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ペアローンを組んだ後に離婚したら問題に?!対処法を解説します

目次

離婚を考えている夫婦の中には「婚姻期間中にペアローンを組んで住宅を購入していた」という人も少なくはないでしょう。このようなペアローンを組んだ後の離婚となると、住宅ローンの返済や名義変更など、さまざまな問題が生じる可能性があります。離婚の手続きと同時に、ペアローンの解消手続きも進めなければならないかもしれません。

では、ペアローンを組んでいる夫婦が離婚を考える際は、どのような点に注意をすべきでしょうか。また、どのような対処方法があるのでしょうか。

この記事では、ペアローンを組んだ後に離婚する場合に出てくる課題と、その解決策について詳しく解説していきます。

これからペアローンを組もうと考えている人も一度立ち止まって、離婚というライフイベントに遭遇した際の対応方法を理解しておきましょう。

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ペアローンとは ペアローン


ペアローンとは、1つの不動産に対して夫婦でそれぞれ借り入れを行い、互いに相手の債務の連帯保証人となるローン契約のことを指します。住宅ローン契約は2本になりますが、夫婦2人の収入を合算することで、より高額な住宅の購入が可能になります。借入可能額を大きくできる点では、優れた選択肢と言えるでしょう。

昨今、共働き夫婦の間では、このペアローンを利用するケースが増えています。「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査(株式会社リクルート)」によると、住宅ローンを利用した世帯のうち33.9%が、世帯主と配偶者(パートナー)の「ペアローン」でした。

共働き夫婦で世帯総年収1,000万円以上の場合は、なんと76.5%がペアローンになっています。不動産価格の高騰とともに、今後もペアローンの利用者は増えていくものと思われます。

しかし、ペアローンにはメリットだけでなく、デメリットもあります。まずは、この点について整理していきましょう。

ペアローンのメリット

ペアローンの最大のメリットは、夫婦の収入を合算できるため、借入可能額が大きくなることです。これにより、夫婦の一方が単独で住宅ローンを組むよりも、より高額な物件を購入することができます。

したがって、少しでも立地が良く、広い居住空間を求める共働き夫婦にとっては、ペアローンは大きな魅力と言えるでしょう。借入可能額が大きくなれば、選択できる地域も広がるのです。さらに、子育て世代の夫婦には、子供の成長に合わせて広い住宅を購入したいというニーズもありますので、ペアローンを活用することで、そうした希望を実現しやすくなります。

また、ペアローンでは夫婦それぞれが異なる金利プランを選択できるため、返済方法を柔軟に設計できるというメリットもあります。例えば、夫婦のうち、収入の高い方が固定金利を選び、もう一方が変動金利を選ぶことで、返済負担を抑えつつ、金利変動のリスクをヘッジすることができます。

加えて、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるのも大きな利点と言えるでしょう。住宅ローン控除は、一定の条件を満たせば、年末のローン残高の1%相当額を所得税と住民税から最長13年間にわたって控除できる制度です。ペアローンであれば、夫婦それぞれが控除を受けられるため、税制優遇措置を効果的に活かすことができます。

ペアローンのデメリット

一方で、ペアローンにはデメリットもあります。

まず、夫婦それぞれで住宅ローンを組むため、手続きや提出書類が増えます。ローン審査するための収入証明書や、連帯保証人の手続きなどは、夫婦それぞれ必要になります。こうした手続きにストレスを感じることがあるかもしれません。そして、登記費用や司法書士への報酬などの諸経費も倍になってしまいます。

また、ペアローンでは借入額が大きくなるため、返済できないリスクも高まります。どちらかが失業するなど働き方が変化した場合、返済が滞る可能性も出てきます。お互いが連帯保証人になっているため、一方の返済が滞ると、もう一方が返済義務を負います。

そして後述する、離婚時のペアローン解消手続きが煩雑なことも、デメリットといえます。

離婚時にペアローンを組んでいる場合の対処法と問題点自宅で会話する夫婦


離婚することになった場合、ペアローンの解消にはさまざまな問題が伴います。ここでは、離婚時のペアローン問題の3つの解決方法と、注意点を見ていきましょう。

解決方法1.売却して現金化する

離婚後、どちらも自宅に住む予定がない場合は、売却することでペアローンの問題を解消できる可能性があります。ただし、自宅の売却価格とローンの残債の関係を把握しておく必要があります。

自宅の価値がローンの残債を上回っている場合(アンダーローン)は、売却益でローンを完済できます。しかし、自宅の価値がローンの残債を下回っている場合(オーバーローン)は、売却益だけではローンを完済できず、差額を現金で一括返済できないケースでは売却自体が困難です。

オーバーローンの場合、夫婦でどのように残債を分担するかについても、話し合いが必要となります。お互いの収入や資産状況を考慮しながら、公平な分担方法を決めていくことが大切です。

また、共有不動産の売却には夫婦双方の同意が必要です。離婚で揉めている場合、相手の承諾を得るのが難しいケースもあり、売却のタイミングを逃してしまう可能性もあります。売却を選択する場合は、夫婦間で十分に話し合い、合意形成を図ることが重要です。

解決方法2.住み続ける人が債務を引き継ぐ

離婚後も自宅に住み続ける人が、もう一方の残債を引き継ぎ、住宅ローンを背負うケースもあります。これを免責的債務引受と言います。

免責的債務引受を行うには、夫婦間の同意だけでなく、金融機関の承諾も必要になります。なぜなら、残債を引き継ぐ債務者の返済能力について審査が必要となるからです。

また、ペアローンの契約条件に「夫婦が共に住むこと」が含まれている場合、離婚自体がペアローンの契約違反になる可能性もあります。その場合は、金融機関との交渉が必要となるケースもあるでしょう。そもそも1人ではローンが組めなかったことから、ペアローンに至っているケースでは、残債を引き継ぐ人の収入が増えていない限り、引受は難しいと言えるでしょう。

