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お金がたまる人になるには?元国税局の芸人・さんきゅう倉田さんが語るキャッシュレス・投資・保険のハナシ

目次

元東京国税局職員で、現在は芸人として活動中のさんきゅう倉田さん。お金に関する豊富な知識を生かして、講演や執筆活動などマルチにお仕事をされています。 インタビュー前編では、さんきゅう倉田さんの経歴や貯金、支出の管理などに関する考え方をお聞きしました。後編となる本記事では、投資や保険、税金など、お金に関する話をさらに掘り下げて伺います。

キャッシュレス生活で時間を有効に使おう

――次に、支払いの方法についてもお聞きします。現金やクレジットカード、最近ではQRコード決済などのキャッシュレス決済も浸透しています。さんきゅう倉田さんは、支払い方法をどう使い分けていますか?

さんきゅう倉田:僕は普段から財布を持ち歩かず、現金を使わないことを心がけています。現金を使いたくない理由はたくさんあるのですが、一番は決済のスピードですね。決済のスピードが一番早いのは、交通系ICカードのタッチ決済です。反対に、一番遅いのが現金です。金額を聞いて財布を出して、お金を出して店員さんに渡して、お釣りをもらって財布にしまって……とかなり時間がかかります。

交通系ICカードやQRコード決済ならピッとやって一瞬で終わります。自分の時間を節約できるし、後ろに並んでいる人の時間の節約にもなる。皆が心がければ、全員分の時間をどんどん節約できるんです。それってとてもいいことですよね。

ーー確かに、皆がレジで現金を使わなくなったら、かなりの時間を節約できますね。

さんきゅう倉田:僕は、時間は資源だと思っています。仮に1万円分の仕事があったとして、1時間かかるか10分で終わるかでまったく時間の意味が変わってきますよね。10分で終わるなら、1時間で6倍の仕事をこなせる計算になるわけですから。時間を節約できれば、その分仕事をしてお金を稼いだり評価を上げたりできるんです。それくらい時間は大切なものです。

――時間とお金は別物だと考えがちですが、実は関連しているわけですね。

さんきゅう倉田:そうなんです。そしてキャッシュレスのもう1つのメリットは、ATMに行かなくていいこと。僕の持論ですが、お金がない人に限って、一日に何回もATMに行ってお金を下ろすんですよ。その日にいくら使う予定なのか把握できていないからです。手数料もかかるし、それではお金はたまりません。

さんきゅう倉田さんインタビューカット

――それはそうですよね。さんきゅう倉田さんは、キャッシュレス決済はどんなものを使われていますか。

さんきゅう倉田:交通系ICカードとQRコード決済、クレジットカードをそれぞれ使い分けています。利用する交通系ICカードとQRコードのサービスは1つずつで十分です。複数利用すると管理しにくいですから。ちなみに、たまに交通系ICカードに1,000円ずつチャージする人がいますが、やめたほうがいいと思います。多めに入れてもいつかは使うはずで、細かくチャージをする意味がないし、その手間と時間がもったいないので。

――現金と違って、お金を使っている感覚が得にくいので不安になるのだと思います。

さんきゅう倉田:その気持ちはすごくわかります。実際、現金のほうがお金を使う実感は強いと思います。でも、先ほど説明したように、週単位で予算を決めればキャッシュレスでも使い過ぎを防げるんです。

――ほかにも、こういうことをしているとお金はたまらない、という特徴はありますか。

さんきゅう倉田:財布の中が汚いお金持ちは見たことがないですね。ポイントカードやレシートで財布がパンパンになっているような人です。僕の知人の芸人で、借金を250万円ほど抱えている人がいるんですが、もう財布が閉まらないくらいパンパンでハンバーガーみたいになっています。

その芸人の財布を見せてもらう機会があったんですが、同じ店の会員カードが2枚入っていたり、ラーメン屋の期限切れの味玉無料券が入っていたり、パン屋のスタンプカードが入っていたりするんです。その人、パン屋にはそんなに通わないのに。

僕は、よっぽど頻繁に行くお店でなければポイントカードは作らないほうがいいと思っています。いちいち出すのが面倒だし、それで得られるポイントも大したことないですから。

――さんきゅう倉田さんが、お金周りで普段から心がけていることはありますか。

さんきゅう倉田:ここまでの話だと、とにかくお金を使わないほうがいいように思われるかもしれませんが、僕はむしろお金を使うようにしています。ただし、無計画に使うという意味ではありません。たとえば、大事な相手先に訪問する際の手土産などは、しっかりとお金をかけて選びます。そこにお金をかけることで、将来自分にリターンがあると経験上わかっているからです。僕は個人事業主なので、とくにそこには気を遣っています。

投資のポイントは「長期積立分散」

――さんきゅう倉田さんは、生活に必要な分や貯金以外のお金は投資にまわしているとおっしゃっていましたよね。具体的にどんな投資をされているのでしょうか。

さんきゅう倉田:iDeCoやNISA、投資信託、それから個別で株の売買もしています。

――どんな考え方で投資されていますか。

さんきゅう倉田:僕はいろいろ運用していますが、どんな投資をすればいいかわからない方は、まず長期積立分散投資がいいと思います。金融庁も推奨している投資方法で、投資についてまわるさまざまなリスクを抑えられますから。

さんきゅう倉田さんインタビューカット

――長期積立分散投資について、詳しく教えていただけますか。

さんきゅう倉田:たとえば、「長期」であることのメリットとしては、株価の上がり下がりに強いことですね。短期的に見れば株価が上下することはよくあります。ただ、中長期でみれば米国株はずっと成長を続けている。ですから、短期ではなく中長期で考えるといいですね。それに、短期で株価の上下を気にしていたら、精神衛生上良くないので。

