資産運用は「やめとけ」と言われる理由は?運用リスクと成功のポイント
効率良くお金をふやしたいと考え、資産運用に興味を持ち始めた人は多いでしょう。一方で「資産運用は失敗するからやめとけ」という意見もありますが、本当なのでしょうか?
確かに資産運用には一定のリスクが伴いますが、必要以上におそれる必要はありません。適切な知識を身に付け、理解を深めることにより、リスクをある程度コントロールし、リスクをある程度コントロールした資産運用を行うことができます。
今回は「資産運用はやめとけ」と言われる理由や、向いている人・向いていない人の特徴などを解説します。初心者の方はこの記事を通して、運用を始める前に知っておくべきリスクや、それに対処するための知識を学んでおきましょう。
資産運用は「やめとけ」と言われる理由は?
資産運用は一見魅力的に見えますが、期待した利益を得られない場合、損失が出る場合があることから「やめとけ」と言われることがあります。
知識がないと失敗しやすい
知識がないまま資産運用を始めると失敗しやすいため「やめとけ」と言われることがあります。
知識がなければ、自分に合った商品運用や投資手法を見つけられず、思うように利益を出せないまま効率の悪い運用を続けてしまいがちです。また、リスクや手数料などさまざまな要素を理解していないと、損失を被ることもあるでしょう。
とはいえ、知識を身に付けるためにはある程度の時間がかかります。時間をかけたからといって必ずしも利益を得られるとは限らない点も、資産運用をやめるように言われる理由の一つになっていると考えられます。
短期的に利益が出るとは限らない
資産運用に対して「すぐにもうかる」といったイメージをもっている人は多いかもしれません。しかし実際は、投資する商品や投資方法によって、得られるリターンとリスクは大きく異なります。
とくに短期間で大きな利益を期待する運用方法はリスクも高く、逆に短期間で大きな損失を出すこともあります。一方、リスクを抑えるために長期的に運用をしようとしたものの、思ったような利益を得られず「資産運用はやめとけ」という意見を持つ人もいます。
元本割れするおそれがある
元本割れするリスクがあることから「資産運用はやめとけ」と言われることも少なくありません。
普通預金や個人向け国債などの金融商品は元本保証があり、運用した結果資産が減ることは基本的にありません。しかし、一般的に投資に用いられる株式や投資信託などの金融商品は元本保証がなく、運用の仕方次第では資産が減る可能性があります。
詐欺に遭う危険性がある
初心者の場合、お金をだまし取る目的で資産運用の話を持ち掛けられ、結果的に騙されてしまう可能性があります。
たとえば「必ず儲かる」「元本保証」とうたい、未公開株や新規公開株などの購入を勧められたり、SNSを通じて加入した先で投資グループからFX取引に誘われたりするケースなどがあるようです。これらの投資に手を出してしまうと、基本的に投資したお金は返ってこず、大きな損失を出してしまいます。
知識がなければ良し悪しを判断できず、詐欺に引っかかってしまうことがあることも、資産運用は良くないと思われる1つの理由です。
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【出典】
金融庁「詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!」
https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/attention.html
独立行政法人国民生活センター「SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル-その仲間、信じて大丈夫?-」
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20240124_1.html
ギャンブルだと認識している人がいる
投資は大きく分けて、FXや暗号資産などの短期的な価格変動を狙う投資と、株式や投資信託などの長期的な資産形成を目指す投資に分類することができます。
前者のFXや暗号資産は、短期間で大きく価格が変動する可能性が高く、投機的な要素が強いため、ギャンブルに近い側面があります。また、価格変動の根拠を適切に把握することが難しく、想定外の損失を被るリスクも少なくありません。
一方、後者の株式や投資信託は、企業の実体や収益性、成長性などの基礎的な価値を反映して価格が決まるため、中長期的には合理的な根拠に基づく価格変動となります。投資先を慎重に選び、分散投資を心がけるなどすれば、リスクを抑えつつ資産形成を図ることが可能です。長期的な視点で運用を行えば、ギャンブルとは異なり「投資」として機能します。
運用には手数料などのコストが伴う
資産運用をする際は、基本的に金融機関を通じて商品を売買することになるため、金融機関に支払う手数料などのコストが発生します。たとえば、株式投資であれば売買手数料、投資信託は販売手数料、信託財産留保額、信託報酬などがかかります。(※)
コストを上回る利益を得られなければ、資産を減らすことになってしまうので、資産運用で安定的にお金をふやすのは難しいと考える人が多いようです。