引き継ぐ人の収入が不安定な場合や、金融機関との交渉がうまくいかない場合は、他の選択肢を検討する方が賢明でしょう。

解決方法3.住宅ローンの借り換えを行って一本化する

別の銀行から資金を借り入れ、住宅ローンの借り換えを行い、単独ローンとして一本化する方法です。

例えば、A銀行のペアローンで夫が2,000万円、妻が1,000万円を借りている場合、夫がB銀行で3,000万円の住宅ローンを新たに組み、A銀行に一括返済をすれば、ペアローンを単独ローンに借り換えできます。

この場合はB銀行の審査が必要となり、一本化された借入金額に対する返済能力が問われます。夫婦の収入を合算しているペアローンでは、片方の収入だけでは審査に通らない可能性もあります。借り換えには費用が発生し、さらには贈与税がかかる場合もあるため、この点も事前に確認しておく必要があります。

離婚を機に転職をしてしまうケースも住宅ローン審査では不利となります。夫婦が同じ会社に勤めていた場合は、周りの目が気になることもあり、転職を急ぐケースがあります。

先に転職をしてしまうと、新しい会社での勤続年数が短いと判断され、住宅ローンを組みづらくなる恐れがあります。借り換えによる一本化には、計画的な行動が求められると言えるでしょう。

ペアローン以外の問題点子供を抱いたお母さん


離婚の際には、ペアローン以外にも、財産分与や養育費、慰謝料などの問題が生じます。これらの課題にも、専門家に相談しながら一つずつ対処していく必要があります。

具体的にどのような問題があるのかをみていきましょう。

財産分与の問題

婚姻期間中に築いた財産は、離婚時に夫婦で分け合うことになります。原則として、財産分与の割合は2分の1ずつとされています。財産分与の対象となるのは、結婚後に取得した資産だけでなく、結婚前から持っていた資産の増加分も含まれます。また年金の分割も大きなポイントとなってくるでしょう。

離婚時の財産分与について、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

「離婚時に生命保険は財産分与の対象に?受取人変更を忘れたらどうなる?」

養育費の問題

子どもがいる場合、親権を獲得した側が相手方に養育費を請求できます。養育費の金額は、双方の収入や子供の年齢、人数などを基準に決定されます。金額や支払い方法については、夫婦の間で話し合って決めるのが基本ですが、合意が得られない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。

調停では、裁判所の調停委員が間に入り、夫婦の話し合いを促します。それでも合意に至らない場合は、家事審判により養育費の金額が決定されることになります。

慰謝料の問題

配偶者に不倫やDVなど、離婚の原因がある場合、離婚時に慰謝料を請求できる場合があります。この慰謝料は、精神的な苦痛に対する損害賠償という性質を持っています。ですから、請求する側は、相手の行為によって受けた精神的な苦痛を立証する必要があります。

慰謝料の金額は、婚姻期間や子供の有無、不倫の期間や回数、DVの程度など、さまざまな要素を考慮して決定されます。また、慰謝料の支払い方法についても、一括払いや分割払いなど、夫婦の間で話し合って決める必要があります。

ペアローンで住宅を購入する場合は夫婦で話し合いをするお金のことについて話し合う夫婦


ペアローンを利用して住宅を購入した場合、離婚時にはさまざまな問題を引き起こす可能性があります。住宅を2つに分けることはできないため、どちらかがローンを引き取って住み続けるか、住宅を売却して現金化するか、いずれかを選択するのが一般的です。しかし、市場動向などによっては選択肢が限られ、大きな負担となることも考えられるのです。

ペアローンを組むときは、夫婦の夢のマイホーム購入が実現する瞬間でもあります。そのため共にモチベーションが高く、リスクについてはあまり深く考えないことがあります。

最大のリスクと考えられる、夫婦どちらかの死亡については、亡くなった方のローン残高が団体信用生命保険で返済されるため、あまり問題がないように感じてしまうのです。

ところが、現代では配偶者が亡くなる確率よりも離婚する確率の方が高くなっています。2022年の特殊離婚率*によると、婚姻数に対する離婚数の割合は約35%となっており、3組に1組が離婚している計算になります。

* 特殊離婚率とは年間の離婚数を婚姻数で割った値であり、厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」では、離婚数は179,096組、婚姻数は504,878組となっています。

このように、現実では離婚の確率は思ったよりも高く、ダメージも大きくなる傾向があります。

ペアローンで住宅を購入する際は、これらの潜在的な問題があることを理解した上で、将来を見据えた話し合いをしておくことが大切です。そして、お互いの収入見通しや、ライフプランを共有し、リスクに備えておくことが求められます。

個々の家庭におけるリスクの大きさを測るにはやはりプロの力が重要です。是非一度、金融のプロにライフプランニングの相談をしてみてはいかがでしょうか。

ソナミラでは、コンシェルジュがライフプランに関するご相談を承っています。相談だけなら何度でも無料です。ぜひ一度、ソナミラのコンシェルジュに相談してみてください。

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▼参考
ペアローンの契約形態割合
出典:リクルート「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査 (recruit.co.jp)」

死亡率
出典:厚生労働省「令和5年簡易生命表」

特殊離婚率
出典:厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」

  • 監修者
    水野 崇さん

    水野総合FP事務所代表。個別相談、執筆・記事監修、講師、取材協力などマルチに活躍する独立系ファイナンシャルプランナー。学校法人専門学校非常勤講師。 【メディア掲載】毎日新聞|朝日新聞|中日新聞|東京新聞|朝日中高生新聞|物流産業新聞社|Yahoo!ニュース|女性自身|プレジデントオンライン|日本FP協会 他多数

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