は、被保険者が生存している場合に限り、契約時に定めた一定期間、年金を受け取る方法です。基本的に、被保険者が死亡した時点で年金の支払いは終了しますが、被保険者の生死に関わらず年金を受け取れる「保証期間」がついている商品もあります。保証期間がついている商品であれば、遺族が年金の残額を受け取ることも可能です。
終身年金は、被保険者が生存している限り、一生涯にわたって年金を受け取れる方法です。基本的に、被保険者が死亡した時点で年金の支払いは終了しますが、有期年金と同様に「保証期間」がついている商品もあります。保証期間中に被保険者が死亡した場合は、遺族が残りの年金を受け取ることも可能です。
なお、商品によっては複数の受取方法が用意されており、契約者の希望に合わせて受取方法を選べる場合もあります。
個人年金保険のメリット
ここでは、個人年金保険の主なメリットを紹介します。
老後のための資金を準備できる
個人年金保険のメリットは、将来必要になる老後資金を計画的に準備できる点にあります。
毎月一定額を老後のための貯蓄に回そうと思っていても、貯蓄額をつい減らしてしまったり、急な出費が生じた時にせっかく貯めた資金を取り崩してしまったりするケースは少なくありません。
個人年金保険は、基本的に毎月保険料が自動的に口座から引き落とされるので、半ば強制的に老後資金に向けた貯蓄ができます。
また、一度支払った保険料は中途解約しない限り、年金を受け取る前に戻ってくることはありません。解約手続きに手間がかかったり、元本割れのリスクがあったりするため、預金のように気軽に引き出せないので、着実に老後資金を積み立てることができるでしょう。
個人年金保険なら貯金が苦手な人でも老後の資金計画を立てられます。
税法上の優遇を受けられる可能性がある
支払った保険料が「生命保険料控除」の対象になる点も、個人年金保険に加入するメリットの一つです。生命保険料控除とは、1年間に払い込んだ保険料に応じて、所得控除を受けられる制度です。所得を目減りさせることで、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があります。
生命保険料控除は、2012(平成24)年1月1日以後に結んだ契約を対象とする「新制度」と2011(平成23)年12月31日以前に結んだ契約を対象とする「旧制度」があります。たとえば新制度の場合「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つの控除区分があり、それぞれ所得税については最大4万円、住民税については最大2.8万円の控除を受けることが可能です。
「個人年金保険料税制適格特約」が付加された契約は、個人年金保険料控除の対象になります。個人年金保険料税制適格特約が付加されるためには、以下の要件を全て満たさなければなりません。
- 年金受取人が被保険者と同一
- 年金受取人が契約者または配偶者
- 保険料払込期間が10年以上
- 確定年金や有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降かつ年金受取期間が10年以上
個人年金保険料税制適格特約が付加されていない個人年金保険や、変額個人年金保険は一般生命保険料控除の対象となります。
【出典】
公益財団法人生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」」https://www.jili.or.jp/knows_learns/basic/tax/22.html
健康状態に不安があっても加入しやすい
生命保険に加入する際は、基本的に過去の傷病歴や現在の健康状態を保険会社に「告知」しなければいけません。告知内容を基に保険会社は加入の可否を判断しますが、健康状態に不安がある場合は審査を通過できないケースもあります。
個人年金保険は、健康状態の告知が必要なく、職業のみの告知で加入できる商品が少なくありません。一般的な生命保険とは異なり、払い込んだ保険料の総額を上回る死亡保険金を受け取れない場合も多いため、健康状態に不安がある人でも加入しやすくなっています。
個人年金保険のデメリット
個人年金保険は、どの種類の商品を選んだとしても、途中解約すると元本割れする可能性があります。また、定額個人年金の場合は、インフレによって年金の価値が目減りするリスクがある点には注意が必要です。
途中で解約すると元本割れする可能性がある
個人年金保険を保険期間中に解約すると、解約返戻金が払込保険料の総額よりも少なくなる「元本割れ」の状態に陥る可能性があります。一般的に、契約後の経過年数に応じて解約返戻金が決まるため、加入してから数年で解約すると大きく元本割れする場合も少なくありません。
また、変額個人年金保険などでは、契約してから約10年以内に解約すると「解約控除」と呼ばれる費用が差し引かれることもあります。できるだけ途中で解約しなくて済むように、家計の状況やライフプランなどを考慮したうえで、計画的に加入しましょう。
インフレによって価値が下がるおそれがある
インフレとは、物価が継続的に上昇することです。定額個人年金の場合、契約時に将来受け取れる年金額が確定するので、物価が上がっても受け取れる金額は変わりません。つまり、インフレが進むと実質的な年金の価値は下がってしまうのです。
ただし、近年ではインフレリスクに対応できる変額個人年金や指数連動型個人年金などを取り扱う保険会社も増えています。これらの保険は年金額が変動するリスクはあるものの、運用実績によってはインフレによる資産の目減りを防げる可能性があります。
個人年金保険の種類を理解して自分に合った商品を見つけよう
個人年金保険は運用方法によって定額年金、変額年金、指数連動型年金の3種類に分けられます。また、年金の受け取り方法も確定年金、有期年金、終身年金の3種類があります。最終的に受け取れる年金額が大きく変わる可能性があるので、具体的に「老後生活にはどの程度の資金が必要なのか」を考えたうえで、自分に合ったタイプの商品を選びましょう。
「どの個人年金保険に入れば良いのかわからない」「個人年金保険以外で老後資金を準備する方法を知りたい」という人は、ソナミラのコンシェルジュに相談してみましょう。ソナミラでは個人年金保険をはじめとして、さまざまな資産形成の方法についてアドバイスを受けられます。
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ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号