子どもの教育費の平均は?学資保険やNISAを活用し将来に備える
子どもの教育資金はいくらぐらいかかるか計算したことはありますか?「教育費はけっこうかかるとは聞くけど、きちんと計算したことがない」という方も多いのではないでしょうか。
子どもが選ぶ進路や、なりたい職業でどのくらい教育費がかかるのかは大きく異なります。
そこで本記事では
- 教育費はいくらかかるのか
- 教育費の準備方法
- 公的制度の活用方法
について解説します。
本記事を読めば、教育費の準備方法がわかり、行動に移すことができるでしょう。大切なお子さまのためにも、今から準備できることから始めてみませんか?
教育費はいくらかかるのか?
人生の三大資金をご存じでしょうか?人生にはさまざまなライフイベントが発生しますが、その中で最もお金のかかるイベントが3つあります。それが「住宅資金」「教育資金」「老後資金」です。
今回のテーマである「教育資金」は、この三大資金に数えられます。教育費は教育にかかるすべての費用のことを言い、子どもが選ぶ進路によっていくらかかるのかが異なります。子どもの進路と一言で言っても、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学とそれぞれ国立・公立・私立等があり、選択肢はたくさんありますよね。
子どもがどのような将来を目指すかを考え、子どものために教育費がどのくらいかかるのか予測し、準備しておくことが大切です。
それでは、それぞれの進路でどのくらい教育費がかかるのかをみていきましょう。
子どもひとりあたりの教育費の推移
ここでは、子どもの教育費の推移を進路ルート別にみていきます。進路ルートは10個を想定し、文部科学省のデータを基にまとめましたので参考にしてみてください。
※高校は全日制
※大学は入学金を含む
(出典:文部科学省-令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します-)
(出典:文部科学省-国公私立大学の授業料等の推移-)
表からわかるように、進路次第で教育費は大きく異なります。私立は教育費が高いので、進路ルートに私立が多く含まれると、それだけ多額の資金準備が必要になります。進学させたいルートでは、どのくらい教育費がかかるのか、確認してみてください。
また、平成22年から令和3年まででは、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学の教育費は下記のように推移しています。
(注)金額は各年度の各学年の平均額の単純合計であるため、「子どもにかかる一般的な教育費」の金額と相違するケースがある。
※高校は全日制
※大学は入学金を含む
(出典:文部科学省-令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します-)
(出典:文部科学省-国公私立大学の授業料等の推移-)
教育費について、令和3年の結果は平成22年に比べて以下のことがわかります。
- 私立は幼稚園以外、ふえている
- 公立は幼稚園・大学が減少、小学校・中学校・高校は増加
- 国立大学は平成22年から一定の水準
私立幼稚園の教育費が減少した背景には、2019年からの「幼稚園の無償化」があり、例年よりも安くなったと考えられます。
(出典:内閣府-幼児教育・保育の無償化について(日本語)-)
幼稚園、小学校、中学校、高校、大学の一般的な教育費
それでは、幼稚園から大学まで、それぞれどのくらい教育費がかかるのでしょうか。具体的な数字を国の調査を基にみていきましょう。
平均的な費用について
文部科学省の調査によると、子どもにかかる一般的な教育費は下記のとおりです。
※全日制:昼間に教えることを原則とする学校教育課程
※大学は入学金を含む
(出典:文部科学省-令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します-)
(出典:文部科学省-国公私立大学の授業料等の推移-)
公立と私立を比べると、私立の学費が高いことはいうまでもありません。仮に幼稚園から大学まですべて私立に通わせた場合、平均で2,237万535円もの学費が必要となります。
これだけの金額はなかなかすぐに準備できるものではありません。したがって、冒頭にお伝えしたとおり事前の準備が大切になってきます。
教育費を準備する方法
ここまで「教育費がどのくらいかかるのか」をみてきましたが、それではその教育費はどのように準備すればよいのでしょうか。
ここでは、貯蓄、保険、奨学金という3つの準備方法をみていきます。
貯蓄で準備する方法
まずは「貯蓄」で教育費を準備する方法を見てみましょう。
おすすめの方法は次の2つです。
定期預金
定期預金とは、はじめに期間を決めて預け入れる預金のことです。3年後など、指定した満期日まで基本的に引出しができませんが、普通預金に比べ利息が高いのが特徴です。
つみたてNISA
資産運用で貯蓄をふやすならつみたてNISAがおすすめです。通常運用で得た利益には税金がかかりますが、つみたてNISAを利用すれば最長20年間、年40万円までその運用益が非課税になる税制優遇制度を活用できます。国の制度を上手に利用することで、効率的に子どもの将来の学費を準備することができます。
※NISA制度は2024年から新しくなり、現行の制度から税制の優遇期間等が変更になります。
このように、まずは子どもの教育費を把握し、そこから定期預金や運用で準備するのがいいでしょう。
学資保険で準備する方法
続いて学資保険で教育資金を準備する方法です。学資保険とは、子どもの教育費の準備を目的とした保険です。例えば、高額な資金が必要な大学入学時に保険金を受け取ることができ、子どもの成長に合わせて資金を準備できます。また、保険料を支払っている途中で契約者である親が死亡したときは、保険料の払い込みが免除になる一方、そのまま保障が続きます。親の死亡後も教育資金が準備できることは非常に大きな安心感につながります。
それでは、もう少し詳しく解説します。
- 学資保険の保険料は月々どのくらい支払うのか
- 学資保険の加入方法
【学資保険の保険料は月々どのくらい支払うのか】
