投資信託は貯金代わりになる?メリット、デメリットと賢い運用方法
投資信託は、投資家から集めた資金を、運用のプロが株式や債券などに投資、運用する商品です。運用を専門家に任せるため、投資初心者でも始めやすい金融商品と言えます。
低金利が続く現代において、預貯金だけでお金をふやすことは難しく、資産形成の手段として投資信託を検討される方も少なくありません。
ただし投資信託は、同じ金融商品といっても投資商品である点が預貯金とは異なります。この記事では、投資信託が預貯金の代わりになるのかを、投資信託のメリット・デメリットを踏まえ解説します。
投資信託は貯金代わりになる?
投資信託は、活用の仕方によっては貯金に似たものと考えられるケースもあります。ここでは、基本的に投資信託が貯金代わりにならない理由とどのような場合に貯金代わりとして考えられるかについて解説します。
投資信託が貯金代わりにならない理由
投資信託が貯金代わりにならない一番の理由は、元本保証がないことです。
投資信託(ファンド)は、国内外の株式や債券などに投資しますが、商品によって投資対象は大きく異なります。投資信託の価格のことを「基準価額」といいますが、投資対象の価格変動によって、基準価額は毎日変わります。
そのため、投資信託は、運用結果次第で損失が発生し元本割れする可能性があります。
一方で、貯金とは、タンス預金や銀行の預貯金など、幅広くお金を貯めることを意味し、基本的に元本割れのリスクはありません。
安全性という意味で考えると投資信託は元本が保証されないことから、貯金の代わりにならないと言えます。
投資信託を貯金代わりにしても良いケース
元本割れのリスクがある投資信託ですが、貯金代わりになると考えられる場合もあります。それは、生活防衛資金以外の余剰資金で、長期的に将来必要となる資金を投資信託に振り向けるケースです。
まず、投資信託を預貯金に代わるものとして活用するうえで、病気やケガ、失業など万が一のときに備えておく生活防衛資金を維持していることは前提として大事です。
そのうえで、近い将来必要となる資金を確保して余剰資金を十数年先の教育資金や老後資金の準備のために運用するのであれば、貯金に近しいものとして考えやすいでしょう。
投資信託の特徴は、少額から始められること、また、株式や債券などさまざまな投資対象に分散投資できることがあります。
その特性上、短い期間の運用で得られる利益は大きくならないのが一般的ですが、長期間保有するとリターンが安定しやすい投資商品と言えます。長い間、毎月一定額を積立投資することで、投資リスクを減らす時間分散の効果を得ることも可能です。
貯金と比較した投資信託のメリットとデメリット
投資信託を貯金のように運用するとして、その特徴を知っておくことは大切です。ここでは貯金と比べた投資信託のメリット・デメリットについて解説します。
投資信託のメリット
投資信託のメリットから紹介します。
貯金より高いリターンが望める
投資信託のメリットは、貯金より高いリターンが望める点です。投資信託は、とくに長期的に運用することで安定したリターンを期待しやすい投資商品と言えます。
また、なかには分配金を受け取れるものもあります。分配金とは、決算時点に運用で得られた利益を、投資の口数に応じて投資家に分配されるお金です。分配金を支払わずに再投資する分配金なしのタイプもあります。
下図は1989年以降、毎月同じ金額を国内外の株式と債券に積立投資したと仮定したときの運用成果を表した金融庁の資料です。
保有期間5年で見た場合、高いリターンを得られるケースもありますが、収益率がマイナスとなり元本割れするケースも見られます。
一方で、保有期間20年で見た場合、年間収益率は2~8%に分布しています。保有期間が長ければ安定した収益を確保できていることがわかります。少なくとも、このシミュレーションによれば1989年から運用していたとして、元本割れしたケースはありませんでした。
一方で大手の金融機関の場合、定期預金の金利水準は預入金額と期間によって異なりますが、年0.025%~0.300%程度の水準です(2024年7月24日時点)。
長期的に運用することで、運用資金が同じでも高いリターンが期待できる点は投資信託のメリットと言えます。
【出典】
三菱UFJ銀行「円預金金利」
https://www.bk.mufg.jp/ippan/kinri/yen_yokin.html
運用益が非課税となる
投資信託の場合、NISA制度を活用することで運用益が非課税になります。NISAは少額投資非課税制度の通称で、銀行や証券会社で開設したNISA口座を通じて株式や投資信託などに投資した場合、売却益や配当金に対してかかる税金が非課税となる制度です。
運用益に対してかかる税金(原則20.315%の税率)が非課税となるため、手元に残るお金がふやせます。一方で、預貯金の場合、財形住宅貯蓄など一部を除き、預金利息に対して20.315%(所得税ならびに復興特別所得税15.315%、地方税5%)が課税されます。
投資信託のデメリット
一方で投資信託にはデメリットもあります。
現金化までに数日かかる
金融商品によってどれくらいの期間で現金に換えられるかは異なります。これを金融商品の「流動性」といいますが、投資信託の場合、流動性が低い点がデメリットです。
投資信託は、原則としていつでも換金の申し込みは可能ですが、実際に口座にお金が振り込まれるのは、申し込みしてから4営業日以降になります。
急に現金が必要となった場合でも、預貯金のようにいつでも引き出せるわけではない点に注意が必要です。
【出典】
一般社団法人 投資信託協会「換金の種類と手続き」
https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/process/sell/index.html
元本保証がない
投資信託のデメリットは元本保証がなく、運用成果によっては損失が出る可能性があることです。とくに、運用期間が短いほど、元本割れのリスクが高くなりがちです。一方、預貯金の場合は元本が保証されます。
投資信託と貯金はどちらが良い?
では、将来お金を準備する手段として、投資信託と貯金のどちらが良いのでしょうか。
結論としては、投資信託と預貯金を、ライフプランを考えながら使い分けることが大切だと言えます。
まず、不測の事態に備える生活防衛資金や、近い将来に必要な資金はしっかり貯蓄しておきましょう。たとえば、家電や車の買い替え費用、結婚・出産費用、子どもの進学資金などです。
そのうえで、日々の生活費以外の余剰資金で投資信託を運用すると良いでしょう。一言で投資信託といっても数多くの商品があり、投資リスクの大きさは異なります。投資する際には、運用目的とリスク許容度を踏まえて、投資金額や投資対象を決めることが大切です。
投資におけるリスク許容度とは、簡単に言うと、投資する商品の価格変動や損失をどこまで受け入れられるかの度合いです。投資を始める年齢や貯蓄額、夫婦共働きか否か、マイホームを持っているかなど、その人によってリスク許容度は異なります。
たとえば、老後資金を貯めることを目的とする場合、投資期間と老後資金に使う目標金額を設定し、想定利回りから毎月の投資金額をいくらにするべきか考えます。
家計の状況から投資リスクを負うのが厳しいと判断したのであれば、個人向け国債や終身保険など元本保証型の低リスクの商品を検討するのも一案です。
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投資信託を貯金代わりにするために自分の家計やリスク許容度を理解しよう
投資信託に元本割れのリスクがあると捉えると、預貯金の代わりにはならないと考えることもできます。
ただし、NISA制度などを活用しながら長期的に分散投資することで、リスクを抑えながら安定したリターンを期待することも可能です。不測の事態に備える生活防衛資金や近い将来必要となる資金を確保したうえで、余剰資金で投資するのであれば、預貯金の代わりとして考えることも可能でしょう。
投資信託を預貯金代わりに活用する際は、家計の状況やリスク許容度を確認しながら、適切な投資金額や投資する商品を決めることが大切です。
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