※すべての金融商品が手数料を伴うわけではありません。たとえば、一部のETF(上場投資信託)や特定のオンライン証券会社では、売買手数料が無料の商品も存在します。
初心者や個人投資家には不利な場合がある
投資家は、個人投資家と機関投資家の2種類に分けられます。機関投資家とはいわゆるプロの投資家で、生命保険会社や銀行、投資顧問会社など、事業の一環として投資を手掛ける法人を指すことが一般的です。
相場は金利や景気、社会情勢などさまざまな要因で変動します。継続的に利益を狙うためには相場分析が重要になりますが、経験や知識の浅い初心者は、機関投資家と比べて情報収集力や分析力の面で劣る場合がほとんどです。
また、初心者や個人投資家の場合は、機関投資家のように常にトレードに集中できるわけではない場合もあります。
このように、機関投資家と比べると個人投資家は不利な場面が多いことから、資産運用はやめておくべきだと言われることがあります。
資産運用で考えられる主なリスク
資産運用にはさまざまなリスクがあり、そのリスクによってリターン(収益)が大きく左右されます。資産運用における主なリスクについて知っておきましょう。
価格変動リスク
金融商品の価格は市場の需給や経済情勢などさまざまな要因によって変動します。価格変動リスクとは、購入した商品の価格が上下することで、利益や損失が発生するリスクのことです。
流動性リスク
流動性とは、換金のしやすさを表すものです。流動性リスクとは、取引量が少なくなることで、売りたいときに売れない、買いたいときに買えない、といった状況になる可能性を指します。流動性リスクが高まると、希望した価格で売買ができず、結果的に損失を出してしまう可能性があります。
信用リスク
信用リスクとは、株式や債券の発行体の経営状態や財務状態の悪化によって、元本や利子が予定通り支払われなくなるリスクのことです。信用リスクが高まると、投資対象の価格は下落する傾向があります。
為替変動リスク
為替変動リスクとは、為替レートの変動によって、外貨建て資産の価値が変動するリスクのことです。投資したときよりも円高が進むと、外貨建て資産を円に換算した価値は下がります。
金利変動リスク
金利変動リスクとは、金利の変動に伴って資産の価値が変動するリスクのことです。とくに債券は金利の影響を強く受けるとされており、市場金利が高くなると、金利の低い債券を売却する人が増えるため、債券価格は下がる傾向にあります。
カントリーリスク
カントリーリスクとは、投資先の国の政治・経済政策や、社会情勢の変化、自然災害などの影響で価格が変動するリスクのことです。カントリーリスクが表面化すると、投資対象の価格は大きく下がる傾向があります。新興国への投資では、カントリーリスクは高くなるケースが一般的です。
資産運用に向いていない人の特徴と向いている人の特徴
個人の経済状況や価値観によっては、資産運用をしないほうが良い場合もあります。資産運用に向いている人、向いていない人の特徴を紹介しますので、自分がどちらに当てはまるのか確認してみましょう。
資産運用に向いていない人の特徴
- 一攫千金を狙いたい
- 楽にお金稼ぎがしたい
- すぐにお金をふやしたい
- 人の意見に流されやすい
- 感情的になりやすい
- すでに生活資金に余裕がない
資産運用は「誰でも楽をしてお金を稼げる」といった魔法のようなものではありません。すぐにお金をふやしたいからと、短期的な視点で取り組むと、リスクの高い投資手法を選択してしまい、かえって大きな損失を被ってしまう可能性が高くなります。
資産運用に取り組む際、人の意見を鵜呑みにするのも危険です。自分に合わない投資手法を選択してしまうリスク、詐欺に遭うリスクがあります。
感情的になりやすい人も、資産運用にはあまり向いていないかもしれません。価格の変動に一喜一憂してしまい、冷静な取引ができなくなる傾向があります。本業の傍らで取り組んでいる場合は、値動きが気になって仕事に集中できないこともあるでしょう。
資産運用は、生活費や非常時に備えるお金以外の「余剰資金」で取り組むことが大切です。生活に余裕がない状態で資産運用を始めると、生活費を運用資金に充てざるを得なくなるでしょう。そうした状態で運用に失敗した場合、生活に悪影響を及ぼす可能性があります。
資産運用に向いている人の特徴
- 節約や家計のやりくりが得意
- 長期的に使用する予定がない余裕資金がある
- 情報収集が苦手ではない
- 資産運用や金融の勉強に興味がある
- ある程度のライフプランが決まっている
- 自分で決断ができる
節約をして余剰資金が増えると、投資に充てられるお金をふやせます。投資資金がふえれば、より多くの種類の資産に分散投資できるなど、失敗するリスクを下げられるようになるでしょう。貯蓄習慣が身に付いている人は、資産運用に向いている可能性が高いといえます。
資産運用においては、完全に損失を防ぐことは難しいでしょう。しかし、幅広く知識を学び情報収集することによって、ある程度リスクをコントロールすることは可能です。「積極的に学ぶ」というのも、資産運用を成功させるために重要な素養の一つといえます。
また、ある程度ライフプランが決まっており、資産運用の目標額や時期が明確になっている人は、長期的な目線で資産運用に取り組めるため、大きな失敗を避けやすいでしょう。