学資保険の保険料は、月々約1万円が相場で、保険金受取額は300万円のプランが多いようです。
ですが、最終的に重要なのは「いくら払っていくらになるのか」という部分ですよね。
そこで大切なのが「返戻率」という考え方です。返戻率とはわかりやすくいうと「どのくらい支払ったら、将来どれだけ受け取れるか」を割合で示したものです。
例えば、合計100万円の保険料を支払い、保険金として110万円受け取れるとすると、
110万円÷100万円×100=110%
となり、返戻率は110%ということになります。
逆に考えると、返戻率110%ということは、100万円払い込むと、将来受け取れる保険金額は110万円(100万円×110%=110万円)になるということです。
この返戻率をみながら、将来的な教育費の準備にあてましょう。
また学資保険は一般的に、子どもが小さいうちに保険に入った方が返戻率は高く、毎月支払う保険料も少なくて済みます。ただし、学資保険だけで幼稚園から大学までの教育資金を準備するのは難しいかもしれません。貯蓄なども併用して教育費にあてるといいでしょう。
【学資保険の加入方法】
学資保険の加入は、学資保険を取り扱っている保険代理店に相談してみましょう。ネットから申し込みが出来るものもあります。
学資保険を検討する際は
- どのくらいの教育費が必要か
- どのタイミングで受け取りたいか
上記を明確にして探してみましょう。
奨学金や助成金を活用する方法
大学に入るとよく耳にする奨学金。奨学金とは経済的な事情や、家庭の事情で学費を支払うことができない人に向けた、学費の給付や貸与等の制度です。
それでは、その利用方法や応募手続きをみていきましょう。
奨学金には、給付方法が2種類あります。
- 給付型
- 貸与型
給付型は返済の必要がなく、貸与型は将来的に返済の義務があります。
では、どうすれば利用できるのでしょうか。
大学には「奨学金窓口」があり、そこに申請し、審査を通過すれば利用できます。そこでまずは、自分の目的に合った奨学金を選び、必要書類を準備し、奨学金窓口に行ってみましょう。
また、「自分がどの奨学金に申請したらいいのか分からない」という方もいるのではないでしょうか。そのような時は、日本学生支援機構の貸与・給付奨学金に関するお問い合わせにアクセスし、相談してみてください。日本学生支援機構は、学生に対する奨学金事業や留学支援・外国人留学生の就学支援を行う独立行政法人です。
給付型の審査が通りそうな状況であれば、給付型を申請してみましょう。貸与型は、将来的に返済が必要となるため、卒業後の子どもの負担になる場合もあります。
公的制度や支援制度の活用
国の公的な制度も利用して、子どもの将来にそなえることも大切です。ここでは、どのような制度があるのかみていきましょう。
国の教育支援制度や教育ローンについて
経済的に困難な家庭が利用できる国の教育支援制度には、次のように様々なものがあります。
- 高等教育の修学支援新制度(給付型奨学金&授業料等減免)
- 生活福祉資金貸付制度(教育支援資金)
- 住居確保給付金
- 母子父子寡婦福祉貸付金(就学支度資金・修学資金)
これらは教育支援制度のほんの一部です。他にも様々な支援制度があるので、文部科学省のサイト等で確認してみてください。
(出典:文部科学省-経済的に困難な学生・生徒が活用可能な支援策-)
続いて教育ローンです。教育ローンと先ほどの奨学金は似ており、2つに共通するのはお金を借りて返すものという点です。では、奨学金と教育ローンはどの点が異なるのでしょうか。下記にまとめました。
教育ローンには2種類あり、国によるものと民間によるものがあります。国の教育ローンは固定金利で1.95%、最高350万円まで利用できます(2023年6月現在)。民間のものはそれぞれのサービスによって異なりますが、国よりも金利は高く、限度額の上限も高い傾向があります。
(出典:日本政策金融公庫-教育一般貸付(国の教育ローン)-)
子どもの教育に関する公的な給付金や補助金の情報
国や地方自治体が臨時で給付金や補助金の情報を公表することがあります。申請することで受け取れるものもあるので、教育に関する公的な情報には常にアクセスする習慣を持っておくことがおすすめです。
まとめ
今回は教育費について解説しました。要点は下記のとおりです。
- 教育費はどのような進路・職業を目指すかで大きく異なる
- 私立の教育費は年々増加傾向にある
- 教育費はどのくらい必要かを把握し、貯蓄や運用で準備する
- 場合によっては、奨学金や教育ローンの活用も検討する
- 国や地方自治体の制度を常にチェックし活用する
また、ここまでは学費のみにフォーカスしてきましたが、教育にかかる費用は「学校に通う」費用だけではありません。塾や習い事など、教育にかかるすべての費用が教育費なのです。塾や習い事の費用は、YouTubeの教育動画を利用したりすることで、費用を抑えることができるものもあります。現在はネット上に有益な情報もたくさんアップされていますので、そういったものの活用も検討してみましょう。
YouTubeの情報は玉石混合であり、誤った情報や修学上好ましくない情報は見せたくないと思う人もいるかもしれません。賛否が分かれるところです。しかし、デジタル化のスピードは早く、使うことのデメリットよりもメリットの方が増えていると考えている人もいます。
今後の教育では、「ネット上にある情報の何を信じるべきか?」を考えていく必要もあります。この点は学校機関だけに任せるのではなく、各家庭のITリテラシーともかかわってくるところだと思います。ネットを上手に活用する方法を子どもと一緒に考え、取り組むことも、新しい時代の教育へつながるかもしれません。
いずれにしても、子どもには「できるだけ好きなことをさせてあげたい」「学びたいことを学ばせてあげたい」そう思うのが親御さんの気持ちです。修学の場面で多くの選択肢を与えてあげたいものです。
「そなえあれば憂いなし」といわれます。教育費の相場を知り、あらかじめ準備しておくことが大切です。子どもの将来のためにも早い段階から教育費についての知識を身に付け、来るべき支出にそなえておきましょう。
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