次に「積立」のメリットは、毎月金額を決めておけば自動でずっと積み立てで金融商品を購入できること。これも短期的にこのタイミングであれを買おうとかこれを買おうと考える必要がないので、ストレスを軽減できます。

最後に「分散」ですが、金融の世界には「卵は一つのカゴに盛るな」(※1)という格言があるように、いろいろなところに投資することでリスクを分散することができます。

(※1)卵を一つのカゴに盛ると、そのカゴを落としたらすべて割れてしまう可能性があるが、複数のカゴに卵を盛れば、そのうちの1つのカゴを落としてもほかのカゴの卵は無事だという意味の格言。

いずれにしても、大事なのは短期的に大儲けしようと考えないことですね。長期的に見て、自分の資産を堅実に増やしていくことがポイントです。

――投資と聞くとギャンブルのように感じてしまう人もいると思いますが、長期的にリスクを極力避けながら、堅実に利益を出していくことが大事なんですね。

さんきゅう倉田:はい。それともう1つ、気をつけたいのは「投資詐欺」です。SNSなどで、「投資で月に300万円稼ぐ方法を教えます」みたいな投稿をしているアカウントを見たことがある人も多いんじゃないでしょうか。

その誘惑に乗ってしまうと、「300万円稼ぐためには、このソフトが必要なので購入してください」といった流れになって、お金を払わされるケースもあるんです。僕からすると、そんなソフトでは成果は上がらないし、支払ったお金も戻ってこないでしょう。

そもそも、月に300万円も稼げている人が他人にその方法を教えるメリットなんて、どこにもないわけですからね。そんなアピールまでしてお金を引っ張ろうとしている時点で、その人も儲かっていないわけです。

さんきゅう倉田さんインタビューカット

――こうしてお話を聞くと、自分はだまされないという気になるのですが、やはり巧妙な手口に引っかかってしまう場合もあるわけですね。

さんきゅう倉田:そうならないようにするには、やはり金融リテラシーを上げる必要があると思います。自分で勉強したり、周りとお金の話をしたりするといいですよ。

また、お金に関してちょっとでもおかしいなと思う出来事があったら、家族や友人、会社の先輩など頼れる人に相談してみてほしいです。芸人にもいるんですよ。明らかにだまされているんだけど、「いや、だまされてない!」と本人は言うんです。プライドがあるからでしょうけど。皆さんには冷静に判断していただきたいですね。

保険や税金についても基本を学ぼう

――お金に関する話題として、保険についてはどうお考えですか?

さんきゅう倉田僕は養老保険(※2)に入っていますが、大事なのは自分にとって必要な保険をしっかり見極めることだと思います。情報を得るためには、保険の相談窓口などに行って質問してみるのがいいんじゃないでしょうか。

保険会社の人と話したときに、「冷やかしでもいいので、どんどん来てほしい」と言っていたので、入るつもりがなくても話を聞きに行ってみるだけでもいいと思います。個別の商品の知識まで入れなくてもいいですが、掛け捨て(※3)とそうじゃない保険の違いとか、基本的な知識は学んでおいたほうがいいですよ。

あと、ライフステージの変化のタイミングで保険を見直すことも大事です。保険って一度入ると自動で支払いが発生するものもあるので、自分がどんな保険に入っているのか忘れてしまいがちです。結婚や出産などでライフステージが変化すると、必要な保険の内容が変わることもありますから。

(※2)一定期間の保障があり、また満期時には満期保険金が受け取れる保険。

(※3)満期保険金や解約返戻金が少ないか、もしくは全くなく、支払った保険料が戻らないタイプの保険。

さんきゅう倉田さんのインタビューカット

――お金といえば、税金についてもなかなか学ぶ機会がないですが、勉強したほうがいいのでしょうか?

さんきゅう倉田:税金について学ぶことが資産の管理、運用につながることはないと思いますが、知らなくて困ることはたくさんあります。たとえば副業をしていて、確定申告のやり方を知らなかったために追徴課税されて損をしてしまうとか、特例で免除されるルールを知らなかったために税金を多く支払うことになったりとか。

税金はいろいろなところにかかるものなので、自分に当てはまりそうなケースがないか事前に勉強しておくのが一番いいですね。

――最後に、お金の管理や資産形成に苦手意識がある人へアドバイスをお願いします。

さんきゅう倉田:金融リテラシーを高めるには、普段からお金の話をすることが大切です。給料や家賃の話はさすがに話題にしづらいかもしれませんが、たとえば投資や保険、ふるさと納税の話などは積極的にして、学んでいくといいと思います。

最近はお金や資産形成についてゲームで学べるコンテンツもあるので、それを活用するのもいいですね。僕自身、学生向けにお金について学べるボードゲームを作って学校に寄付しています。あと、SNSや書籍でお金にまつわる知識を発信しているので、ぜひ学習に役立ててください。

さんきゅう倉田さんのイメージカット

  • 取材・文:山田井ユウキ
  • 撮影:井手勇貴
  • プロフィール
    さんきゅう倉田さん

    1985年、神奈川県生まれ。大学卒業後、東京国税局に入局。約2年間勤めたのちに退職し、よしもとクリエイティブ・エージェンシーで芸人になる。著書に『世界一やさしいお金の貯め方増やし方』(東洋経済新報社)『お金持ちがしない42のこと』(主婦の友社)などがある。

  • ソナミラ編集部さん

    「健康で豊かなミライにソナえる」をコンセプトに、マネー・ライフデザインをテーマとしたコンテンツを発信しています。 あなたの可能性を広げるため、読んでためになったと思える記事の制作を心掛けています。

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ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者  関東財務局長(金仲)第 1010号