決断力がある人も資産運用に向いています。資産運用においては、一瞬の判断が損益を大きく左右する場面も少なくありません。自分の頭でよく考え、適切なタイミングで戦略を実行することが、資産運用を成功させるための重要なポイントといえます。
資産運用を成功させるためのポイント
資産運用には一定のリスクがあります。しかし、何もせず預貯金だけをしていても、物価が上昇すると実質的な資産は目減りしてしまいます。次に紹介するポイントを押さえながら、資産運用に取り組んでみましょう。
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投資の基礎知識を身に付ける
資産運用を成功させるためには、金融や資産運用に関する基本的な知識を学習しておくことや、市場や経済動向などの最新情報を収集しておくことが大切です。
知識を身に付けておけば、自分のニーズに合った運用方法を選択しやすくなるほか、リスクを抑えながら資産運用をするコツを身に付けられるかもしれません。結果として、効率よく資産をふやせるようになる可能性があります。
これから資産運用を始める人は、まず初心者向けの本を読んでみる、無料の相談会に申し込むなど、できる範囲から勉強を始めてみると良いでしょう。
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少額の投資から始める
資産運用を始める際は、いきなり大金を投じるのではなく、万が一失敗しても、損失を最小限に抑えられるよう、少額の投資から始めてみましょう。少額の投資を通じて売買に慣れてきてから、徐々に投資額をふやしていっても遅くはありません。
たとえば投資信託であれば、最低100円程度から購入できる証券会社も増えてきています。少額であっても自己資金を投じるのが不安な場合は、投資の練習ができる専用のシミュレーションアプリを活用してみましょう。
長期的な視点を持って取り組む
資産運用に取り組む際は、長期的な視点で取り組むことも大切です。価格が上下する金融商品は、基本的に価格が安いタイミングで買い、高くなったタイミングで売ることにより、利益を得られます。しかし、いつどのように価格が変動するかは予測しにくい面もあるため、売買に適切なタイミングを捉えるのは、経験のある投資家でも難しいものです。
一方、長期的な視点で見ると、一時的に価格が下がっても、その後価格が上がることは少なくありません。そのため、細かい値動きを捉えられなくても、長く保有していれば値上がりを待つという選択肢が生まれます。つまり、保有期間が長くなるほど、リスクを軽減する効果があるということです。
リスクを分散させる
資産運用をする際は「分散投資」を実践し、リスクをコントロールすることも意識しましょう。
分散投資とは、投資リスクを低減させるために、複数の異なる資産や金融商品に投資する戦略のことです。分散投資は「すべての卵を一つのかごに入れない」という考え方に基づいています。つまり、一つの投資が悪い結果になっても、他の投資でそれをカバーすることで、全体としてのリスクを抑えることが大切です。
具体的には「資産」「銘柄」「地域」の分散を意識してみましょう。
- 資産分散:異なる種類の資産(株式、債券、不動産など)に投資する方法
- 銘柄分散:単一の業界や銘柄に依存せず、多様な企業の株式に投資する方法
- 地域分散:一つの国だけではなく、世界中のさまざまな国の資産に投資する方法
自分に合ったスタイルで投資を行う
資産運用の目的や金融に関する知識、投資に回せる金額、ライフスタイルなどによっても、適した資産運用方法は異なります。
具体的にはリスク許容度に合った投資を心がけることが大切です。リスク許容度とは、損失を出した場合にどのくらいの金額までなら受け入れられるかを表すものです。リスク許容度が低い方は、債券のような比較的ローリスクの商品を中心に投資すると良いでしょう。一方、リスク許容度が高い場合は、株式を中心とした積極的な運用に取り組むと良いでしょう。
専門家に相談をする
全く知識がない状態で、人の意見を鵜呑みにするのは推奨できません。一方で、知識を付けたとしても投資先や投資手法に迷ってしまうことはあるでしょう。そんなときは専門家の意見を参考にするのがおすすめです。個々の目的や条件に合わせた投資方法や適切な商品の提案を受けられる可能性があります。
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「資産運用はやめとけ」はすべての人に当てはまるわけではない
資産運用はリスクを伴うことから、無計画に取り組んで成功できるほど容易なものではありません。しかし、長期的な目線で取り組む、投資対象を分散する、少額で投資を始めるなど、リスクを管理する方法を把握していれば、効果的に資産をふやす手段となり得ます。資産運用を行う際は、積極的に情報を収集し、自身のライフプランや投資額に適した投資戦略を見極めることが重要です。
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ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第 1010号